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「吐いたぞ」


最終日、ゴンドラレースの前にレオンと街を回っていた時、小声で伝えられる。


昨日捕まえたものの中に、1人喋ったものがいたらしい。


「金で雇われたごろつきだな。プロじゃない。」


「そうでしたか…」


セリアは昨日を思い出し、少し背中がぞわりとした。しかし、見かねたレオンが手を握ってくれたことにより、それもすぐに収まった。


「…すまない。俺のせいだった。」


「えっ?」


ごろつきが吐いた雇い主は、オーシアナ国の公爵令嬢の名前だった。レオンはその名に見覚えがあった。


「俺の、婚約者候補だった令嬢だ。おそらく、セリアがいなくなれば自分が結婚して、準王族になれると思ったんだろう。」


苦虫を噛み潰したような顔で告げるレオン。


「レオン様のせいではありません。」


「だが、俺が君に一方的に求婚してなければ…」


「あら?後悔してますか?」


「いや、君が俺以外のものになるのは考えられない。だがな…」


「では、仕方がありませんよね。」


きっぱりと言い切るセリアに少し気圧されながらあぁ…と頷く


「それに、私たちの認識が甘かったのです。オーシアナ国の王弟殿下と婚約するのに今までが順調すぎたのです。」


「おれなんか、地位しか価値はないしその地位ですら中途半端な人間だ…」


珍しく弱気なレオンに、セリアはよしよしと頭を撫でてあげる。


「あなたはとてもお優しいですよ。気遣いもできます。少し暴走しがちですが相手を思いやれる人です。小さい子も好きですし、街のみんなにも気さくに接してくれるじゃないですか。」


にこにことそれから、とたくさんいいところを言おうとしてくれるセリアに、レオンは少し泣きそうになる。

どれも、国では評価されなかった部分。優しいのは甘いと、気さくなのは王族のくせにと幼き頃から言われ続けたきた。それが面倒で、国では軍に入り、人と関わるのも話すのも面倒になっていた。


「それから、その素晴らしいご尊顔があるじゃないですか。」


「えっ?」


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