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セリアは順応性は高いため、2、3日もすればすっかり過去の生活にも慣れてきた。
そのため、暇な時間も増えてきた。フォートリアと違い、洗濯や皿洗いも全て使用人がやってくれるため、手持ち無沙汰だった。刺繍などはあまり好きではないため、ジョンにオーシアナ国の歴史書を持ってくるようお願いをした。
そしてセリアは空いてる時間はとにかく本を読んだ。
そんなセリアのことを、屋敷の使用人たちは皆とても好ましく思っていた。
美しい顔の王弟が嫁ぐとあれば、きっととても高飛車で、忙しい彼ににまとわりつき、王弟の地位で散財をしまくるだろうと思っていた。
しかしセリアは来る前にたくさん買ってもらったからと商人を断り、お願いしたものは自国のレモンを使ったレモンケーキを作ってほしいことと、この国の歴史書が欲しいの二点だけだ。
レモンケーキを作って持っていけば、満面の笑みでありますが!といい、その足で料理長の元へいき同じようにありがとう!と頭を下げていた。
歴史書を持っていくと、重かったでしょう?と心配してくれて、本をそれはそれは大切にして読んでくれる。
そんなセリアの素直な姿に絆されない人間はおらず、気づけば屋敷中の皆がセリアのために何かをしてあげたいと思っていた。
4日目には本を読む時用にクッションを差し入れるもの。ならべく手を汚さず食べられる菓子、苦しくならないドレス。
すっかりセリア好みのお城となっていた。