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第28話

董卓を何とか上洛させた張譲は新たな手を打とうとしていた。


「張譲殿、私に話があるとはどの様な要件ですかな?」


張譲は自室に呼んだのは十常侍ナンバー2と呼ばれている趙忠であった。


「まあ立って話をするのも無粋じゃ。まずは座って話をしようではないか」


張譲は趙忠を席に座らせ、部下に人払いをさせた。


「趙忠一つ聞きたいのだが、そなたの食客に“アレ”を芸にしている者がいると聞いているが真か?」


「“アレ”とは…張の事でしょうか?」


「おお、そ奴の事じゃ」


「これは張譲殿にあのような者の評判が耳に入るとは……あ奴が張譲殿に対して何か粗相しましたか?」


「別に何かした訳ではない。その者を儂に貸して欲しいのじゃ」


「貸すですか…?貸す事には問題ないですが…失礼ながらあ奴は“アレ”以外何も得手が無く、宴会芸の盛上げ役にしか使えない奴ですぞ?」


「それは儂も聞いておる。だが今回はそ奴の力が必要なのじゃ」


「どういう事でしょうか?」


「趙忠、耳を貸せ」


張譲は趙忠に対して、小声で理由を説明する。


「……話は分かりましたが、成功するでしょうか?」


趙忠は張譲の説明を聞いて疑問の声を上げる。

「それは分からぬ。だがこのまま何進と対立すれば姉妹という血で我らは負けてしまう。それを覆すには普通の手段では無理じゃ」


「それに最近では陛下の体調悪化により……様もしばらく閨から遠ざかっている。まず餌を蒔いて喰いつくかどうか試すのじゃ。成功すれば良し、喰いつかなければまた方法を考えるまでじゃ。それに……様も生娘ではあるまい、餌に喰いつく可能性は十分あると思うぞ」


「そうですな…仮に餌に喰いつかなくてもそれまでの事。仕掛けてみる価値はありそうですな。では分かりました、近いうちに私の方で理由を付けて宴会を行い、色んな者に話をばら撒きましょう」


「頼む。私の方も……様の耳に入れるようにして誘い出す様にしよう」


~西涼~


ドン!


「いたーい!!」


落馬して大声を出していたのは、小蓮であった。


小蓮は西涼にいる間、自分専用の馬を充てがって貰ったので早速騎乗しようとしたが……


「この馬、何で私の言うことを聞かないのよ!」


一応騎乗できる小蓮だが、呉で育っている馬より涼州産の方が体格が良く、また与えられた馬は気性が少々荒いこともあり、何度も落馬を繰り返していたのだ。


自分の思う通りに動かない事に馬に八つ当たりの声を上げるが、蒲公英が


「シャオ、いきなり馬を無理やり動かそうとしてもそれは言う事聞かないよ。馬と一心同体の相棒ならないと」


「私の実力はこんなものじゃないもん!この馬とは私と相性が合わないだけだから!!」


「シャオ、そんな事言っていいのかな?」


蒼がシャオに疑問の声を上げる。


「蒼、それどういう意味よ!」


「意味?あれ見てごらん」


蒼は広場の方を指さすと


「エッ…嘘…?」


「ハハハ―――!みんな見るのじゃ!わらわもこれだけ乗れる様になったぞ―――!」


蒼の指差す方を見ると何と見事に騎乗している白湯の姿があった。


小蓮は呆然としながら白湯の姿を見ていると


「白湯様はね。ご主人様たちが遠征している間、練習中何度も落馬してそして自ら馬の世話までしてあそこまで乗れる様になったんだよ」


蒼から説明を聞くと小蓮は未熟ながらも武人としての心は持っている。これ以上言い訳するのが流石に恥ずかしかったのか、これ以上何も言わなかった。


そして稽古を終え、白湯が見学していた一刀たちに気付く。


「一刀!紫苑!わらわもここまで馬に乗れる様になったもん!!」


「凄いな白湯。俺なんか馬に乗れるまで結構時間が掛かったからな…」


「そうですね…ご主人様は昔、何かと練習を抜け出したりしてサボっていましたから、騎乗の上達が遅かったですわ」


紫苑は微笑を浮かべながら一刀の過去を暴露する。


「ハハハハハ」


紫苑の暴露に皆、笑い声を上げる。


「さて白湯様、ちょっとした褒美に私特製のおやつができましたので一生に食堂に行きましょうか」


「やったー!紫苑のおやつは美味しいから、今すぐ行くもん!!」


紫苑は騎乗に成功した白湯に褒美という形でおやつを振舞う事にしていたので、白湯は喜んで紫苑に付いて行く。


それを見た小蓮は白湯に負けてられないと感じて蒲公英に教えを請い、黙々と練習を始めたのは言うまでも無かった。


「でも凄いな蒼は、白湯をあそこまで教え込んだのは」


「それは違うよご主人様、あそこまでのできたのは白湯様の努力があったから、蒼は少し教えただけだよ」


一刀は白湯を上達させたのは蒼の力だと褒めるが、蒼は白湯が上達した自分の力では無いと否定する。


それを聞いた一刀は


「蒼、優しいね。白湯が言っていたよ。蒼が本当のお姉さんみたいだって」


「恥ずかしいねそんな事言われるのって……ご主人様たちが遠征の間、蒼は白湯様とずっと一緒に居たから色んな事を話したの。お母さんが何太后様に殺された事や白湯様も何太后様に何時殺されるか分からずにずっと怯えていた事やそのためお姉様の劉弁様とはほとんど話がしたことがなかったから姉妹仲良くというのが無かったそうだよ」


「そうか…だから白湯が、蒼が親切にしてくれるから余計にそう感じたかもしれないね」


「でも私も実は白湯様みたいな妹が欲しかったんだ。私、三女で従妹に蒲公英様もいるけど、4人の中で1番下でしょう。今はそうでもないけど、昔なんて何するも遅くて競争するにもいつも負けていたんだよ」


「あーそれ分かるな。一番下というのはどうしても力が弱いから損だもんな」


「そうでしょう!ご主人様、だから何するにも蒼は一番最後になるんだよ!ご主人様の寵愛受けるにも!!」


「……えっ!?」


蒼の言葉に一刀は驚きの声を上げる。


「ご主人様、鶸ちゃん抱いたでしょう?これでも蒼、翠お姉ちゃんと鶸ちゃんが抱いてくるのを待っていたんだから、先に蒼がご主人様とかに夜這いを掛けても良かったんだけど、それをすると鶸ちゃんが可哀想だから待ってたんだよ」


「はぁ?ちょっと待て蒼!?」


「え――!どうして!!翠姉様や鶸ちゃん、蒲公英様たちだけ相手して、ご主人様私だけ除け者にするんだ――!!」


蒼の突然の発言に焦りを覚える一刀。


「取りあえず大声を出すのは止めてくれる?」


「じゃあ私のお願いを聞いてくれたら止めてあげる」


「ハァ…分かった。今晩開けておくよ」


「やったー!蒼は今からでもいいよ!!」


「今から!?幾ら何でもそれは無理だろ…」


「蒼は全然気にしないよ!むしろ皆に見られて燃えるというか、外でやるのもわくわくして…。あっ、でもご主人様に無理やりされるのもいいかな…」



「蒼ちゃん、無理言ったらいけません。ご主人様が困っているではないですか、今晩は蒼ちゃんの為にご主人様は時間を空けているから」


一刀たちが来ないので様子を見に来た紫苑が二人の会話を聞いて漸く仲裁に入る。蒼も紫苑に会話を聞かれていたので、残念な表情をしていた。


そして一旦先に蒼を食堂に行かすと一刀と紫苑の二人になると


「参ったな…蒼の押しの強さには」


「まあまあ蒼ちゃんも悪気がある訳ではないですから」


「確かに…まあでも後、蒼の妄想ぶりは凄いな…」


「そうですわ……」


紫苑は返事をしながら何かを考えている様子であったが、それから数秒してから紫苑は明らかに何かを企んでいる顔をして笑っていた。


すっかり日も落ち食事を終えると一刀は紫苑の指示で鍛錬と入浴を済ませてから来て欲しいとのことだったので、取りあえず指示に従い一刀は城内の自分の部屋へ向かって進んでいた。


一刀は部屋に入ると紫苑と蒼がいたのだが…何故か紫苑はS○の女王様のボンテージ姿をしており、そして蒼は紫苑に縄で胸等を身体を縛られていたが…その姿は全く嫌がる素振は無く、寧ろ官能的な表情を浮かべていた。


「えっ…と紫苑、これはどういうことかな?」


突然な状況に一刀は取りあえず紫苑に事情を聴く。


「蒼ちゃんの妄想を少しでも実現できるよう協力しただけですわ」


「協力?」


紫苑は蒼に一刀の初夜に自分の妄想を実現して欲しいか否を確認したところ、蒼は喜んで自ら妄想の実現を望み、そしてまずは自分を虐めて欲しいということで紫苑は雰囲気作りの一環として、何故か女王様スタイルをしていたのであった。


紫苑の説明を聞いて一刀は呆れていたが、念のため蒼にも聞く。


「なあ…蒼、蒼の初夜、こんなものでいいの?」


蒼は紫苑の攻めを受けて既に顔が惚けていたが


「うん…蒼ね。ご主人様と紫苑様に攻められて蒼を無茶苦茶にして欲しいの」


蒼は紫苑に調教を受けて我慢できない状態で、ここまで準備されては仕方が無い。


一刀は紫苑のお膳立てに乗っかる形になったが色んな意味で激しい一夜を過ごしたのであった……。






前回に一斗缶さんの「恋姫✝無双 ~北郷一刀争奪戦?!」の動画について広告しましたが、その動画において絵師募集を行っています。


もし興味がある方は作者である一斗缶さんの動画HPにメッセージを入れて上げて下さい。ご協力よろしくお願いします。



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