『アプリストス』前編
この話を書くにあたり、Ceezさんに許可をいただきました。
「アプリストス?」
「エデンの園に新しく出来たショッピングエリア」
「どんな物が売ってるの?」
「殆どの物」
「武器とかも売ってるの?」
「もちのろん」
「行きたい」
「僕も本とかを買いに行きたいです」
「新しい調理器具が欲しいです」
「私も行かさせてもらおうか」
――アズキと二人で話してたはず何だけど……。
「アズキさん、明日全員で行くのはどうでしょうか?」
「ようし、皆で行くぞ!!」
「オー……」
「はい」
「――何でアンズーとアリエル以外言ってくれないの?」
「僕は行けません。 明日はグリフォンの世話があります」
「私も武器の手入れがある」
「……そういえばまだ書類が片付いていなかった」
「……じゃあ三人で行きましょう」
「「オー!!」」
――こうして三人でアプリストスに行く事になった。
翌日
「ようし、食べ歩きだ!!」
「あ、珍しい食材が売っています」
「うわぁー、確かになんでもあるわ」
私達はアプリストスに到着した。
「まずはどこ行く?」
「アイン様の為に本を買いたいのですがよろしいでしょうか?」
「それじゃ、本屋にマッハGO、GO、GOー!!」
私達はアプリストス最大の書店『グノスィ書店』に向かった。
「うわぁー凄い数の本ですねぇ~」
「ここはこの辺りで最大の書店の様です」
「でも何で書店が沢山あるんですか?」
「専門書の専門店や図鑑の専門店などがあるみたいです」
「あたし、本苦手~」
「アズキさん。 本は知識を蓄えるのに必要ですから、様々な本を興味が赴くままに読めばいいんですよ」
「アリエルがそんな事を言うなんて意外。 アリエルは決まったジャンルの本を読むのかと思ってたのに」
「確かにアリエルさんらしくない言葉ですね」
「ふふ、アイン様からの教えです」
「そっかアインか……。 ――ところでアインに何買うの?」
「少々お待ち下さい」
アリエルは周囲をサーチして目的の本を発見した。
「この本です」
「何て本?」
「Ceezの『リアデイルの大地にて』という本です」
「どんな本?」
「ハイエルフの主人公ケーナがゲーム世界を冒険するお話です」
「面白そうな本ですね」
「あたしはマンガじゃないと読めな~い」
「アズキさん、好き嫌いは駄目ですよ」
「あたしはマンガ買ってこよーっと」
アズキはアリエルから逃げていった。
「――では私はこの本を買って参ります」
アリエルさんも行ってしまった。
「どうしようかな――ん?」
私は一冊の本が気になった。
「ネクロノミコン?」
そう表紙に書かれている。 作者はアブドゥル・アルハザードと書いてある。
少し読んでみる……。
『其は永久に横たわる死者にあらねど、測り知れざる永劫のもとに死を超ゆるもの』
「どういう意味?」
次のページを読もうとする――すると!
「それ以上読むと発狂したり、失踪したりしますよ」
「アイン君!?」
――振り向くとアインがいた。
「どうしてここに?」
「グリフォンの世話が早く終わったんで来てみたんです」
「……この本は何?」
「ネクロノミコン。 ――クトゥルフ……またの名をクトゥルー、ク・リトル・リトルとも言われる発音不明の名Cthulhuを持つ固体の名が付けられた神話、クトゥルフ神話に登場する呪いの本です。 ――ちなみに杏さんが見ていたページの現代語訳は 『そのものは永遠に死んだままの死者ではない、異様なものが到来するとともにその死は終わりを告げる』――という訳になります」
「アイン君は読んでも平気なの?」
「はい。 対禁忌図書のスキルを持っていますから」
「禁忌図書?」
「その本の様に強力な呪いがかけられた本の事です」
「……何でそんな本を読んじゃったんだろう」
「禁忌図書には人を引き寄せる魔力があります」
「怖…………」
「杏さん。 世界には読んではいけない本があります。 幸せに暮らしたいのなら、その本の中身は知らない方がいいですよ」
「分かりまし――」
「あ、アイン発見!!」
「アイン様も来てらしたんですね」
アズキとアリエルが戻って来た。
「グリフォンの世話が早く終わったんで来てみました」
「アイン様、頼まれていた本です」
「ありがとうアリエルさん」
「もうそろそろ昼だからご飯行こうよ」
「賛成です。 アズキさん」
「アズキの案に一票」
「私も賛成」
私達はレストランフロアに向かった。
Ceezさん『リアデイルの大地にて』の名前を使わさせていただき、本当にありがとうございました。