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「この3日間、何もなかったですね。」
再び、レオン、セリア、マリノ、リドが集まり、今日はそこに国王補佐であり、リドの父のリュドミルもいた。
「祭事がうまく行かないようにしたかったんでしょうか?」
「そうだな…」
「祭事を止めても海が変わるわけではないんだなぁ」
「信仰深い人達かしら?」
フォートリア国民は、意外と現実的だ。神に感謝はするが、神が何かしてくれるとは思っていない。
レオンはちょっと驚きつつ、顔には出さない。黙っていたリュドミラが、手を挙げる。
「レオン様ではありませんか?」
「俺か?」
外交問題にも発展しかける発言にレオンの周りの空気が下がるが、リュドミラは再び手を挙げる
「レオン様を好きな女性の逆恨みなどはあり得ませんか?この顔立ちですから…1人や2人…いや10人くらい…」
「……行っておくが、俺は女性と付き合ったことや遊んだことはない」
「では、想いに答えてくれなかった!って逆上した女性ですかな」
「ありそうだわ…」
セリアは思わず頷いてしまった。
彼は鋼の海神と呼ばれるほどの男で、男色が噂されるほどの潔癖な人だ。手ひどく振られたと悲しむ女性もいたかもしれない。
するとレオンが何か思いついた。彼は自国のものを呼び、何かを命令した。
「済まない、もし俺の予想が正しければ俺のせいだ。」
「心当たりが?」
「あぁ」
心当たりがあることにセリアはモヤっとする。リドが構わずそれは誰ですか?と聞くが、レオンは首を振る。
「確証がないまま名前は出せない。」
その言葉で、4人はその人がそれなりの立場の人間であることを察する。
「残りの2日間も気は抜かずに行こう。」