再会
今回も短めです。
杏はアルフに連れられて自警団本部に来ていた。
「さっきは助けてくれてありがとう」
「自警団として当然の行為だよ」
「……でも、アルフ君程の実力があれば私が自力で逃げられる事も分かったでしょ?」
「確かにそうだけど、目の前で呆然と立っている女性を救わない訳にはいかないよ」
「確かに……」
ちなみに杏の魔力は1500、アルフの魔力が150である。
「ところで杏はどうやってこの世界に来たの?」
「通学途中に道で女の子に会って、その女の子からゲームを貰って、それを起動したらこの世界に来たの」
「僕と同じか……」
そう言うとアルフは考え込んでしまった。
改めて自警団本部内を見てみる。
――エデンの園に比べると設備がかなり古く、使われている技術は120年位は違うだろう。
改めて私は今までとても便利で安全な場所にいたと認識した。
「ところでさ、アルフ君って私と同い年だよね」
「そうだよ」
「……何か年上に見えるんだけど?」
「そう?」
「――そういえばアルフ君っていつ来たの?」
「……質問の意味がよく分からないんだけど?」
「えっとね、この世界にはいつ来たの?」
「現実世界の高校2年の時に1年前のこの世界に来たよ」
「えっ!? という事は私より一歳上!?」
「――そう言うという事は杏は最近この世界に来たんだね」
「うん、大体2ヶ月前」
「杏は今まで何処にいたの?」
「エデンの園」
「イレギュラーの世話になってたのか……」
アルフの言い方は明らかにイレギュラーを嫌悪している言い方だった。
「イレギュラーと何か……あったの?」
「あいつらは自分達の技術や知識を外部には教えない。 あいつらの技術や知識があれば救えた命が沢山あったのにだ」
「教えないのには理由があるん――」
「杏もあいつらに味方するのか?」
「えっ!?」
「――世界には様々な考え方の人がいる。 それは別にいい。 ――だが、そのせいで人が苦しんだり、死んだりする事が僕は嫌いなんだ」
「…………」
「ごめん……杏に話しても何も変わらないよな」
「……謝らなくていいよ」
「……僕は街の見回りをしてくる。 杏はここに居てもいいし、……仲間の元に戻ってもいい」
そう言うとアルフは出ていった。
「私はどうすればいいの……?」
杏の瞳から涙が零れた。
泣いても泣いても泣いても涙は止まらなかった……。
幼なじみもやはり自分とは別の考え方の人間なのだ……。