勉強会しよう!
相馬 悠人
本作の主人公。
他のヒトにおんぶにだっこであるが…他のヒトも気にして無いので、本人もそれを気にしてない事にしている。
魔法世界で家事は全く出来ない。
まともに使える魔法はただ一つ。固有魔法。
想像を現実に創造する事。いづれ、ちゃんとした魔法名をつける様にアーニャに言われているが、なかなか決まらない。しかも、それを使えるとアーニャに言われただけで本人が使った事は無い。
最近の思うこと。
確かに、平凡すぎる生活もどうかなとは思っていたが…いざ振り返ると衝撃ばかりでまるで退屈しなさ過ぎる。
だからこそ今思う事はただ1つ………。
ちょっと休ませてくだサーーーイ!!!
と何度もアーニャに愚痴をこぼしているが……。
「大丈夫です! じきに慣れてきますから、ファイトです」
と満面の笑み。それじゃあ困る。
ああ、こうなるんならスローライフの方が楽しさは無くても良かったのかもしれないなぁー。
こう、安全性的な意味で。
今日のアイナ先生の授業で………。
「今日は、私の授業が最後だからホームルームも一緒にやるな。ええと……」
と、連絡する事は無いか先生が確認している。
こういう時はだいたい知らせることなど無いのだ……。前のとこでは少なくとも………。
何で言い直したかというと……。
「ああ、あった。 ……相馬。お前にプレゼントだ」
と、アイナ先生が不敵に笑ってる。
ああ、これは詰んだな……。そう思った。
「何ですか?」
取り敢えず聞く。
もう、誰かと試合なんて嫌だなー。
とかは考えてた。
すると、そんな考えを見透かしたようにアイナ先生が。
「もう、戦いは無いから安心しろ。けど、これは違う意味で戦いかもな………」
「………もうオチは分かってますから早く言ってください。その方が幾分マシです」
そう俺が言うと先生も「そうか……」と言って終わる。
「じゃあ、お前にはテストがある。1週間後だ。それに合格しないと進級は不可。あとは……」
「‼︎」
さすがに俺も驚く。しかもいっぺんにずらずらと言われたためにさらにパニクる。
「ちょちょちょ、ちょっっと待ってください……。ええとつまり……進級がかかったテストがあるって事ですか?」
「そう。それが1週間後な? んで、ああ合格点は百点満点中六十点な?」
「マジか……」
他の生徒からそんな声が漏れる。
ヤバイのか………。そこはどこの世界も一緒らしい。
「本当は実技もあったんだがな……。まぁ、ラネイシャに勝ったから免除って事になった」
「そうですか……」
「ああ、さらに得点調整は無いからな。なんせそれ受けんのはお前だけだから。季節的にな」
「そうですよねー」
と、あまりそこにすがる気は無かったんだけど…。
入ってきた季節がもうニ月半ばだっただけにもう、他のクラスメイトの奴らは進級を決めているらしい。
それ以外は特に連絡事項は無いという事でそのまま放課後という事になった。
早速、ラネイシャと合流して帰路につく。
ちなみにちなみに、ラネイシャの部屋は俺とは別の部屋が用意された。
その時に道連れとしてアーニャにも個別の部屋が用意された。
今まで、アーニャは俺と一部にしか姿を認識出来なかった分、当然俺にもとばっちりが来た。
色々と冷やかされたりもした。
まぁいいんだ。さっさと忘れよう!
そんな事を考えて溜息をつく。
「あれ? どうしちゃったの主様?」
ああ、言い忘れた。なんか、すっかり俺を尊敬しまくったラネイシャが俺をそう呼ぶ様になったのだ。
当然、寮のみんなにはバレてるが、これ以上の被害をしないためにも学園では普通にする様に言ってある。
今は、もう寮までの一本道なのでそう呼んだのだろう。
「実は先生から進級テストを言い渡されたのですよ」
その質問に答えたのはアーニャだった。
「え⁉︎ 主様は単位がヤバイの?」
「まぁ、当然だよ。 なんせ、入ったのが二月だからね」
「なるほど〜」
ラネイシャも納得した様に頷く。
「でもでも、それほどの武勇伝を持ちながら、権力は微塵も無いんですね」
「当たり前です‼︎ 悠人はそんなのは全くこれっぽっちも望みませんでしたから!」
なぜかアーニャが声を張って言う。
あの武勇伝があっても、権力を望まないのがいい大人だと思ってたからなあの時は。
「まぁグダグダ言っても仕方ないし真面目にやるかぁ……」
体を伸び伸びさせながら言う。
「なんか、修学旅行のお手製の冊子的な感じの教科書も貰ったし」
「悠人に似合わず可愛い感じですね」
「俺が作ったんじゃねぇよ」
取り敢えず、ラネイシャにはこう釘を刺しておく。
あれからラネイシャは俺の良い所ばかりを執拗に探ってくる。鬱陶しいと思うくらいに…。
本人曰く、リスペクトの表れだと言っているのでムリにやめろとは言えず…。
「では、誰が作ったのですか?」
代わりにアーニャが聞いてくる。
出来れば見なかった事にしてくれるとありがたい案件なのだが…。
「なんか、先生から貰ったんだよ。テスト範囲これなって」
「先生ってアイナですか?」
「そう」
「それは……ご愁傷様です」
アーニャに手を合わせられる。なにか、アイナとアーニャとの間に何かあったんだろうか?
「とにかく、勉強はあんまり好きじゃ無いから本当に気合入れないとまた一年生やる事になりそうだ…」
「そんな事にならない様にカテキョーやるよ?」
「本当? やぁーありがたいなー。ぜひお願いするよ。いや、お願いします!」
俺は頭を下げて、お願いする。
あまり、勉強が好きでは無いと言ったのは本当だ。だけど、自分自身テストで赤点などは取った事は無い。それなのにその様に言ったのは、本当に分かりたかったからだ。
ただえさえ、魔法、魔術についての理論が途中から入った為に全く分からなかったのだ。
だからこそ、アイナ先生からのテストのお達しはある意味、自分を踏み出させてくれるいい機会だったと思える。
取り敢えず、今日はやらないで明日から頑張る事にした。
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そして、明日……。
「さぁ、それでは相馬 悠人の為の勉強会を開催しまーーす!」
なぜか、カレンが司会みたいな事をしている。
あれ? 勉強会ってこんな感じだったっけ?
それは教室にて…。
「そういえば、悠人くん。 テストはどうするの?」
自分の机につくと、早速カレンからそんな質問をされる。
「ん。 自分一人だと心配だから家庭教師をお願いしたよ」
「それってそれって、誰に?」
「誰って、ラネイシャに……だよ?」
「かー! ラネイシャはダメだよ! 絶対にやめた方がいい、うん」
妙に大袈裟に手を振って、まるで拒絶する様に。
「どうしてさ…?」
「だって…ラネイシャ先輩は魔法科の人だよ? 魔法科の人に理論を聞いても訳分からない説明されるのがオチだよ」
「なるほど…確かにカレンの言う事も一理ある。 っという事は魔研の人に頼んだ方がより分かりやすいという事だね?」
「ん〜。そうとも言い切れないけど…どっちかっていったらそうだねー」
俺はカレンの最後の言葉に眉をひそめる。
はっきりして欲しいな……。そう思った。
「じゃあ、この際誰の教え方が分かりやすいか判定して貰おう!」
ほー! 腕がなるねぇー。とか言いながら、カレンが走ってクラスを出て行く。
不吉な予感しかしねぇ〜。そう思ったけど…。
ここは乗っておく方が普段、勉強なんてしない俺でも頭に入るかも知れない。
不安半分、期待半分でいる事にして、貰った教科書を開くのだった。
いつも、読んでいただいてありがとうございます。
苦し紛れの更新です。
すみません。
これからは、休みという事もあり一週間ごとの更新はできなさそうです。
本当に申し訳ないです。
でも、それなりにがんばってはみます。
これからもよろしくお願いします!
小椋鉄平