1話 目が冷めたら誰もいねぇ
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朝日が登り、カーテンの隙間から光が漏れる。新しい朝が来た。ベットから体を起こし、目を開ける。その時、この男シュツランの瞳に飛び込んできた景色は、昨日の晩まで一緒にいた。メンバーのいない宿屋の一室である。
「あれ?おかしいな」
シュツランが、不思議そうに周りを見渡すと、机の上にわざとらしく。手紙がご丁寧に小洒落た封筒に封入されおいてあった。そして[シュツランへ]とこれまたご丁寧に書いてあった。
「なんだ?」
小洒落た封筒を、そのまま破り捨ててゴミ箱に捨てた。昔からゴミ箱スローは、百発百中だったから、今回も見事にダンクを決められた。山折りになっていたのをいいことに、そのまま文章を読んだ。
[シュツランお前をタンクにしたの懐かしいな、でもお前ヘイトコントロールできなくてさ。ぜーんぶ攻撃がこっち来んのよ。でさ協議の結果お前をおいていくことにしたのよ。悪いとは思ってるが仕方のないことなんだよ。二度と面見せんなよタコ!.PS宿屋の金は払っておいたからそのまま出てオッケーです。最後の温情だ。喜べよスカポンタン!]
「ほう………つまり何だ俺は追放されたってことか?」
最近、皆やたら当たりきついと思った。やれソーダ買ってこいだ。洗濯しろだ。そういうことだったのか………いやふざけんじゃねぇ!お前らと一緒に戦えないんなら
「俺は、どうすれば死ねるかの、実験を誰とすればいいんだよ!」
物騒な言い方をするならシュツランは、死にたいのだ。この世界に来た時に、神様が不老不死のギフトとやらをよこした。そのせいで死にたくても死ねなくなったのだ。いい迷惑である
「全くお前らが、攻撃を当てるせいで、攻撃が自分たちに来てたってわからんのか脳筋共が」
手紙に書いてあった通り、カネを払わなくても普通に外に出ることに成功した。あの手紙に書いてあったことはどうやら本当らしい………さてと、これからどうすっか何も考えていない。自身を殺してくれる存在に出会うそれが第一目標なのだが
「そんな奴いんのかねぇ」
そんな事を、考えているときである。向こうがやたら騒がしいと感じ、何かに惹きつけられるように路地を曲がりそこへとたどり着く、その瞬間であった
「邪魔だ!」
明らかに、その服とは合わないバックを持ったひったくりの男が、これまた持っているナイフで、シュツランを指した。腹から血が湧き出るのだが、普通は痛みに悶え苦しみ、倒れ込むはずであるしかし、この男シュツランは違った。血が湧き出ているにも関わらず、不動そしてひったくりの方に向かい腹に刺さっているナイフを強引に引っ張り出し、自身の血でまみれたナイフを、投げた。
「アバッー」
「安心しな、足のアキレス腱をぶっちしただけだ。命までは取らねーよ」
こんなところで、他人の命取ってたらきりがない、それにこういうのは、警察に任せてさっさと逃げるに限る。アタリマエのことをした。そんな気分になっていた。
「助けていただき有難うございます」
そこに、バックの持ち主であろうの女の人が立っていた。この出会いが、この物語の本当の始まりであり、そしてこの男の運命が、勇者パーティにいた頃よりも数奇な旅の始まりであった
シュツラン
不老不死死なない