表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/45

13

次の日、レオンとセリアは中庭でお茶をしていた。

今日の紅茶もレオンが選んできたもので、セリアの好みにピッタリだった。


「昨日のお話の続きがしたいのですが。」


紅茶を飲んでいたレオンは、思わずむせてしまった。

メイドからハンカチを受け取り、新しい紅茶に変えてもらう。

ようやく落ち着いたレオンがメイド達を下がらせる。


「話とは…」


「とぼけても無駄ですよ。政略結婚は建前というお話です。」


「やはりか…」


あれから一晩たち、セリアはこの結婚に意味はなく、王配となり国を掌握するための手段なのだと結論づけた。

一方レオンはソワソワと落ち着かない様子だった。


セリアが観念しなさいと思い口を開きかけた時、眼前を大量の花が埋め尽くす。それはセリアが大好きなマリンスノーの花束だった。


「ど、どうしたんですか、これ。」


「君が好きだと聞いたから。」


この花は海風がなければ育たない花で、この城の中には生えていない。とゆうことはわざわざ、手配してくれたのか?私のために?

花束に顔を埋めていると、レオンが真剣な表情で片手をとった。


「もうバレていると思うが…俺は君が好きだ。」


「え?」


思っていた言葉と違う言葉が聞こえてきて、素っ頓狂な声をあげレオンを見れば、耳まで赤面していた。

しかし目は逸らさず、まっすぐと見つめている。


「一目惚れだったのだ、あなたの民を思う笑顔に、優しい瞳に、一瞬で恋に落ちたのだ!」


恥ずかしさを誤魔化すためか、だんだんと声が大きくなる。


「なんとかしてあなたの隣に立ちたいと思い、立場を使って無理やり婚約させてしまったことは、申し訳ないと思っているが、私はあなたが欲しい。」


この結婚に愛などなく、油断してはいけない相手。

そう思っていた男からの突然の愛の告白に、セリアの頭は思考を停止した。


「あなたが、わたしを、すき?」


「そうだ。俺は君が好きだ。」


「私の国じゃなくて?わたし?」


「君の国も好きだ。君が国を愛しているからな。」


「私の国を、乗っ取るつもりじゃ」


「?君が悲しむことはしない。乗っ取って欲しいのか?執務に疲れてしまったのなら変わってもいいが…」


「いえ、そういうわけでは…」


「そうだろう、君はこの国のために働くのが幸せという顔をしていたからな。」


一体いつそんな顔を見せたかしら。セリアは疑問に思いつつ、レオンを見つめる。

その顔面一つで国一つ落とせそうな美貌の男が、かたわ赤くし、肩を震わし、私に愛を告げるのだ。


「返事は、今はしないで欲しい。」


震える声でレオンは懇願する。今の自分の印象はセリアにはよろしくないだろう。


「今の言葉に、嘘偽りはありますか?」

「まさか!」

「では、海の女神に誓えますか?」


海の女神への誓い。それは海の軍人にとって何より重い誓いの言葉。レオンはセリアの真横に立ち、45度程度腰を折る。脱帽時の最敬礼だ。そして再びセリアを見て、


「海の女神に誓って、私は貴方を愛している。」

すれ違いそうですれ違わないのが好きです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ