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「なんだと!?」
セリアは祭事の最中の話を3人に話す。
「おそらく、男何の狙いはわたしです。でもなんのために…」
「海の巫女を狙い、人攫いが目的…?」
「しかし海の巫女は、この国以外ではなんの役に立たぬぞ。」
「それより、今その男たちは?!」
レオンはその男たちも岸に上がってきているかもしれ
ないと焦るが、セリアは首を振る。
「おそらく、今頃は……神殿の外側の海域は強い離岸流となっています。」
「あちら側に流されれば、奇跡的に岸の方へ行ったとしても上がることもできまい。」
「ある程度沖へ行けば、大型の海洋生物も生息していますし…」
3人は苦笑しつつも、平然としていた。
この国では、割とよくあることなのだ。侵入を試み海へ流されていくことは…。
魚たちが協力してくれたことには、国王もリドも驚いていたが、かつての海の巫女にも不思議と海の生き物に好かれることがあったと伝承があるため、納得した。
「しかし、狙いがセリアなら今後の祭りの間はセリアは城に残っていた方が…」
マリノがつぶやくが、セリアは嫌よ!と首を振る。
「わたし、とても楽しみにしていたのよ!みんなと踊るのも、祭りのご飯も!」
「それでお前の身に何かあればどうする!!」
いつも優しい父が、珍しく怒鳴る。
「私にはもう、お前しかいないんだ…」
母を亡くしてからセリアを大切に、厳しく、愛情を持って育ててきた。
一人娘をなくすわけにはいかない父としてのマリノは、みたことがないほど真剣な顔をしていた。
「国王陛下、いえ、お父様。」
「なぬ!?!?」
「それならば俺が残りの日程、セリアとずっと一緒にいます。セリアの護衛となりましょう。」