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出発の2日前、セリアは大慌てでレオンの部屋を訪ねた。


「すみません、出発の日を明日にできますか?」


「明日に?できないことはないが…どうした?」


「嵐が来ます。おそらく明後日。」


「…ほんとか?」


「海を見てきました。以上な程に静かなのです。漁師の方達とも話をしてかマシだが、皆同じ意見です。」


「ならば先に対策を。」


「大丈夫です。そこまで大きくはなさそうなのと、私たち島のものは嵐には慣れているため、すぐに準備と対策を始めています。船は流されたりしない場所へ。城も一部解放し、海の近い家のものは避難できるようにしてます。」


「そうか、わかった。この時期に離れることを、セリアは大丈夫なのか?」


「…心配ですけど、父もいますし、今を逃したら結婚できる日がどんどん遠くなっちゃうじゃないですか…」


急なデレにレオンは思わずセリアを抱きしめる。


「セリアが大丈夫というなら、明日出発しよう。」


「はい。」


セリアは最初の頃は突然のハグに慌てていたものの、最近は抱きしめられることには慣れ、背中に腕を回して抱きしめ返せるようになった。


突然の変更であったが、皆テキパキと動いてくれたため、次の日、無事に出港した。


「ニールさん、ありがとう。」


「お安い御用ですよ。今日はできるだけ島から離れるのでちょっと運転が荒くなるかもしれませんよ」


「大丈夫だ。疲れたら変わるぞ。」


「海軍大将に運転を交代してもらうなど恐れ多すぎます。」


3人は操縦室で笑い合い、和やかに船の旅が始まった。しばらく時間が経った頃後方を見ると、島はもうとっくに見えないが、それが若干黒ずんでいた。


「大丈夫か?」


少し不安そうなセリアの肩を優しく引き寄せる。


「みんなを信じてますから、大丈夫だとは思いますが…やっぱり少し心配です。」


「2人送り届けたら、俺がすぐ戻って確認にいきます。」


「ありがとう、到着に2日、戻って2日、4日あればこの嵐もおさまっているとおもいます。」


2日半の船の旅は、レオンの万全の準備もあり快適に過ごすことができた。


そして、セリアは生まれて初めて、フォートリア以外の地に降り立った。

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