調査開始!(ガイ、魔里パート)
ここからパートが分かれます。今回はガイ、魔里パートです。
魔里とガイは、探偵事務所で準備と情報収集をおこなっている。この様子だと今日は眠れなさそうだ。
俺は、椅子に座ってノートパソコンで情報収集をしている。様々なワードで検索をかけるがこれと言った情報は出てこない。
「どのワードで調べればいいんだ? これっと言った情報は出てこないな。魔里! お前の方はどうだ?」
「私の方もこれっと言った情報は………ん?」
魔里が耳からの声に反応する。
「何かあったのか?」
「少し静かにしてくれ。………生存者2名の内1人が死亡。もう1人は天龍院学園に搬送………!?」
それを聞いた魔里が顎に手を当て考え込む。
「待て、少し引っかかる。私達は何かを忘れている……。死亡、搬送、経路、時間、そして失踪。ここに何か気付きそうで気付かない何かがある」
それを聞いて俺は、パソコンで検索をかける。どうやらさっきの情報はもう既にネットに広がっていた。
「しまった……!! 既に情報が筒抜けだ。最悪…………」
俺の脳に電流が走る。今の時間は夜、現在搬送中、そして保護されていた大型大学から天龍院学園まで車で2時間、ここから天龍院学園まで30分。最短ルートは大型の高速道路。あそこの交通量はかなり多い。
あそこで襲撃があったら? 被害は数え切れない程になるだろう。俺たちが取るべき行動は…………
「魔里! 搬送の時の経路と護衛の規模を教えてくれ!」
俺は大声で魔里に言う。魔里はそれを予想していたのか、すぐに答えてくれる。
「経路は大型の高速道路。さらに護衛は特殊部隊と警察の車両がそれぞれ一つだな」
駄目だ。足りない。何かあった時、絶対遅い。どうする!?
「今すぐ、車を出す! 早くしねえと襲撃が来るぞ!!」
そして俺達は高速道路に向かった。
今、俺達は車で移動している。はっきり言って、信号無視で走っている。魔里が助手席で無線機から聞こえる声を聞き、メモをとっている。
「今、襲撃があった! 場所は高速道路の入り口!! 敵は1人で氷系の魔法を使用! 早くしないと全滅だぞ!」
「後少しだ! 見えた!!」
車は立っている男に突っ込む、だがその男は車を芸術品の様に凍らせた。
彼の口からは白い息が出ている。
俺は窓を破り男に向かって蹴りを入れる。男の首にヒットするが、彼にはダメージを負った様子は無い。
「また人間か………。こんな貧弱な生き物の相手を俺はいつまでやらされるんだ?」
俺は直感した。次に起きる出来事を。俺はすぐに後ろに跳ぶ。予想は当たった。さっきまで居たところに氷柱がある。氷柱の先は槍のように尖っていた。
「ほう? 貴様。俺の魔法を回避するとはな。少しはやるようだが……!!」
その時だった。そこにいた男は俺の後ろに居た。
「この魔法には反応出来ないようだな!」
それは俺にとっては信じられない光景だった。男の蹴りが俺の腕に当たった時、車が大爆発した。中にいた魔里は………!!
「魔里いいいいいい!!!!!」
その叫びは無駄だったかも知れないと数秒後に分かる。
「どうした!? 人間!! この俺を楽しませてみろ!!」
次は左か? だが次に起きたのは予想も出来ない出来事であった。男は自分に向かって左の位置にいた。だから俺はガードの体制をとった。両側からの攻撃に対応するために。だが、衝撃は両側から来た。自分の肩に衝撃が走る。
(何が起きた!? 俺はガードしたはず……!! なのに奴は何もしてないのにガードを貫通して衝撃をいれてきた!?)
「何が起きたのか理解できていないようだな。なら教えてやろう。今、起きた事を!」
男は指を鳴らす。指を鳴らした時、警察と特殊部隊の車両両方が爆発した。
「これが俺の魔法。『時の支配者』だ。俺は時間の流れを止める事が出来る。いや、固めるの方が表現としては正しいな」
「訳わかんねえ事言ってんじゃねえぞ!」
魔里が車の残骸から出てくる。彼女は目にも止まらない速さで銃を撃つ。だが銃弾は宙に浮いたまま凍った。
「どうだ? これが俺の力だ。だが、お前達は褒めてもいいな。俺を相手に5秒以上、立っていた。チャンスをやろう」
男はUSBメモリーをガイに向かって投げる。ガイはそれを受け取る。
「そこには今回、事件を追っている奴と俺達のデータが少しだけある。明日には天龍院学園で襲撃があるぞ? 下手したらお前達に協力してくれる味方が死んでしまうぞ?」
「お前の目的は何だ? 何故、俺達を生かす。俺達がお前達の害になるかも知れないぞ?」
「俺は、ただ単に強い人間と戦いたいんだよ。それだけのシンプルな答えだ。お前達は俺を超えるかも知れないと思った。せめてこの事件ぐらいは解決してくれないと困るな。俺はお前達がどう行動していくか見学させてもらおう。じゃあな」
男は消えた。魔里がこっちに来る。
「奴は、何なんだ? 肩は大丈夫か?」
「あの男。俺に付けた傷全てを治療して行きやがった。取り敢えず帰って、このデータを見る方が先だな」
俺のポケットに車のキーが入っていた。そして、すぐそばに新品の車がある。俺は頭を抱える。奴は何でここまでやるんだ?と。