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「あなたのお顔は、国宝だと思います。」
それまでニコニコとしてたセリアが急に真顔になり、顔に手を添える。
「婚約者候補のご令嬢も、おそらくあなたの地位だけでなく美しい顔立ちも好きだったでしょう。だからこそ、私を亡き者にしてあなたの隣に立ちたいと思ったのだと思いますよ。」
レオンは若干混乱していたが、頬に添えるセリアの手を取り顔を近づける。
「あなたは、俺の顔が好きなのか?」
「………えぇ、とても。」
顔を赤くし、視線を逸らすセリアを抱きしめる。
「…俺のことは?」
「それは、レースの後にお伝えしますね」
ぎゅっとレオンを抱きしめ返し、胸にぐりぐりと頭を擦り付ける。
セリアのデレデレモードにレオン固まってしまう。
パッと上を向き、レオンを見つめる。
「怖い目にあったのは納得してないです。ですが、ご自分のせいだとかそんなことを考えるのはやめてくださいね。ましてや、それを理由に私との婚約を解消しようなんて思わないでくださいね。」
考えていたことを全部読まれ、レオンは大人しく頷く。
「この後のレース、応援してます。優勝してくださいね」
レオンの腕の中で、セリアはとびきりの笑顔で笑った