未来との出会い
エミリアの豆知識
グリフィンをアラビア語で言うとアルアンカーらしい。
私が考えた作戦とは
《アラクネ降下大作戦》
誰だしょぼいとか言った奴。 校長先生怒りましたよ!!
『――作戦の内容は研究所にいる子どものセーンムルウ2匹にアラクネを百種樹の花の上まで運んでもらいます。 そうしたらアラクネが糸を垂らしながら下まで降りてきます。 そうしたらその糸を上って行きます』
「完璧な作戦!!」
「懸念材料は『子どものセーンムルウ2匹でアラクネを上まで運べるか』と『アラクネが無事にエッフェル塔を降りられるか』と『アラクネの糸で上まで行けるか』ね」
「大丈夫ですよマヤさん」
「何か心配ね……」
「それじゃあ行ってきま――」
――その時、目の前に白いグリフォンが舞い降りた。
「アルタイル!!」
白いグリフォンが首を横に振った。
「アルタイルじゃないの?」
白いグリフォンは首を縦に振った。
――よく見たら名前入りの首輪を付けていた。
「――あなたは『アルアンカー』っていうのね?」
アルアンカーは頷いた。
「何でグリフォンがこんな所に……?」
「このグリフォンは仲間のグリフォンなんです」
「――何かくわえているわよ」
「本当だ!」
私はアルアンカーから紙を受け取った。 そこには
「――杏さんの移動用にアルアンカーを送りました。 是非使って下さい。 ――アイン――」
と書かれていた。
「このグリフォン、希少種ね。 実に興味深いわ」
「マヤさん、それよりもアルアンカーを使えば簡単に花の上に行けますよ」
「そうね。 幻想動物内でもトップクラスのスピードのグリフォンを使えばすぐに花の上に行けるわ」
「アルアンカー、あの塔の上の花まで私を連れてってくれる?」
アルアンカーは猛禽類特有の声で返事をしてくれた。
「マヤさん、行って来ます」
「気をつけてね」
私を乗せるとアルアンカーは優しく飛んでくれた。
――目の前に百種樹の花が見えてきた。
「――いた!!」
花の中央に白いセーンムルウがいた。
「アルアンカー、あの白いセーンムルウの近くに降ろして」
アルアンカーは頷くと螺旋を描くように減速しながら飛行し、花の上に着地した。
「ありがとうアルアンカー」
アルアンカーは頷くとその場で寝てしまった。
――私は目の前の白いセーンムルウを見つめた。
体長はアルアンカーよりも少し小柄で5メートル前後。 首にアルアンカー同様に首輪を付けており、名前が書いてあった。
「――あなた、ボヤージュって名前なのね?」
セーンムルウは頷くと私に近づいて来た。
「えっ!?」
抵抗の素振りを見せない。
「ほ、ほへっ!?」
念のため蓮華を構えた……だがボヤージュは攻撃するどころか、威嚇もしてこない。
――そのままボヤージュは私の脇で伏せて動かなくなってしまった。 だが私が一歩でも動くとついて来て、私が声をだそうとすると耳を傾けてきた。
――ニャンに続きボヤージュにもなつかれてしまったようだ。
――アルアンカーがいつの間にかいなくなっていた。
帰るにはボヤージュに乗るしかないようだ。
「ボヤージュ、研究所まで私を乗せてってくれる?」
ボヤージュは頷いてくれたので、私はボヤージュの背中に乗った。 ――グリフォンとは乗り心地が少し違ったが、私はボヤージュにうまく乗ることが出来た(私は犬好きだから、こっちの方がいい)。
ボヤージュは少し助走を付けてからパリの大空に飛び出した。
グリフォンがパワー重視の獅子のような飛び方だとしたら、セーンムルウは主人に従順な犬のような飛び方だった。 ――アルアンカーも優しく飛んではくれたが、種族の違い故の差が出ていた。 グリフォンが強襲用のストライクイーグルならセーンムルウはF‐2の様な防衛向きの種族なんだろう。
私はボヤージュに頼んでパリの街を上空から観光した。
……途中でニャンが落ちたがボヤージュがナイスキャッチして助かった。
――私達が研究所に戻るとマヤさんが迎えてくれた。
「おかえりなさい」
「無事にボヤージュを連れて帰れました」
「どうやってこのじゃじゃ馬を捕まえたの?」
「近くによったらすぐになついてくれましたよ」
「えっ!?」
「どうかしましたか?」
「ボヤージュは今まで人には全くなつかなかったのよ?」
「そうなんですか!?」
ボヤージュが頷く。
「――よし、決めた。 ボヤージュをよろしく頼むわね杏さん」
「いいんですか?」
「貴女になついたんだから、貴女のパートナーにしてあげて」
「あ、ありがとうございます」
――こうして杏組に新たな仲間が加わった。
筆者の他作品もお楽しみ下さい。
これからもエミリアをよろしくお願いいたします。
明日から学校なので更新スピードが遅くなると思います。