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豊漁祭3日目


3日目は食の日。屋台は五日間出ているが、3日目には一段と増える。他国の商船のものたちも3日目は食べ物の屋台を出すのだ。


そこで今流行っている菓子や、他国の食文化を知る。


「セリア様、本日は流石に危険かと。」


朝からリドが忠告に来る。着替えもメイクも済ませ、準備万端だったセリアは、泣きそうな顔になる。


「わ、私がこの日が1番好きなの、リドはよく知ってるでしょ!?」


「存じております。だからこそです。」


「そんなぁ…」


セリアは食の日が大好きで、朝昼晩と屋台で食べてしまうのだ。リドも幼い頃はよく付き合わされていたのでこの日を楽しみにしていたのは十分にわかっていたが、少し調べればわかる情報なので、もしかしたらそこを狙って毒を盛られるかもしれない。セリアもわかっているのか、わがままは言ってこない。


「セリア、準備できたか?」 


開かれて扉をノックして、レオンは中は入る。

そしてそこには半泣きのセリアとリドがいて、レオンは頭に血が昇る


「きさま…!」


「違います!」


瞬時に空気を察知したセリアが、かき消すように声を張り上げる。

リドは怯えもせず、やれやれとため息をつく。


「これは……その、食の日に出かけられないショックで泣いてるだけで…」


食いしん坊です。と言わんばかりの真実を自らの形で説明するため、言葉尻が小さくなる。


「なぜだ?」


心底不思議そうに返事をするレオンに、リドは丁寧に説明をする。


「そんなことか、ならばあれば毒見役になろう。」


「貴方…意外とバカですか?」


リドは呆れて思わず本音が漏れてしまう。

レオンはじろっとリドを睨みつける。ごはんと咳払いをして失礼しましたと謝罪をする。


「俺が王弟だからとか思っているだろうが、王弟だからだぞ。」


2人は意味がわからず首を傾げる。


「幼い頃から、毒物の訓練をさせられてきた。実際に盛られて生死を彷徨ったこともあったな。そのおかげで大抵のものは効かないし、わずかな量でも気がつけるようになっている。」


なんでもないことのように話すが、相当重たい。リドは改めて先ほどのことを謝罪し、セリアは悲痛な表情を浮かべた。


「そんな顔しないでくれ。俺は生きてるし、そのおかげで助かったこともあったんだ。」


「わかっています…わかっていますが…」


幼いレオンが毒に苦しみ、殺されないための努力をしないといけなかったことを思うと、胸がズキズキと痛む。同じ王族でも、セリアとレオンは全く逆の生い立ちであった。


「それに、そのおかげでセリアを守れるならあの日々も報われる。」


極上の笑顔で言われてしまい、セリアは先ほどまでのズキズキはスポンと抜け落ちてしまった。そして代わりにドキドキが止まらなかった。


「というわけだ、リド。行ってくる。」


固まるセリアを抱っこしてレオンはスタスタと歩いて行ってしまった。


「あぁもう…気をつけていってらっしゃいませ…」


止められないな、と悟ったリドは2人の背中に深く腰を折った。




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