第二章 第七話 ~どことも知れぬ暗き部屋で~
その部屋には一本のロウソクしか明かりがなかった。
部屋の窓には全て分厚いカーテンが掛けられ、外の光を完全に遮っている。
そこで、ローブに身を包んだ男とも女とも分からぬ複数の人影が、ぼそぼそと話をしていた。
「……とりあえず、安定はしたのか?」
「安定はしたようだな」
「術式の進行はどうだ?」
「ほぼ予定通りだ。この分なら、予言されたときまでには十分間に合うだろう」
「魔王討伐の動きはあるのか?」
「まだ、それほど余裕はないようだ。ただ、一部にそういう動きはある」
「では、解放の見込みが消えたわけではないのだな?」
「そうだな」
「だが、何年かかるか分からぬぞ」
「それも想定のうちだ」
「そうだ、想定のうちだ」
「問題は、予言されたその時までに力をつけられているかどうかということ」
「そうだ、それこそが問題だ」
「如何にも。それこそが唯一の問題だ」
「しかし、最早賽は投げられた。我らには待つしかできない」
「いや、導くことは出来よう」
「それは可能やもしれぬ」
「しかし、誰を導く?どうやって導く?」
「それは分からぬ。だが、それを話す時間はたっぷりある」
「そう、まだ今から決めることも出来る」
「では、待つだけではなく、導けるか否か、話し合ってみるとしよう」
「そうしよう……」
そうして、暗い部屋の中で、彼らの話は続く。
いつ、その話し合いが終わるのかは、彼ら自身すら知ることはできない。
その時が来るまでは。
第二章?終了です。
近いうちに、章の最初の前書きと最後の後書きを残して、前書き・後書きを全部消します。PDFで見るときに邪魔?なのと、章の最初と最後が分かりづらいので。