19
その日のお茶会は、中庭のガゼボで行った。
外は暑いので、今日はアイスティーにしてもらった。
「…うまい」
「でしょう!氷を使いますので普段は飲まないのですが、ここで飲むアイスティーを貴方にも知って欲しかったのです!」
アイスティーに舌鼓していると、レオンが思い出したように話し始めた。
「贈り物の髪飾りは、真珠と珊瑚どちらが好みだ?」
「へ?」
唐突な問いかけに間抜けな声が出る。
「俺としては、セリアの藍色の髪には珊瑚の赤が映えるかなって。ほんとはどっちもつけたいけど…」
「ま、ま、待ってください!贈る前提なんですか!?」
「当たり前だ。婚約者なのだから。」
「そ、そうですが…その前にいつ知ったのですか?」
「この前リドが教えてくれた。フォートリアでは男性が女性にお揃いのスカーフ留めと髪飾りを贈るって」
あいつめ…と憎々しく思いながらも、内心ありがたかった。これでスカーフを縫う口実もできたのだ。
「そ、そうですか。私は確かに珊瑚の方が好きです。…もしかして、この前のことがあったから相談してくれたのですか?」
「あ、あぁ…その、高いだけでゴタゴタしたものは嫌だろうと…学んだから。」
以前送られたアクセサリーに、ものすごく派手なものがあり、正直に好みではないと伝えると、その後はシンプルで普段使いしやすいアクセサリを贈ってくれるようになった。(セリアは知らないがシンプルなだけで値段はシンプルではない。)
「レオン様は、真珠もつけたいのですか?」
「そうだな…正直、どちらも貴方に似合うからどちらもつけたい。」
「では…」
とても正直なレオンに、笑みをこぼしつつ、小さな不揃いのパールを使うと値段が抑えられること、くだいた貝殻などもキラキラとして素敵ですよ。と伝える。
なるほど、と近くにいた従者を呼び何かを話すレオンをセリアはじっと見つめていた。
「…ありがとうございます。」
セリアは初めてもらう髪飾りが、とても楽しみだった。