僕は幽霊を見た事がない
かやまは不思議な事が大好きです。
この世の中の信じられないこと、思わず誰もがのけぞるような事を見てみたいといつも思っています。
怪奇な現象全般、幽霊もその一つです。
でも、夏が終わり、今年も幽霊シーズンが終了しました。
今年もかやまは幽霊を見る事が出来ませんでした。
思えば、心霊写真が小学校で流行して、
他人に見せてもらって以来、幽霊っていつか見てみたいと常に願っていますが、
現在に至るまで見たことはありません。
それもこれもかやまは絶望的なまでに霊感がないからです。
今まで、危ない、あそこ出るぜってという噂のあるところを通った事は数知れず。
そんなところに行っても、気味が悪いなとぐらいしか感じません。
なんかぬるい風が流れているぜと思うくらいです。
例えば京都に学生の時、古文書の調査に連れて行ってもらったことがありました。
古い寺に泊まって、一日中、狭い部屋に缶詰になってクーラーなしで古文書を撮影します。
この作業はとても大変です。かやまは歴史専攻でもないのに借り出されました。
古文書は清潔なものではありません。埃だらけの茶箱に入っていて、ネズミの尿で染みたりしています。
そんな虫食いだらけの紙を竹べらで剥がして広げ、上からライトを当ててカメラで一枚一枚、撮影します。
データとして保存するというわけです。
激しい暑さの中、午前中は元気でも午後になるとみんな疲れで無言なります。
そんな中、かやまには期待がありました。ここには幽霊が出るという話です。
泊まったのはごく普通の和室でしたが、
先輩にこの部屋は出るみたいなことを言われて、期待しましたが、二週間居たけど何も出ませんでした。
それよりも、疲れて苛立ちから、引率の先生同士が些細な事から、口論、殴りあいになりました。
いい大人がと思いましたが、それほどみな疲れていました。
じゃあ、定番の金縛りになるかと思いましたがそれもなりませんでした。
金縛りって心霊現象と言うよりも、疲れからなるものらしいです。
それからかなり本気で幽霊を見たいなって思うようになり、心霊スポットを検索していってみることにしました。
検索すると自宅の周りにも、KトンネルとかK崎公園とか有名なのがあることがわかりました。。
週末になり、夜になるといろいろ準備して行ってみました。
当時は若かったので、期待でドキドキです。
目的地のKトンネルは古都の傍にある有名な心霊スポットです。
全国、色んな心霊スポットがあると思うけど、変な言い方ですがKトンネルはこの地区ではトップだと思います。
そこは上に火葬場があるとかで、上から女が落ちてきたとか、乗せたとか色々話があります。
でも、どういうわけだかこういう話って、女なんですよね・・・・・・。
ごつい、男を乗せたとかそういう話ってないんですよね。不思議な事に。
まあ、それはいいとして、片道1時間かけて自転車で到着して、はやる気持ちを抑えて、隧道内へ入ります。
行ったりきたり、行ったりきたりして、カメラで撮りまくります。
でも、幽霊は出てこない。写真も何も写りません。
トンネルの染みが動くとか知り合いから聞いて、
じーっと見つめるが動かない。
夜なんだけど、車はそれなりに通って行く。
人もごくたまに通って、何やってんの?とばかりに一瞥をくれて去って行く。
だんだんとじぶんは何やっているんだろうと悲しくなっていきます。
感覚的にも慣れて、気味悪いとかそういう感じもなくなって、夜のトンネルを男がうろうろしている
構図なんだなとじぶんを客観的に見られるようになってきます。
蚊にも刺されるし、なんかいたたまれなくなって、帰宅しました。
するとトンネルを去り際に、急にゾクゾクしてきて、おおっこれは噂に聞いたあれかみたいな感じになって、
肩が重くなっているぞ、うれしくて家に帰って、部屋を暗くしてみるけど、何にも起こらない。
そればかりか久々に自転車で遠出して、運動して疲れて睡魔に負けて熟睡、
悪夢もなくすっきりと起きて、デジカメを確認してみるけど、
手ブレの下手くそな写真が写っているだけで何もないんです。
諦めきれず今度はしばらくしてとK崎公園にも行って、
暗い公園を何週もしたけど何も起こりませんでした。
その後もいろいろ行ったけどみたことはありません。
その内に心霊スポットへ行くのは死人をバカにしているような気もしてきたのでやめました。
それに心霊スポットへ遊びで行くのは迷惑行為らしいのです。
心霊スポットで放談したり、タバコを捨てたりと近所の人々の迷惑になっているのを知り、自分はそんなことしないけど、やめようと思いました。
今年の夏も、仕事であちこち行きましたが、やっぱり幽霊には遭遇しませんでした。
そんなこんなで、僕は幽霊を見た事がないのです。
でも、いつの日か、かやまの肩を白い手が叩くことを夢見ています。
それはホンとにやばいことなんだろうけど・・・・・・。