新たなる転機、なんでも押し付けないで!
「う、ううん…」
「こ、ここは…?」
「おや、また来てしまったのですか?もうここには来てはいけないと言ったはずですよ。と言っても、今のあなたではその記憶ですら無いのでしたよね…」
俺の目の前の俺よりも背の高い女性が溜息をついている。
「はい、ということで帰りましょうね」
と、俺を連れて行こうとする。
「イヤだ!」
俺は断固動かないといった態度をとる。
「仕方ないですね………少しだけですよ」
と言って、俺と遊んでくれる。
………………………………
……………
………
その時の俺の気持ちはとても伝わってくる。
俺が小さかったからおそらく小さかった頃だろう。
最近、こんなことばかりだ。ここに来てから、まるでいたずらのようにリフレインされる俺の過去の夢。
しかも、タチの悪いことは忘れられないということだ
俺は溜息をついて、ベットからのそのそと降り立ち支度する。
部屋を出て、学食で1人、食事を取ろうとした時、ローレラを見つけたのでそばに行く。
「よう、ここ、いいか?」
俺はローレラの向かいの席を指してそうたずねる。
「ええ、どうぞ」
「ありがとう」
「別に私にいちいち断りを入れなくてもいいと思うけど」
「いや、一応、礼儀としてだよ。もし、ローレラがイヤと言っても座るかもしれないよ」
そう言って食べ始める。俺は和風の朝食で、ローレラはモーニングみたいな朝食だ。
「ねぇ」
不意にローレラが話しかける。
「ん、どうした?」
「い、いえ………」
ローレラは言っていいのか悩んでいる顔をしてたので、「いや、隠し事は止めようよ」というと……。
「あなた…バランスよく食べられないのね…」
「‼︎」
俺は慌てて「い、いや、これは…癖なんだ」というと
「…そう」としか言ってこなかった。
てっきり怒られると思っていたが、何もされないと、逆に空虚な感じになってしまう。穴が空いてしまったような…。
そう、俺は食事をバランスよく食べることができない。これは癖になってしまって高校の今になっても唯一直らなかったものだった。
つまり、俺はご飯だったらご飯。味噌汁だったら味噌汁だけ、といった1つのものを食べ終わるまで次に行かないのだ。
よくは無いとは自覚しているが直らない。もう、両親もそれで、いちいち叱るのを諦めてしまうほどだ。
ここでも、礼儀は大体同じだと思う。そして、様々な人種が元のところよりも、より、何のいがみ合いもなく共存している。
こちらから見習うことも少なくないなと思った。
***
いつものように学校へ。
校舎に着くと何やら騒がしかった。
俺は自然と興味がわいた。そちらへ近づくと、俺を腫れ物のように見て、そそくさと道を開けてくる。
野次馬たちが作った先には掲示板があり。
「何々? 『相馬悠人は人間の可能性あり、見つけ次第、通報求む。………風紀委員会』………何!?」
俺は素直な反応するのにしばらくかかった。
「ど、どういうことだ…」
(俺の情報は学園長、アイナ先生、アーニャしか知らないはずだった。どこから漏れたんだ………)
この状況に当然ながら頭を抱える。
「いいざまだな。偽善者」
「おま…えは…?」
俺に話しかけた女性は俺の目の前に仁王立ちになって、しゃがんでいる俺を見下ろしている。
「おおっと…お前如きに名乗る名などないと言いたいところだが…まだ、君が完璧にそうだと決まったわけではないからな、と・り・あ・え・ず、名乗っといてやる。私は、フィアルテーレ学園風紀委員長、ラネイシャ・バロストだ覚えてなくていいぞ、お前は私が…」
といって、野次馬の方を向く。
「この皆の面前でほふってやるのだから!」
むちゃくちゃ分かりやすいドヤ顔で俺の方を向く。
その瞬間、急にラネイシャは口を押さえて………。
「おえーーーーーーー!」
「⁉︎」
“公衆”の面前で吐きやがった!色々と見せられないものが出ている。もう、隠さなくてもいいくらいのモザイクが黄土色でなっていた。
「会長!………貴様!何てことをしてくれた!」
根も葉もなく、こいつの話を聞いてただけだが…と言ってやりたい気もしたが、それでは解決にならないと諦めて黙る。
「会長に辱めをさせるなど、とんだ無礼者の男だな。しかも、格好、まるで海藻だ」
ラネイシャの部下が俺に暴言を吐く。
さすがに温厚でイライラを表に出さないように中でしまう俺でも眉が上下してしまう。
「侮辱は良くないと思うなー、別に俺はこいつの話を聞いてただけじゃないか。お前たちは見てたんだから分かるだろう!さぁ、証言してくれよ!」
俺は野次馬に向かって訴える。当然証言してくれる者がいてくれた方がこちらにとっては有利だ。多ければ多いほど良い。
だが…
「お、おい………何でだよ⁉︎」
そのとき、ロビンが野次馬の中から現れる。
「確かに、悠人の言い分はもっともだと思う。だけど…君にはこの瞬間で人間だと疑われてるんだ。その状況で君はこのみんなの信頼が危ういんだ」
「そ、そんな…」
だが、本当に人間であることは口が裂けてもいうことはできない。
それは今、ロビンが言った通り。
だけど…だけど…本当に嘘をついても良いのだろうか?
わかっていても言えないことはわかっている。
俺は“救世主”としてこの世界に来た。その俺が信頼されるべきみんなに嘘を付いてても良いのだろうか。
それは俺には出来ない。
「ロビン、どうしたら良いと思う?俺は君たちに後ろ指を指されるのは嫌だ。もう、友達じゃないのかもしれないが…」
と、ロビンは首を横に振る。
「僕は、残念ながらそんなことには興味がないんだ。人種とか、人間だけじゃない。他にも、差別なんかはある。でも、僕はそんなのはうんざりだ。何でだ!別に襲ってこないだろう⁉︎それで良いじゃないか。しかも、コミニュケーションだって取れる。なら、もう同士だろ⁉︎そう思わないかよ‼︎」
まるで、怒鳴りつけるようなロビンの言葉であたりが静まる。まるで、いきなり気温が一度下がったみたいにこの場が凍る。
ロビンが俺に向き直る。
「だからそんな心配は要らない………話が逸れてしまったけど、君を救う方法だね。それは、君が前やった通りだよ。………」
「それって………まさかー」
「そう、そこの風紀委員会長!この相馬悠人が貴方に決闘を申し込む!」
俺の言葉を遮りロビンが会長に決闘を申し込んでしまった。しかも、俺がやる方向で。
そこに俺の意思は到底通じそうに無かった。
この一言で野次馬たちがザワザワしだす。
嘔吐から復活したラネイシャが俺らの方を向く。
「決闘は明日の放課後、こちらが勝った場合、こんなことを噂したことの謝罪と言いがかりだったとを風紀委員会で認めること。以上だ」
ロビンが一方的に言い放ち、去ろうとして…。
「あら、そんなことで良いですの?もっと酷い条件でも良いんですのよ?」
ラネイシャがロビンを挑発する。
「では………ー」
「では!貴方は悠人の所属の厚生荘に移って貰います。さらに、そこの悠人のお付きになってもらいます」
いつの間にか野次馬から現れたローレラが放つ。
「なっ!………い、いいでしょう。どうせ貴方には負けませんから。私が勝った場合。貴方はここから退学かつ、島流しです」
最後に汚らわしいと言って、ずかずかと去っていった。
俺はその姿を見ながら(島流し、か、されるもんならやってほしいものだ)と思った。
「てか、お前ら何勝手に俺を使って。俺の意思はどこにも無かったんだけど」
少し強めに言うが、2人には全く効果なし。
(こういうところはよく似てるんだよな〜)
2人は俺の両肩にちょこんとてをのせて一言。
『幸運をいのる(わ)』
「他人任せかよ‼︎」
2人はラネイシャとは逆に去っていく。
俺は…野次馬たちの輪の中で四つん這いになり、うなだれた。
「なんで…また…こんな…ことに…」
泣きたい。今無性に………。
毎度、読んでいただきありがとうございます!
テスト中なのにやってるおバカさんでーす。
まぁ、良いんですよそんなことは。
いかがでしたでしょうか。今回も波乱ですね(笑)
少し、読者さんにはもどかしい気持ちがあるかもしれませんが、どうか辛抱してもらいたいなと思っています。
さて、自分にとって意外だったことは『インステッドラブ』が以上に良かった?ことです。
まだ、恋愛の恋の字も入ってないのに好調なので、嬉しい反面驚きでした。
読んでいただきありがとうございます。
しかし、『インステッドラブ』はこちらとは違い、慎重にやりたいと思っていますので、ゆっくりやらせていただきたいと思います。皆さんに期待されていると思ってますので…。
取り敢えず、この後が楽しみだと思いますが、今後の展開の予想などしていただいて待ってもらえればなぁと思います。
妄想はお風呂場で 小椋鉄平