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次の日無事に帰宅したレオンは、すぐに会議を開くように指示を出した。
レオンが自ら開くのは初めてのことで、集まった貴族達はざわついていた。
「レオン様、何かいい案が?」
太った髭面の侯爵が、ニタニタと問いかける。
いつもフォートリアのことで頭を悩ませるレオンを侮っているのがまたわかる。
「フォートリアの王女に、縁談を申し込もうと思う。」
ざわついていた貴族達は一同静まり返る。そして堰を切ったように騒ぎ始めるが、レオンは無視して話しを続ける。
「フォートリアの海域を考えれば攻め入るのは得策ではない。しかし、あの特産物も捨てがたい。ならば武力支配して従わせるのではなく、友好国として長く付き合って行くのはどうだろうか。幸いあちらの国には妙齢の王女がいる。悪い話ではあるまい。」
いつになく饒舌な王弟に、途中から皆ポカンと口を開けていた。
名だたる海賊や艦隊を沈めたあの海神が、政略結婚を申し出たのだ。
あまりの女気のなさから、男爵とまで噂されていたほどである。
「そ、そんなどんな女かわからないものを、この国の王弟妃に迎えるなど!反対です!」
「大丈夫だ。俺が向こうに嫁ごう。」
「は?」
「フォートリアには王女しかいないからな、私が夫となり、いずれ女王を支えよう。」
この時貴族達は皆、レオンはフォートリアを内側から支配するつもりなんだと思っていた。
ただ実際は、セリアをなるべく人前に出さずにすむためである。