転生
目が覚めると目の前には、床が色鮮やかな緑で埋まりもう少し頭をあげると壁が見え、壁には太さの違う焦げ茶色の棒で奥行きが見えるよう不均等に並べられている。天井を見上げれば青が広がり一定の速さで白いふわふわしたものが流れていっている、それにこの天井はとても高く感じ、気怠い体を起こし思っいきり手を伸ばしても飛び跳ねても届きそうにもない。それに天井にはロウソクの光より眩しい光が1つありその光を直視しようものならあまりの眩しさに目を瞑ってしまう。
床の緑にもう一度目を向ける。どれも高さや幅も違い、色の濃さも違う、中には上から見たら丸の形をした淡い黄色がびっしり詰まっているものまである。その近くでふわふわ揺れている真っ白なものがあった。その白くてふわふわしているものに顔を近づけた瞬間に風がビュウと吹いた。突然の強風に白いふわふわ達が驚いたのか彼女の顔めがけ飛んでくる
『ぶわっ、やめ、やめて!』
突然口の中に入ってきて舌の上がふわふわだらけになった。急いでふわふわを助けようとしたが取り出した時にはもう唾液でベタベタになっており動かなくなってしまっている。生気が感じられない、もしかして殺してしまったのだろうかと焦る彼女はごめんなさいとベタベタのふわふわに謝り緑色の床に置いた。
そういえば白いふわふわ見たことないがこの黄色は見たことある気がする、前の世界だろうか、形は違えど似たようなものがあった気がする。
記憶が混濁する中、必死に関係しそうなものを思い出す。
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神のお告げの通り聖女様が誕生されたー
聖女様、何度も仰っているでしょう外に出てはなりません、神託の時と懺悔の時以外は誰とも話してはなりません、常に慈悲深くいなければなりません
聖女様、本日の予定は、朝聖堂にて神託を賜りたく存じます
せーじょさまー!これあげる!お庭で摘んできたのー!
聖女様、私の罪は許されるのでしょうか
聖女様!帝国が攻められておりますここも時間の問題でしょう早くお逃げください!
聖女だー!捕まえろー!!絶対に逃がすな
聖女サマだろうがなんだろうが関係ない丁重な扱いは慣れてないんでね薬でも投与して大人しくさせろ
隊長、聖女は大人しくなりましたが意識が朦朧としているようです
はっ、聖女の面影もないなもう自分がなんなのかすら覚えていないだろ
なんだこの異臭は、あぁ、聖女サマが死んだか
この部屋を片付けろ、それは燃やしてしまって構わない
生きている時は、それはそれは美しかったのにな
今じゃ蛆虫達しか聖女サマの救いを求めてねえぜ
聖女聖女セイジヨせいじょ聖じょ聖女…聖
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鈍い痛みが頭に残る。
生前の記憶が断片的に流れ込んでくる、彼女は女神様から授かった祝福で聖女となり民の平穏を常に願っていた。彼女が生きていた場所は灰色で外から光が差し込んだ場所だけ穏やかな黄色に変わる広い空間と外からの光など届かないくらい真っ暗で何も見えない狭い空間。彼女が生涯過ごした場所はこのふたつだけだった。
一番最初に覚えたのは祝詞だった。名前は神の所有物である彼女には「聖女様」と呼ばれるだけであった。彼女はほかの民とは違い自由などなかった。彼女の周りには誰もおらず決まった時間にだけ現れる。それは、神のお告げと民の懺悔を聞く時だけだった、それ以外は外にも出られず誰とも会えず孤独に民のため祈るという同じことの繰り返しだった。
ある日の晩もいつもの日と変わらず民の懺悔を聞き祝詞を詠み一日を終えようとしていた時に月の光と共に小さな穴から少女の声が差し込んできた
「せーじょさま、いる…?」
その声は鳥のさえずりよりも細く、この世界の住人が全て眠りに落ちていたからこその静寂の中でしか聞こえない大きさだった。
「このおはなね、せーじょさまにあげよーとおもってつんできたの、せーじょさまにあげる!」
「えいっえいっ」と少女の声とともに月の光が唯一入ってくる小窓をちいさな影がぴょんぴょんと飛び跳ねていた。
しばらくするとちいさな影が小窓に止まり少女の喜ぶ声があがった。
「わたしがもーちょっとおねーさんだったらこのまどなんかへっちゃらだったのに、せーじょさまもとれなかったらどうしよう」
「せーじょさまとれる?」と不安の声を漏らす少女に彼女は一言も喋らず小窓にのったちいさな影をそっと取った。
「わぁ、せーじょさまがうけとってくれたー!えへへきれーでしょ、わたしのママがだいすきなおはななんだー、きっとせーじょさまもだいすきになるよー」
少女はおやすみなさいと彼女に言いぱたぱたと走り去ったていく、少女の足音が消え静寂がまた訪れた時、彼女は少女がくれたちいさな影を月光にあてた。
すると、いままで暗く灰色だった世界がが一点だけ月光に照らされ小さなな金色がでてくる
日の光とは違うその金色の輝きに目を奪われ数刻も過ぎた時部屋の反対の小窓から日の光が差し込んできた。ずっとこの輝きを見ていたかった、だが、彼女の部屋に訪れた司祭たちの顔が歪み彼女の手から小さな花を奪っていったのだ。




