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「ちょ、ちょっとレオン様!?いつまでこの状態ですから?」
城を出てもセリアを抱っこしたままのレオンに苦情を入れる。
「1日このままでも良いが?」
「私が無理です!おろしてください!」
ジタバタと暴れるがレオンはびくともしない。猫みたいだなぁと呟きながら、広場に入る直前でレオンはようやくおろしてくれた。街の何人かには見られてしまっていただろう。
「恥ずかしい…」
セリアは両手で顔を覆い赤い顔を隠した。
「私が案内しますね!」
セリアはレオンの手を掴んで、広場へ向かう。ちょっとした意趣返しのつもりだったが、レオンは顔を真っ赤にしていた。
(さっきの方がよっぽど近かったじゃない!)
セリアはまず、フォートリアの伝統料理のテントに向かった。
ハーブがとドライトマトが乗ったフォカッチャに、とろけたチーズが挟まれている。
レオンがひとつ購入し、まずは一口食べる。どくみやくだが、オリーブオイルとトマト、チーズのバランスの良さに舌鼓を打つ。
何もないことを確認してセリアに渡すと、半分に割って戻ってきた。
「全部食べたら他が食べれなくなってしまうから…ダメかしら?」
リドと出かける時はいつも半分こだったくせで、レオンにも私てしまったセリアは恥ずかしそうに申告する。
「喜んで。」
2人はその後もいろいろな屋台を回ったが、串焼きの屋台で購入した後、レオンは固まった。
手で割くことができないため、どうしても口をつけることになる。どうしようか…と考えていると、セリアが覗き込んできた。
「好きじゃなかった?…無理しなくて大丈夫よ?」
レオンは残念そうなセリアに、間接キスのことを打ち明けると、セリアの顔が赤くなる。2人で顔を赤くしてると、店のおじちゃんが気を利かせて持ち帰れるようにしてくれた。
「城に戻ったら、温めて食べよう」
「そ、そうしましょう」
(残念なような、ほっとしたような)
ちらっとレオンを見るとまだほんのりと頬が染まっていた。
2人はリドにお土産も買い込み、城へ戻った。