エデンの園
アズキが大活躍します。
「……広すぎる」
高校生にもなって家で迷うなんて恥ずかしい。
「おはようございます。 杏さん」
「あ、アインさん」
「敬語は使わなくていいですよ。 現実では同い年なんですから」
「でもアインさんだって、敬語じゃないですか」
「僕は基本的に女性に対しては敬語です」
「そうなんで――」
「アンズー見っけ!!」
「うわっ!?」
突然アズキが目の前に現れた。
「びっくりさせないで下さ――」
「先輩命令敬語は禁止!!」
「はい、あっ、……うん」
「よろしい」
「アズキ、何の用?」
「順応が早いね~」
「なんかアズキって同格な気がするんだよね~」
「しっつれいな、私はこう見えても716歳なんだぞ!!」
「僕は717歳ですよ」
「……どういうこと?」
「あたしとアインとアンネローゼとアンジェリカは700年前のこの世界に転送させられたの」
「歳を取っていないのはスキル『不老』のおかげです」
「アリエルさんは?」
「アンドロイドだから永遠の17歳ですよ」
「――そういえばアンズー何してるの?」
「アリエルさんから『武器研究室に来て下さい』ってスキル『以心伝心』で呼ばれてて』
「じゃああたしといっしょに行こう」
「ありがたい。 ……実は道に迷っちゃって」
「プッ、じゃあ行きましょ」
「うん」
アズキめ~笑ったな。
「隣のB館の5階のB517号室が武器研究室だよ」
「エデンの園っていったい部屋が幾つあるの?」
「AからZ館まであって、A館の一階の1号室がA101号室、B館五階の17号室がB517号室ってわけ。 更に司令室、地下訓練施設、外部研究所とかがあるから、50000室くらいはあるんじゃない?」
「何か絶望した」
「大丈夫。 スキルの『自動地形記録』があれば一度行った場所は記録されるから、一度でも行けば場所が分かる様になるよ」
「私も早くスキルが使いたい」
「たぶんそのためだな~」
「何が?」
「ひ、み、つ」
「――けち」
「けちでけっこう、コケッコー」
――そんな話をしている内に武器研究室に着いた。
「アリエル、珍獣アンズー連れて来たよ」
「ありがとうございますアズキさん」
私って珍獣?
「それではここに寝て下さい」
「はい」
機械がいっぱい付いたベッドに寝かされる。
何かさっきからアズキが笑ってる気がする。
「あの~何をするんですか?」
「健康診断及び、基本スキル習得です」
「何で健康診断するんですか?」
「私と会った時にラプトルに攻撃されて左腕を負傷しましたよね。
あの時、あの森では呪いが発動していたので、たとえ些細な怪我であっても呪いの影響で傷が治った後も油断出来ないんです」
「私ってそんなやばい状態何ですか?」
「――調べてみた所、大丈夫の様です」
「よかった~」
「次に基本スキル習得に移ります。 これを被って下さい」
「はい」
ケーブルが繋がれたヘルメットを渡される。
「少し痺れますけど我慢して下さいね」
「――……へっ?」
ビビビビ……
――アズキの馬鹿笑いを聞いたあと私は気絶した。
「アズキさん、大成功ですね」
「やっぱり人が痺れるのを見るのって楽しいわよね」
「はい、とても勉強になります」
「アンズーもバカよね。 健康診断が終わった時にはもうスキルが使える状態なのに気付かないなんて」
「気付かなかったのは杏さんが初めてですね。 大変興味深いです」
「アンズー。 苺大福の恨みは怖いぞ~。 フハハハハハ」
……こうしてアズキの杏にたいする仕返し大作戦は成功に終わった。
次回はエデンの園内のショッピングエリアの予定です。