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「ありがとうございます」
美しく巻かれた包帯を見て、セリアは感謝を述べる。
「大したことではない。それよりも驚かせてしまいすまなかった。」
ガバッと頭を下げるレオンに、セリアはアワアワと肩を掴む。
「お、王弟殿下!私のようなものに頭を下げるなんて!」
「しかし、あなたの手を傷つけてしまった…」
「全然大丈夫ですから!すぐに冷やしてくださいましたし、このように包帯まで!」
「この詫びは今度改めて…」
「本当に大丈夫ですから!」
王弟の肩を掴むなどあり得ない無礼を働いているのだが、混乱したセリアは気が付かない。
ふと、顔を上げたレオンとバチっと目があう。
その顔の近さに再び声を上げそうになるが、それよりも早くレオンの顔が真っ赤になる。
「えっ?」