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毎日、どんなに忙しくても2人は時間を見つけて話をした。

些細なことから、海のこと。

少しずつ増えるレオンの情報をまとめた紙に、セリアは笑みをこぼした。


「失礼します、セリア様」


「…ちょっと、リド。ノックくらいしなさい。」


「何度もしましたよ。流石にそこまで無礼なことしません。お返事がないので少々焦ったくらいです。」


ノックの音にも気がつかないほど浮かれていた自分に反省しつつ、こほんとひとつ先払いをして用件を聞く。


「そろそろ豊漁祭の時期ですが、今年はいつにしましょうか。」


「あぁ、もうそんな時期ね。今日海を見に行って決めるわ。」


「よろしくお願いします。」


豊漁祭とは、フォートリアの一年の中で1番大切なお祭りだ。五日間おこなわれ、その最初の日に海の巫女が海底神殿に今年1番の真珠を奉納し、今後の安寧と発展を祈る。

そしてそれは大潮の日で、かつ穢れた体ではいけないため、海の巫女が日程を決めるのだ。どうしても月のものが重なる場合それを止める薬もなくはないが、とんでもなく副作用が辛いのでできる限り服用したくない。


「それからリド、いつもの布と糸の手配を」


「終わりなき夏の国」と言わられるフォートリアではドレスはあまり着用せず、身分の高いものは皆上質なシルクなどのワンピースを、平民達は麻のワンピースを着用する。豊漁祭ではそのワンピースの上に、白い糸で波や貝などの意匠の刺繍を指して着用するのだ。

王女のセリアも例外ではなく、毎年必ず縫っている。


「…スカーフはよろしいのでしょうか?」


「えっ!?」


「お喜ばれると思いますよ。」


「そ、そうだけど…」


セリアは顔を真っ赤にしながら考える。

エプロンとお揃いの刺繍を指したスカーフを男性に渡すのだ。主に、恋人や思い人に。そしてお返しに男性はお揃いのスカーフ留めと髪飾りを用意し着用する。

お互いに送り合ったものを身につけるのがフォートリアの恋人達の伝統だ。

婚約者といえど、まだお友達のレオンに贈るには、少しハードルが高い。


「い、一応用意してもらえるかしら…」

発熱するんじゃないかと思うほど照れながら、リドにお願いする。揶揄うこともせず、畏まりました。とリドは下がっていった。宰相だが、国王には補佐がいるためほぼ私の補佐になっているリドに感謝をしつつ、紙にデザインを起こしていく。


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