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2人はお互いの想いを伝え合い、1ヶ月後に正式に結婚することとなった。


オーシアナ国では教会で祝福を受け、届出を出すことで婚姻成立である。

フォートリアでは、国に届出を出して承認されると婚姻成立の案内状が届くことになっている。


今回は両方で手続きを取るため、2人揃ってオーシアナに行かねばならなかった。

そこで、2人のお披露目のパーティが開かれる。婿入りといえど、王弟の結婚のため、それは盛大なパーティーになるらしい。ドレスやパーティーなどがあまり好きではないセリアは今からゲンナリしていた。


「すまないな、俺も正直行きたくない。」


申し訳なさそうにしているが、この男はセリアを着飾れるのは嬉しいようでドレスやら宝石やらに口出ししていた。できれば誰にもセリアを見せずに過ごしたいが、見せなきゃならないのならとびきり着飾って自慢したい。という男の葛藤だ。

しかさ、以前のように押し付けるようなものではなく、セリアが好みそうなものをきちんと考えていた。

今もお茶会の最中だが、彼の手には何かのリストが握られていた。


「君はコルセットは好まないのだろう?ならば背中を開いたものにしてしまおうか。コルセットをつけても見えてしまうならば諦めるだろう。」


「ちょ、ちょっと待ってください、コルセットが見えるレベルって相当では!?」


「半分くらいまでを開き、その下を少し透けるレースにしようかと思う。その代わり胸から上は全部レースだ。袖もつけるぞ。」


「見せるのは背中をちょっとってことですね…」


「そうだ。それ以上は俺が耐えられない。」


コルセットをしない代わりに腰に少し編み上げをつけるが、それでも今までのドレスに比べたら充分楽なものになっていた。


「スカートは、好きなかたちなどはあるのか?なければ俺が決めていいか?」

 

「全てお任せいたします。」


「そうか!わかった。」


いろいろ質問されるのが面倒でお任せ、と言ったら予想以上に喜んでしまったため、若干罪悪感はあった。


「滞在は1週間ほどだな。当日は朝に教会で祝福を受けその場で名前を記入して届出を出す。そして夜にパーティだ。」


「忙しいですわね…」


「その時のドレスはどうする?」


祝福を受ける時のドレスは基本白。そして伝統的なエンパイアと決められている。最近の流行りとは違うが、オーシアナの女性はこのドレスを着るのを夢に見ているのだ。


「たしか、お母様のクローゼットにあった気がします。」


「ならば、それを少しアレンジするのはどうだろうか?」


「いいのですか?」


仮にも王弟の婚姻の場で、古着のドレスでもいいのだろうか…そう思ったが、レオンはもちろんだ。と頷き、セリアの手の甲にキスを落とす。


「大切なお義母様のドレスを身につけて俺と結婚してくれるなんて、この上なく光栄だ。」


ものすごくキザだが、この男にはおそろしく似合っていた。そして、自分の母のドレスをそのように扱ってくれることが何よりも嬉しかった。


「じゃあ、お言葉に甘えますね。」


セリアはクローゼットからドレスを取り出し、レオンに預けた。


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