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日にちが決まってからは、フォートリア国民は準備で大忙しである。

しかし国中の皆がこのお祭りが大好きなため、誰1人としてこの忙しさに不満は漏らさなかった。

レオンも街に降りて、子供達と一緒にガーランドを作ったり、男達と柱を立てたり、セリアと街の女性で作ったお昼ご飯を食べたりと、楽しく準備の手伝いをした。

セリアも海の巫女としての祭事の準備もしつつ、街の準備も確認し大忙しだ。流石にこの期間はお茶の時間は取れなかったが、国民と対等に触れ合うレオンを見て、すっかり心惹かれていた。

刺繍上手なアルチーノおばさんがセリアに問いかける。


「レオンはあんたの恋人かい?」


「!?いたっ」


セリアは針で指を指してしまい、思わず顔が歪む。

バカだねぇ、と言いながら手当をしてくれるアルチーノおばさんにおずおずと尋ねる。


「そう見えますか?」


「いや、見えない。だけど2人ともお互いを見る目がねぇ。」


「目…?」


「それはそれは、大好きって目をしてるよぉ」


「うそ!!」


もう刺繍どころではないセリアは一度針を置いて深呼吸をする。


「ライバルは多いよ、きをつけな」


声を一層小さくしてセリアに耳打ちをする。セリアは浮き足だった気持ちが一瞬で冷め、真顔でアルチーノおばさんの方を向く。


「ど、どういうこと?」


「未婚の娘がたびたびスカーフを渡してるよ。一枚も受け取ってないみたいだけどねぇ、あんたも早く渡さないと痺れを切らして受け取っちゃうかもヨォ」


うひひ、と楽しそうに笑うアルチーノおばさんに、セリアは頭を殴られたかのような衝撃を受けた。


(それもそうよね…顔が良くて、分け隔てなくみんなと接してくれる人だもの…)


セリアの胸は、バクバクと大きな音を立てていた。



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