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レオンが呆然としていると、船長のニールが横から声をかける。
「セリア様、本日も積み荷と輸出品の確認、ありがとうございます。」
「いいえ、当然のことです。皆様の商品は疑っていませんが、万が一私たちの商品に不備があっては困りますから」
とセリアは、自国の特産品である良質な塩と、光輝く真珠が入った箱を船に積み込むように指示する。
「セリア様はすべての商品に必ずご自分で目を通します。過去には質の悪いものが紛れていることもありましたが、セリア様が確認するようになってからそれもなくなりました。そしてそれはわざとではなく、島での移動中の不備があったこともわかり改善もしてくださいました。俺たちのような人の言葉にも耳を傾けてくれる、優しいお方なのです。」
ニールは小声でレオンに説明をするが、それでもレオンには不思議でならなかった。
「だが、王族が近くに護衛もつけずにあのように出歩くのは危険では…」
「ここは要塞島国フォートリアです。このような港で何か問題を起こせばすぐに海に落とされます。一度落ちたら最後。自力で岸に戻るのは不可能でしょう。」
「しかしそれは王女も同じではないのか?」
怪訝な表情でニールを見るレオンに、ニールはニヤリと笑って口を開こうとしたそのとき
「子供が落ちたぞ!!」