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レオンとセリアはハンカチほど馬車に揺られ、ようやくレオンの屋敷に着く。


「基本は王城に住んでたからあまり使ってないんだが…狭いところですまない」


「せまい…?」


フォートリアのお城の倍以上はある屋敷を、レオンは狭いといったのだ。今までフォートリアで暮らしてた時はどう思っていたのだろうか…等と考えてしまう。


「お帰りなさいませ、坊ちゃん」


「坊ちゃんはやめてくれ…こちらはセリア。俺の婚約者だ。」


「おやおやこちらの方が…可愛らしいお嬢さんですね。申し遅れました。私このお屋敷の執事長のジョンと申します。」


「よろしくお願いします。」


セリアは緊張しながらも、挨拶をする。


(坊ちゃん…似合うわね。)


「俺が案内してもいいか?」


「えぇ、喜んで。」


差し出される手を当たり前のように取ると、周りの使用人たちが少しざわつく。


(こんな田舎者がって思われてるのかしら…)


少し悲しくなるセリアとは裏腹に、使用人たちは皆喜んでいた。一生結婚なんてできないか、あのいけすかない公爵令嬢が嫁になるかの2択だと思っていたため、レオンが笑顔を向けてエスコートをする相手ができたことが嬉しいのだ。


「ここが応接間。人が尋ねてきた時はここで会うといい。」


内装は派手ではないが地味でもなく、ちょうど良いバランスだった。しかし飾ってある調度品はどれもとても高そうなものばかりで、セリアは慣れないドレスで引っ掛けてしまわないかと気が気ではなかった。


「ここが食堂。向こうが調理室だ。挨拶するか?」


「良いのですか?」


「あぁ。」


調理室の扉をノックすると、大柄な国家コートを来た男性が現れる。


「どうしたんですか?坊ちゃん」


「坊ちゃんはやめてくれ。こちらの女性が挨拶をと。」


「初めまして、セリア・フォートリアと申します。」


「あぁ、初めまして。俺はフィリップです。ここの料理長をやってます。」


丁寧にお辞儀をして挨拶を返してくれる。扉の隙間からとてもいい匂いがして、セリアのお腹が思わずなってしまった。


「……ご、ごめんなさい…」


恥ずかしさのあまりセリアは俯いてしまうが、フィリップは少し待っててくださいね、と厨房に戻ってしまった。そしてすぐ、かごを片手に持って戻ってきた。


「長旅でお疲れでしょう?この後部屋に戻ったらお召し上がりください。」


カゴの中にはサンドイッチが入っていた。


「紅茶は坊ちゃんが一時期ずっと練習していたので上手に入れられますよ。では、夕食の時にお待ちしてますね。」


「あ、ありがとありございます!」


「坊ちゃんはやめてくれ。」


セリアは気遣いが嬉しくとびきりの笑顔でお礼をいう。フィリップはすこし驚きつつ、笑顔で厨房に戻った。


「では、部屋へ案内しよう。」


「はい!」


いい匂いのカゴをもらって、セリアの緊張はすっかり溶けた。

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