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豊漁祭2日目
今日は、子供達のパレードの日だ。
この日のために歌やダンスを練習して、街を練り歩く。踊りが苦手な子には、カゴを持ってもらい、沿道沿いの人たちにさしだすとお菓子を入れてくれるのだ。
レオンは街の子供達の堂々した踊りを、とても誇らしそうに見ている。
「ノックは、ステップが苦手だったんだ。メリーはターン。いつも目が回っていた。ジェダは…」
一人一人、何が苦手で、何を頑張ったのか。それを言えてしまうほど彼は子供たちと時間を過ごした。
ここ数日は内緒!と言われて練習を見せてもらえなかったが、きっと今日驚く顔が見たかったのだろう。
「みんな頑張りましたね。」
「あぁ、これは、とびきり美味しいお菓子を入れてあげないと。」
レオンは色とりどりの飴が入った小さな小袋を人数分用意していた。セリアも別に、ラムネを小分けにして用意していた。
「街のみんなも同じ気持ちね、カゴに入り切るかしら?」
「来年からは俺が荷台を引いてついて歩こうかな」
くすくすと2人は笑いながら子供達に手を振りお菓子を入れる。2人に気がついた子供たちは、笑顔で手を振りかえしてくれた。
夕方、2人はパレードの花で彩られた道を歩く。
「特に怪しい奴も、怪しい気配もなかったな。」
「そうですね。一応祭りに来た商船の皆さんに積み荷や船内を確認してもらいましたが、怪しいものも形跡もなかったそうです。」
「協力者はいそうだがな…」
しかし、万が一見つかればフォートリアとは断絶されるため、リスクが大きすぎる。
見当もつかないまま、2人は城へ戻った。