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国王陛下は父と呼ぶな!!!!と怒りつつも、それが1番安心だろうと納得した。
大国の海軍大将は、陸でももちろん強い。
「最終日の、ゴンドラレースの間だけは一緒にいられないのですが…」
提案しておきながら、申し訳なさそうにレオンはマリノに伝える。
「なんだ?其方はレースに参加するつもりか?」
「はい。」
「ふーむ、なるほど…ではわしも見に行く。セリアも王族としてわしの横にいればいい。」
「お父様…」
「わしだって祭りを楽しみたい。王となってからはなかなか抜け出せんでここ数年はなんもできてないからつまらん。」
「お父様…」
セリアはキラキラとした瞳で父を見たが、二言までがっかりとした表情に変わる。
「ひとまず、これでセリア様の身柄は安泰ですかね…」
リドは目的がわからない以上、レオンとマリノにも身辺に気をつけるように釘を刺し、お開きとなった。
部屋に戻る途中レオンに呼び止められ、セリアは足を止める。
「護衛がなかったとしても、セリアを誘うつもりでいた。」
「…私もです。」
「そ、そうか」
まじまじとした2人は言葉につまり、ギクシャクとしたまま部屋に別れた。
セリアは明日身につけるワンピース、エプロン、髪飾りを準備しながら、顔がにやけるのを抑えられなかった。
「こんな状況なのに、楽しみで仕方ない…不謹慎かしら…」
しかし、これでレオンとの時間を邪魔されることも離されることもないと思うと嬉しくてたまらないのだ。
一度自覚すれば、気持ちは止められなかった。