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第35話

何太后と張譲との会談の二日後に事件が勃発した。


董卓と盟友の賈駆は自室で執務を行っていると、


「た、大変や!月、賈駆っち!!」


「どうしたのですか、霞さん?」


「ちょっと、霞!もう少しゆっくり部屋に入ってきなさいよ!!びっくりするでしょう!?」


賈駆は霞こと張遼に注意を与えるが、霞はそれを無視して


「それどころやない!!さっき禁軍に十常侍の使者が来て、何進大将軍が亡くなったから当面皇甫嵩将軍と盧植将軍に禁軍の統括を命じたんや!!」


「えっ!?」


「何ですって!」


先日まで元気だった何進が亡くなったことを聞いて二人は驚きを隠せない。


「どういうことよ、霞!」


「ウチもさっき皇甫嵩将軍と盧植将軍から話を聞いたところでそれ以上の事は分からへんわ!!」


「それで霞さん、禁軍はどうなっていますか?」


「禁軍も混乱の真っただ中や、何とか皇甫嵩将軍と盧植将軍が動揺を抑えようとしているみたいやけど何進派の将軍たちは十常侍が何進大将軍を暗殺したと言って暴発寸前や。ただそれが…何進の死因が分かれへんのや」


「それどういうことよ?」


「使者が言うには何進大将軍は何太后様の部屋を訪れた際に体調を崩して、そのまま意識を失くしてそのまま亡くられたという話やけど、でも何太后様や十常侍以外、何進大将軍の遺体を見てへんみたいや」


「はぁ!?その状況じゃ十常侍たちが何進を暗殺したと言っているようなもの。でも今までの十常侍たちのやり口なら別に何進の暗殺を隠す必要ないわ。今回はどうして…」


賈駆は何進の死因に何かあるとは感じているが現状では判断できる材料が殆どない為、結論を出すことができず、まずはこの混乱をどうするかに焦点を絞る。


「取りあえず何進の事は後回しよ。まずはこの混乱ボクたちがどう乗り切るか考えましょう。まずは月の身柄を守ることが第一、華雄と恋、それと音々音も呼んで今後の事を考えるわ」


董卓らは幹部を集めて、まずは自分らの今後の方針について協議することにしたが、張譲はこれを見越してか次なる手を打っていた。


「董卓殿、勅許である」


宮廷から使者を送ってきたのであった。


この時、張譲は趙忠と歓談をしていた。


「これでようやく邪魔な何進が排除できてやれやれですな」


「そうじゃな、後は董卓の小娘を捕らえ、そして何進が諸侯の軍勢を都に集める命令を中止にすれば我々の地位も安泰じゃ」


「しかし…今後の憂いを失くすためには捕らえるのでは無く、いっそ殺してしまった方が早いのでは…」


「董卓を殺してしまえば、呂布や張遼とか暴発すればどうする。そうなったらアッという間に奴らに殺されてしまうわ。それよりも董卓を人質として生かせておいて、奴らを我々の手駒として使った方が有効的じゃ」


「これは張譲殿、策士でございますな」


趙忠の明らかなお世辞な言葉に何も言わなかったが、この時点で自分の策が成功したと思っていた。


「勅許ですって…」


十常侍の一員であり今回の使者である夏惲が賈駆の言葉に反応して


「何じゃ賈駆、陛下の言葉に何か不服でもあるのか!」


「いいえ、夏惲様。この混乱時に陛下から勅許があるとは思ってもいませんでしたので…」


賈駆は自分の不用意な発言に慌てて取り繕う。夏惲は賈駆の言葉を一瞥して、懐から取り出された勅許と思われる竹簡を出すが、それを開かずに


「まあよい、董卓殿。何進が不慮の死を遂げた。その後任に董卓殿が付くこととなった。就任の為直ぐに参内せよとの勅許じゃ」


「謹んで拝命お受けします。ただ…念のため、その勅許を見せていただきますでしょうか?」


「何だと董卓!!こ、これは勅命だぞ!」

 

勅許と思われる竹間を掲げ、喚き立てる夏惲。


「分かっています夏惲様、だからこそ規則とおり勅許を示して欲しいのです」


冷静に話し掛ける董卓の言葉に夏惲は明らかに動揺して


「ぐ……ぐぬぬ……」


すると夏惲は


「ええい!儂は帰る!!」


形勢不利と思った夏惲は慌てて部屋を出て行こうとするが、それを察知した賈駆は


「霞!恋!!出口押さえて!!!」


賈駆の言葉を聞いた二人は


「さて…事情も説明せんと帰るのは早いんとちゃうか」


「………」


既に戦闘態勢になっているこの二人の武人の殺気を感じて夏惲はその場でへなへなと座り込んでしまった。


そして夏惲は取り調べにより今回の張譲の企みを暴露する。そして暴露してやけくそになったのか夏惲は


「ハハハハ、董卓、貴様の様な下賤な出の者などこの国の政に関わろうとする事自体間違っているのだ!貴様など我々の慰み者になるのがお似合いだ!!」


「貴様!貴様に董卓様の何が分かる!!董卓様は民だけでは無く、学が無くただ武しかない私を拾い上げてくれた慈悲深いお方だ!!そんな董卓様を侮辱するとはぶっ殺してやる!!」


夏惲の董卓に対する暴言を聞いた瞬間に華雄が暴発し、夏惲の両襟を己の腕力で抱え上げる状態で夏惲の体を部屋の壁に押し付ける。


「華雄!アカン!!これ以上やったら死んでしまう!!」


張遼が華雄と夏惲を引き離すと夏惲の体は意識を失くしているのか、その場で力無く倒れる。それを見ておかしいと感じた張遼が夏惲を見ると首を横に振りながら


「……あかん。首の骨折れてしまってるわ……」


華雄の失態により、張譲に対する生き証人を失ってしまった。


「華雄、アンタ何考えているの!!こいつが生きていれば勅許の偽証として張譲を追い詰めることできたのよ!!」


逆上していた華雄は賈駆の言葉を聞いて、漸く自分の失態に気付き、その場で土下座して


「申し訳ありません、董卓様!!張譲には自分の首を差し出しますので…」


「……謝らなくていいですよ、華雄さん。私のために怒って下さったのでしょう」


土下座をしている華雄の肩に手をより董卓は華雄に優しく声を掛ける。


「月、何で華雄を庇うの!?」


「詠ちゃん、皆、聞いて。張譲様は己の欲の為、私を軟禁して更に権威を振おうとしました。もし夏惲様が居たとしても張譲様も知らぬ存ぜぬで夏惲様を生贄に差し出してそれで終わりになったでしょう。それにこれの件で私は華雄さんを張譲様に差し出すつもりは一切ありません」


「じゃ月、これからどうするのよ!?」


「……覚悟を決めました。民の為、華雄さんを救うため、今から十常侍たちを殲滅します」


「月…本気か?」


「はい、霞さん。もし嫌でしたら…」


「アホな事言うたらあかんで、月や華雄を見捨てるほど薄情じゃないしウチも十常侍の奴らには腸煮えくり返っていたんや」


「華雄悪くない。私たちの代わりに華雄がやっただけの事」


「そうですぞ、謝るなんて華雄らしくないですぞ」


張遼の言葉に呂布は陳宮も労りの言葉を掛ける。


「この陣営には馬鹿しか揃っていないのかしら…やっぱりボクがいないと駄目ね」


賈駆は顔を赤くしながらそう呟くとすぐさま軍師の目になり


「時間がないから手短に命令を下すわ。霞と華雄は張譲ら十常侍の始末を任せる。それとねねと恋、貴女たちは禁軍が手出しできないように禁軍の将を軟禁して。そして月とボクは兵を集めて十常侍たちが逃げられないのと外部からの応援を防ぐわ」


こうして董卓の挙兵が決行された。


「遅いのを…夏惲の奴、小娘連れだすのにどれだけ時間を喰っているのじゃ」


「まあまあ張譲殿、多分董卓の腰巾着の賈駆が色々言っているのでしょう」


張譲は夏惲が董卓を連れ出すことに時間が掛かっていることにイライラしていたが、趙忠の言葉を聞いて賈駆の事を思い出し


(「あのくそ生意気な小娘も董卓を軟禁した後、一緒に軟禁してやろう。この儂に駆け引きをして地位を高望みするからじゃ」)


張譲は以前賈駆が張譲に対して董卓の高位を望んで駆け引きしたことについて苦々しく思っており、その苦しむ姿を見るのも一興だと思っていた。


すると


“バァァァ――――ン!!”


突然張譲の部屋の扉が何かで爆発したのか、扉が四散していた。


「なぁ……」


「何じゃ、何が起きたのじゃ!?」


張譲と趙忠は突然の出来事に驚愕していると


「よう、腐れ外道共、張文遠と華雄による楽しい楽しい粛清のお時間や」


「な、何じゃと!?貴様らに粛清される謂れはないわ!!」


趙忠が抗弁するが、華雄が


「貴様らの仲間の夏惲が全て吐いたぞ!」


「何じゃと!?者ども出逢え、出逢え―――――!!こいつらを叩き斬れ!!」


華雄の言葉に狼狽する張譲は命の危険を察知し、張譲は董卓軟禁の為にこの場に隠しておいた兵たちに、二人を襲うように命令を下す。


「董卓様を監禁しようとした罪万死に値する、張譲貴様殺す!!」


「ジタバタするんなや!!張譲首差し出せや――――!!」


怒りに燃えた猛将二人に兵たちは殺されていく兵の数は約20人。


一人一人が、一般の将に通じる程度の実力を持っている筈だが、それが五合も持たず呆気なく殺されていく。


このままでは死あるのみと見極めた張譲の取った行動は、単純明快であった。


「貴様等、死ぬ気でこの場を死守せよ!趙忠、ここは貴様に任す」


「はっ!御意に!」


「えっ!?」


張譲はその場にいる者を全て捨て駒になれと命令して逃げだした伏兵たちは張譲に尽くしているので命令に従うであろうが、趙忠は一緒に殺されるのは否だとばかり張譲の後を追って逃げ出そうとするが


「待てや!張譲!!首や!その首ここに置いていけ!その粗末な首此処に置いてけぇ!!逃げるなこらっ!!」


だが、それを見逃す程甘い二人では無い。


張遼は即座に、既に切り倒した敵の者から剣を掴み取り、張譲の後に逃げ出そうとしている趙忠に向かって一直線に投擲した。


「ぐぁっ!」


その剣が趙忠の背中に見事に突き刺り、それが心臓の部分まで突き刺さり趙忠はその場倒れ絶命した。


張遼たちは伏兵たちを全滅させたが、主犯である張譲を取り逃がしてしまったのであった。


自分の部屋を辛うじて脱出できた張譲は


「このままでは董卓たちに殺されてしまう。まずは陛下か何太后様のところに逃げて…」


すると廊下の先には既に董卓と賈駆、それに数十人の兵が待ち構えていた。


呆然とする張譲に集団から董卓と賈駆が出て来て


「張譲様……貴男は今までやり過ぎました。その命貰いにきました」


「ま、待て董卓、儂が悪かった!ま、待ってくれ!何が望みだ!?恩賞か!?官位か!? お前と儂がちゃんと手を組めばこの国をもっと思い通りに動かすことができるぞ!」


「張譲様、私は別に貴男と手を組んだ訳ではありません。民のためと思いここやって来たのです。それに貴男の力を借りずに私に力を貸してくれる人たちと協力して漢を立て直してみせます」


「張譲貴様は殺す!!」


「張譲、そこで待っとけや!」


「待て張遼、貴様は趙忠の首取っただろうが、ここは私に譲ってくれ」


「しゃあないな、華雄ここはアンタに任せるわ」


張譲の後を追跡してきた華雄と張遼は張譲が董卓と一緒にいるところを見つけ迫ってくる。


目が血走っている華雄を見て張譲は


「や、止めろ、董卓、アイツを止めてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!」


「董卓様に害を与える者に慈悲などは無いわ!死ね―――!!」


“ザシュッ”


華雄の武器である金剛爆斧が一閃、張譲の頸が地に転がった。


そして呂布と陳宮も皇甫嵩将軍と盧植将軍や他の禁軍の将の軟禁に成功して董卓軍が洛陽を掌握したのであった。


そしてこれが新たな戦乱の幕開けとなった。



後書き


皆さん投稿が遅くなり申し訳ありませんでした。


自宅療養後に取りあえず職場に復帰しましたが、怪我が完治していないため現場に出る事が出来ず、しばらくの間デスクワークオンリーの仕事になってしまい、要らぬ気疲れ等があり仕事から帰ってから爆睡すると流れで精神的に疲れていました。


そして漸く仕事への現場復帰した後、やや高齢の父親が身体の不調を訴えレントゲンでも問題ありと出たため、病院への検査の送り迎いの付き添いもあったり、今後の事もあり制作意欲がありませんでした。

父親については当初のガンの疑いもあったのですが、様々な精密検査の結果、腰への骨粗鬆症的な症状と貧血気味と年齢における体の衰えという結果でまだ大病に至らず幸いでした。


そして更に今回途中まで作ったのですが、何か合わなかったので一度消して再作成ということもあり遅くなりました。


何とかこの作品は完成するつもりですので、引き続き応援よろしくお願いします。


後書き2


これとは別に以前の後書きで小説家になろう18禁サイトで連載中(小説の方は現在、動画作りと内容修正のため休止中)である。


「恋姫✝無双 ~北郷一刀争奪戦?!」


の動画をニコニコ動画で放映していることを宣伝していることに気付いた作者である一斗缶さん(一斗缶さんもこの小説を読んでくれているそうです)からお礼の言葉と自分のリクエスト動画を作っていただいたのですが、その連載動画が少々はっちゃけ過ぎたみたいでニコニコ動画から投稿禁止の処分が下っていたそうです。それを知らずに投稿されないと思いたまたま一斗缶さんのHPである


「一斗缶の館」: http://ittokan.com/


に覗いて見たら、動画をリメイクして再投稿されていました。


作品も色んな意味でパワーアップしているのでまた見ても飽きませんよ。これを知らないファンの方は動画を見に行って下さい。


最後にそして以前XOPさんに訂正を指摘していただいた件ですが、修正については手間なので気が向いた時に訂正する方向ですのでよろしくお願いします。




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