未来の過去 後編
アインがアンネにバトンタッチして話は再開された。
「――九条蓮華の死亡原因は死神による攻撃からアンジェリカを庇い出来た傷からの存在消去が原因だ」
「存在消去?」
「ナノマシンによって異常進化した死神の体細胞組織には人間の存在自体を《無かった》事にする呪いが発生していた」
「どういう事?」
「つまり死神に触れられるだけでその人間はこの世界には居なかった事にされる」
「そんな!?」
「だからアンジェリカは消えゆく蓮華にナノマシンを投与した。
結果、蓮華は生き返ったがすぐに消えた」
「消えたってどういう事?」
「歴史を変えるために過去に飛んだと我々は推測している」
「もしかして私やアルフ君が道で出会った女の子ってまさか!?」
「多分九条蓮華本人だろう」
「でも何で私達の所に来たの?」
「多分2010年の杏とアルフを救って世界を変えたかったんだろう」
「どういう事?」
「もし、2010年にアルフが蓮華に会っていなければ彼は死ぬ」
「えっ!?」
「な、何でですか?」
流石に自分の話は無視出来ないらしくアルフも話に参加し始めた。
「僕は何で死ぬんですか?」
「九条蓮華に会わなければお前は帰り道で交通事故に巻き込まれ死んでいた」
「交通事故……ですか?」
「そうだ。 九条夫妻とアルフ、その他大勢の一般市民を巻き込んだトラック横転事故でお前は死ぬ予定だった」
「ま、待って! お父さん、お母さんと同じ場所にアルフ君もいたの!?」
「そういう事になる。 だが、アルフは蓮華に会っていた為に事故には遭わなかった」
「もしも僕と杏が九条蓮華に会っていなかった場合にはどうなるんだ?」
「アルフ、お前は死に、杏は自殺未遂の後に永遠の命を得ようとして科学者になり最終的にはアンジェリカになる」
「三人の大切な人を失った結果がアンジェリカさんなんだ……」
「そういえば何で僕も九条蓮華に助けられたんですか?」
「簡単な事だ。 杏の大切な幼なじみにして――」
「「幼なじみにして……」」
「杏の愛する人だからだ」
「「ええっ!?」」
「そ……そうなのか杏?」
「う……うん」
二人は見つめあい数秒――
「杏」
「アルフ君」
二人の距離は縮まり……
「はいはい、続きは部屋でね~」
アズキの一言で二人は顔を赤くしながらそっぽを向いた。
「残りの話はより詳しい事実が分かってから話そ――」
「は~い、ここからはアズキの素晴らしい話で~す!!」
突如アズキがスーパーハイテンションで話し始めた。
「私達はこれからはイレギュラーハンターではなくアライアンスと名乗る事に決まりました!!」
「それってACLRじゃ……」
「名乗ったもん勝ちよ!!」
「そ……そうなんだ……」
「という訳でアライアンスの初任務はアンジェリカのお見舞いにしま~す」
『『『行きましょう!』』』
こうしてイレギュラーハンターの名は歴史から消え、新しくアライアンスが歴史に名を残していく事になる。
――私は杏、アライアンスの新たなる一員――
次回から第三部の予定です。
これからもよろしくお願いいたします。