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第37話

TINAMIでは既に投稿してましたが、こちらには投稿したつもりになっていました。申し訳ございません。

ということなので今回については38話と連続投稿という形になります。

孫呉から急使が来て洛陽における一連の流れが判明した。


一刀は董卓が十常侍たちを殺害したことについて我が身を守る為に仕方が無い行為と思っていた。下手すれば自分自身の命が危ないからだ。しかし相国に就任したことについては諸侯の反感を買うのではないか危惧していた。


そして一刀の呼び掛けに全員が集まり、一刀からこれまでの洛陽における一連の流れを説明する。


一刀の説明を聞いたが紫苑や璃々、全員が黙ったまま、流石に事が重大であり迂闊な発言ができないと皆が感じているからだ。


「さてと誰も意見を言わないから私から言わせて貰うわ」


沈黙を破り最初に口火を切ったのは真里だった。


「一刀様、これから私から四つの道を提案します。どの道を選択するのかは一刀様次第です。私の提案お聞きになりますか?」


真里の言葉に一刀は黙って頷いた。


「まず1つ目はこのまま動かず、ひたすら混乱を傍観して皆が疲れた時に動く」


この意見には皆黙ったままで真里もそのまま話を続ける。


「そして二つ目は反董卓側に付く」


「はぁ?反董卓側ってどういうことだよ、真里」


「分からないの翠?董卓殿が十常侍に手を掛けたという事は何進を暗殺したのも董卓ではないかという事よ。そんな都合よく二つの政敵が消えて董卓殿が相国の座に就く。傍から見れば董卓殿が糸を引いていると勘ぐるわ。いいえ、私が董卓殿の敵ならこれを利用するわ」


「利用するって…何を?」


「董卓殿は十常侍と何進様を殺し、皇帝陛下を脅して相国の座に就いたと流布させる。そして何進様の仇を討つと言って各諸侯を集合させ弔い合戦を仕掛ける」


「何だと…」


真里の言葉を聞いて翠は言葉を失う。


「そんなのおかしいよ!月はただ自分の身を守ろうとして十常侍を討っただけでしょう!?」


「そうだよ!蒲公英様の言う通りだよ!!」


「蒲公英、蒼、二人とも落ち着いて綺麗事だけじゃ国の政はできないわよ」


「鶸ちゃん、何でそんな冷静なのよ!」


「冷静じゃないよ!本当なら私も月の味方したいよ!!だけど事は簡単な事じゃないくらい皆、分かっているでしょう!!」


「そうだな…翠、蒲公英、蒼、鶸の言う通りだ。宮廷内の争いは綺麗事では無い、醜いものだ。それを頭に入れておけ」


母親である碧から言われると翠達は黙るしか無かった。


「で、もし反董卓側に付く場合、劉宏様の遺言を表には出せないわ」


「それどういう意味?」


蒼が疑問の声を上げる。


「もし反董卓側に劉宏様の遺言状を告げてみなさい。連合の首謀者が素直に私たちに主導権渡すと思う?それに下手をすれば内部分裂を引き起こす可能性もありうる。それで仮に遺言状の事を告げずに参加した場合、ある程度の発言がある有力諸侯の一員くらいしか見られないを覚悟して欲しい」


「そして三つ目は董卓側に付く。これも問題はあるわ」


「ちょっと待ってよ。真里、月は民の事を思っている優しい子でご主人様と近い考えでもし手を組むとすれば問題ないじゃん」


「それは分かっているわ、蒲公英。董卓殿はそうでも側近の賈駆はどうかしら?あれは董卓殿を天下人にしたいという野望を持っていると思うわ。董卓殿を相国に就任させたのも賈駆が武力を背景にして劉弁様を脅したとも言われている。その状況で手を組むとしたら董卓殿の相国の地位を私たちが認めたことになってしまう」


真里の言葉を聞いて璃々が


「ちょっと待って、それじゃご主人様が皇帝になる為に兵を上げるということ?」


「ええ璃々、四つ目は一刀様が自ら兵を上げて董卓軍を配下に収め、そして連合軍と対峙してこれを打ち破る」


「ちょっと待ってくれ董卓軍を配下って、月と手を組むのは問題あるってさっき言ってじゃないか!?」


「翠、私は配下と言ったはずよ」


「でもどうやって月たちを配下にするんだ?」


「……翠、董卓殿の相国は誰から与えられたのかしら?」


「劉弁様だろう、それが何かあるのか?」


「それで劉弁様は正式に劉宏様から譲位された?」


「えっ……ちょっと待てよ、それじゃ…」


翠はこれまでの真里の言葉を繋ぎ合わせ頭の中で漸く一つの糸が繋がった。


「真里ちゃん。貴女ご主人様が劉宏様の遺言状を盾に後継者として名乗りを上げ、劉弁様を偽帝扱いにして、その劉弁様から相国の地位を与えられた董卓殿の地位を無効にして、そしてそこでご主人様が劉宏様の後継者として改めて何らかの形で董卓殿に配下に入るように告げるつもりね」


「その通りです紫苑様」


「だけど月が素直に私たちの配下に付く?」


「それは向こうさん次第だね。連合が組まれ向こうに降伏すれば間違い無く処断されるわ。私たちの配下になればまだ生きる道は残されるわ。それを選択するのは彼女次第…。それで一刀様、どの道を選ばれますか?」


真里からの四つの提案を聞いて一刀は


「まず1つ目の待ちの一手は悪くはないけど、下手をすれば戦乱を長引かせる可能性があるからこれは今回無しで、両陣営の何れかに付くとなれば劉宏様の意志に添えない可能性がある、……だから皆、俺に付いて来てくれるか?」


「何言ってるんだよ!ご主人様!!ここはバシッと俺に付いて来いと言ってくれよ!」


「そうですよ、しっかりして下さいご主人様!でもそんなご主人様が好きですよ」


「ヒューヒュー鶸ちゃん言うね。蒼も皆に負けないくらいご主人様の事好きだからね――!」


「あっ!皆ズルい―――!!蒲公英も忘れたら嫌だよ!ご主人様!!」


「やれやれこの子たちは…でも孫の顔を見るまでは死ぬ訳にはいかないわね。一刀様、前にも言いましたが馬一族は全てを一刀様に賭けています。今更そのような事を言うのは愚問ですわ」


「些か曇っていた自分の眼を覚ましてくれた一刀様に自分の知略を出し尽くします」


碧と真里はそう言いながら一刀に忠節の心を示す。


「私と璃々は今まで通りご主人様に付いていきますわよ」


「そうだよ。今度はご主人様が駄目だと言っても付いて行くからね!」


紫苑は微笑みながら、そして璃々は黄巾党討伐時に留守番を命じられたにも関わらず無断で出奔してきた事もあり、今回は初めから留守番するつもりは無いと宣言した。


一刀はそこで今まで黙っていた白湯の方に向き


「白湯、これで漢が滅亡するのを覚悟して欲しい」


白湯は一刀の言葉を否定するように首を横に振りながら


「それは仕方ないじゃろう。約400年漢はくたびれ民も疲弊しておる。害が少ない内に滅びた方が民の為じゃ。だが…一つ一刀にお願いがある。姉上の命を助けて欲しいのじゃ。姉上は異母姉とは言えはわらわに残された唯一の肉親じゃ。周りの者たちに操り人形の様にされ、それにわらわの様の外の世界をしらない可哀想な姉なのじゃ。頼む一刀、姉上を助けてくれぬか?」


白湯は一刀に姉である劉弁の助命を願い出た。


「白湯、別にお姉さんの命が欲しい訳じゃないよ。ただ漢が滅びたというケジメを取る必要はあるとは思うんだ」


一刀は劉弁の退位等の必要があると暗に告げると


「それは当然の事じゃ。一刀礼を言うぞ」


「礼はまだ早いよ、白湯。それは全て勝ってからの話だよ」


「そうじゃな、これはわらわの早とちりじゃな。それでじゃ今回の戦い、わらわも付いて行くぞ」


「えっ!?」


白湯の軍同行に一刀は驚きの声を上げるが


「何を言っておる一刀、漢の事を一番知っているのはわらわじゃぞ。それを涼州に置いたままにしたらそれこそ宝の持ち腐れだろうが、別に戦に出るつもりはない危ないから一刀の傍にいるだけじゃ」


白湯から正論を言われると一刀は返す言葉が無く、他の者も反論の余地がない為渋々白湯の同行を認めた。


そして一刀は皆にこう告げる。


「今回の戦いはただ漢に叛く訳では無い、戦いの果てに今よりより良い新たな世界が作る事を信じて目指して兵を挙げる。この事を皆に知って欲しい」


紫苑たちはこの言葉を聞いて改めて一刀に付いて来て良かったと思い、璃々は純粋に一刀が凄いと感じ、それ以外の者も一刀を見直したりして敬意を新たにしていた。


そして一刀たちは10日後、中原に向け威風堂々と兵を進めたのであった。


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