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振られたと勘違いしたレオンは、その日から猛アタックを開始した。

オーシアナで流行りの布やドレス、アクセサリーをプレゼントして、顔を合わせれば好きだと伝えた。

女好きの友人曰く、プレゼントと愛の言葉でイチコロらしい。

しかしセリアの反応はいつも、思い描いていたものとは違った。

困ったように笑って、時々ため息をついていた。

あの日の紅茶のように、花束のように、喜ぶ顔が見たいだけなのに。

一方セリアは、お互いのことが知りたいと言ったはずなのに、一方的に送られてくるプレゼントに辟易していた。

悪気がないのはわかっている。だからこそ断りにくい。プレゼント攻撃が1週間ほど続いたが、痺れを切らしたセリアはレオンを誘って港町に視察に出た。


「誘ってくれてありがとう」


レオンはついに愛が通じたのだと喜んでいたが、セリアの瞳は冷め切っていた。

セリアが城を出て街を案内していると、女性から声をかけられる。


「あらセリア様!こんな色男連れてどこに行くの?」


「こんにちは、こちらの方は護衛です。街の視察についてきてもらってるの。」


オーシアナ国の王弟とは言えず、咄嗟に嘘をつく。


「そうなのぉ?じゃあ2人でこれでもお食べ!」


パン屋の婦人は、レモンのパウンドケーキを持たせてくれた。


「ありがとう!私これ、大好きよ。」

「知ってるわよ。貴方がちーさいころから好きだと言ってくれたんだから、うちでずーっと焼いてるのよ」


レオンは嬉しそうにパウンドケーキを受け取るセリアを見て、私の贈り物にはいつも困った顔しかしなかったのに。と呆然とした。


さらに街を歩くと、小さな子ども達が集まってきた。


「せりあおねぇちゃん!このまえは、おどりおしえてくれて、ありがとう!」


子ども達がどーぞ、と色とりどりの花を一輪ずつ渡してくれる。時には根っこごとついて泥だらけのもの持った。それは、レオンが送った大きな花束とは比べられないほど質素だが、セリアは目を見開いて、頬を赤くさせながら受け取った。


「みんな、ありがとう。どうしたの?このお花」


「あっちのはなばたけでつんできた!」

「まえにはなすきっていってた!」

「うれしい?!」


「えぇ、とっても。」


宝物のように大切に花を持つセリアを見て、レオンは雷に打たれた気持ちだった。

子ども達に別れを告げたセリアに、レオンは一つ提案をした。


「どこかで、お茶を飲みませんか?貴方のおすすめのお店を教えてほしい。」


「…喜んで」


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