第二話 異世界に平穏な眠りはありますか?
「いつま・・・・・寝・・・ですか? ほ・・・てくだ・・よ。」
いつかに聞いた美しく細い声がとぎれとぎれにベッドの上に届く。
その声に反応した明は薄く目を開いたが、まだ寝ぼけていた。
「・・・わぁ、ソーメンだ・・・・。いただ・・す」
体を起こさずに美しい声の持ち主ににじり寄り、ガブッと銀の髪の毛をいただいた明。
急すぎる訳のわからない行動にかたまる相手。なぜソーメンなのかは寝ぼけたせいだと思っておこう。
ほんの少しの間なのにやたらと長く噛み付いていたような気がする短い静寂の中、先に動いたのは明だった。
「うわ・・・なにこの麺・・・まっずいよ・・・!!ってあれ?」
かぶりついていた麺の不味さにようやく目を覚ました。しかし逆にかまれた方は固まってしまった。
美しかった銀色の長い髪は明の涎がべとべとにくっつき、汚れて汚い。
明はいつまでも固まっている彼に少しばかり罪悪感をおぼえたからか、目の前で手を振り出した。
「あのー、大丈夫ですか? おーい!・・・・髪の毛は洗ったらなんてこと無いかのようになおりますから、元気出してください。」
「それ、あなたがいう事・・・ですか?あんな着地をさせた私への恨みですか?」
「着地?・・・あぁ!!あの人だったんですか!・・・別にコレは恨みとかでなくってですね、寝ぼけていただけ「ふざけてるんですか?」すいませんっしたああああああああ!!!」
明の言葉は彼の怒りを増幅させた、そのおかげかは分からないが殺気が部屋の中に溢れていた。
一般家庭で育った彼女は重すぎたその空気にチーターびっくりの速さで頭を下げて謝った。
「命の恩人に対してその態度ですか?あなたの育ちをぜひとも見てみたいものです。」
「本当に申し訳ありませんでしたですからその変な圧力みたいなの引っ込めてください!!!!」
「変な圧力・・・?「すいませんでした!その輝かしいオーラを引っ込めてくださいでした!」
こんなやりとりを約1時間くらいにわたってやり続けた結果、明の体力切れで終了となった。
だがそれで許すほど甘くなかった彼は明に正座をさせて用件を話すことにした。
「・・・私はあなたに用があって来ました。」
「はいなんでしょうか。」
さっきの事があり、彼に下手なことはしてはいけない。と学んだ明。
そんな彼女に悪魔のような知らせがやってきた。
「王に相談した結果私の案が通りまして、あなたをこの城の研究グループで引き取る事になりました。
もちろん実験体としてですが。」
「は?」
「ですから実験体に「OKわかったからもう言わないでくれ」
「!では実験体になるのは了承の上って事になりますね。よかった・・・国に被害が及ばない・・・」
「なぜそうなる!!ゼッタイに嫌だ!!」
「・・・そうですよね。ま、こちらも分かっていただけるとは思っていなかったので策はあります。
ちなみに、拒否権はありませんので・・・ねっ!」
最後にやたらと力をこめて話した銀髪の男は、それと同時に首の後ろにまわり手刀を叩き込んだ。
そして苦しそうな声を出し意識を薄くした明はゆっくりと地面に倒れこんだ。
今日もまた、明の一日は強制的な眠りで幕を閉じた。
銀髪の名前出し忘れた・・・!