アズキの言葉
今回も短めです。
杏は夜の街を歩いていた。
「私は何をすればいいの……?」
自問自答してみたが、答えは得られなかった。
「おーい、アンズー」
アズキが私の事を待っていてくれた。
――だが、今の私にはアズキが物凄く遠い存在に感じた。
「いっしょに帰ろ!!」
「……先に帰ってて」
「待っててあげたのに冷たいなぁ~」
「アズキ」
「な、何よそんな真剣な顔しちゃって?」
「私は誰なの?」
「えっ!? だ、誰って杏でしょ?」
「じゃあアンジェリカさんは?」
「アンジェリカはアンジェリカでしょ?」
「――〈私はお前だ〉ってアンジェリカさんに言われたの」
「えっ!?」
「あの時のアンジェリカさんは真剣だった」
「つまり嘘は言ってないって事ね」
「うん……多分ね」
「――で、何でアンズーは悩んでんの?」
「えっ!?」
「別にそんな事は気にしなくていいじゃん」
「で、でも……」
「杏がここに居て、アンジェリカもここに居る。 それでいいじゃん」
「それだと私が二人――」
「杏は杏、アンジェリカはアンジェリカ。 別々の人でしょ?」
「うん」
「それでいいじゃん」
「うん」
「アイン達はアリエル達を迎えに行ってるからリリアーヌの森へ行こうよ」
「うん。 ありがとうアズキ」
「へっ? あたしは何もしてないって」
「ううん、私を救ってくれた。 ありがとう」
「……じゃあ後でお代を――」
「行こう!!」
私は走り出した――
「ちょっとアンズー待ってよ~」
――真実に向かって。