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毎週日曜日のルーチン

作者: 肉球ケア

拙い文章ですが、お付き合い頂ければ嬉しく思います。

「おはよ」

「おはよー」


 毎週日曜日の朝が今日も来た。


 私の妻は朝起きるのがとにかく早い。その代わり毎日寝るのも早いのだけれど。


 妻は規則正しい生活を常に心掛けている。本人の気質や性格によるものなのだろう。平日は毎日朝の4時半には床を出るし、日曜日は朝の6時には床を出る。


 妻(いわ)く「朝はどの家庭も忙しいのは分かるでしょ? だから、私も少しでも自分の時間を確保したいんだ」という理由からだそうだ。


 私も妻も眠りが浅いタイプの人間で、彼女がモゾモゾと布団から出ると私も目が覚める。逆に私が彼女が寝ている布団に入ると彼女は目を覚ます。


 お恥ずかしながら、結婚20年を超えた今でも一緒の布団で夫婦揃って寝ている。子供達が小さい頃は私達の布団の妻側に更に布団を敷き、そこで子供達は寝ていた。


 しかし、長女だけの頃はそれで何も問題はなかったのだが、次女が産まれ、育児の為に妻の隣に敷いた布団に次女を寝かせ、私の隣に長女の布団を敷き、所謂(いわゆる)親が真ん中の川の字型で布団を並べた時に問題が発生した。


「ママちゃんのとなりじゃないよぉ」と長女がギャン泣きしたのだ。「パパちゃんじゃダメなの?」と私が問うと「ママちゃんがイイ。ママちゃんがイイ」とくり返す。


 小さな娘に理屈は全く通用しなかった。


「でもママちゃん疲れちゃうかもよ?」と当時大人気(おとなげ)もなく私は妻が出産入院と出産後の帰省から、やっと自宅に戻って来たばかりな上、長女もしくは妻という抱きまくらが奪われるような感覚に襲われてしまい、更に問うてしまった。


 なぜなら長女は夜泣きをほとんどしない、とてもおとなしい子で、妻が次女と戻る前までは、わがままをあまり言わずに私に抱きつき一緒に寝ていたものだから、私の隣でも平気だと思ったのだ。


 ――――でも、やっぱり「ママちゃんがイイ」には敵わなかった。


 まぁ長女も妻に甘えられなくて寂しかったからなんだと思えば、納得は出来たのだが……、あんなにも「パパちゃんがイイ」と言って抱きついてくれてたのに……。


 正直私は泣きそうでした。


 仕方なしに長女の望み通り、次女、妻、長女、私の順番で眠るようになった。妻は両隣を娘達に挟まれ、更には長女が抱きつくものだから、全然身動きが出来ない感じになった。だが、とにかく乳幼児は気を遣う。次女が満1歳を過ぎるまでは、ずっとこんな感じだった。


 そのおかげか私は夜中に何度もミルクを作ったので、哺乳瓶の取り扱いは結構上手くなった。長女の時よりも更にスキルアップしたし、次女には夜中にミルクを与えるのは私の方が多かったかもしれない。


 こういうのが密かな自慢になる。だけど長女に抱きつかれてる妻が羨ましかった。長女よ私の方にもたまには来いとしょっちゅう思ったものだ。


 あとは例えば食事や買い物などでもそう。


 各ご家庭にも家庭の味や、こだわりの食材などがあるように、買い物一つとってもバカに出来ない重労働だろう。特に小さなお子さんがいる家庭では、貧乏、金持ちに限らず、美味しくて安全な食べ物を我が子に食べさせてあげたいと考えるのは、親心ではなかろうか。


 妻には水に(こだわ)りがある。


 育児経験のある方ならご存知の方もいらっしゃると思うのですが、粉ミルクは水道水を基準に作られているようで、スーパーの無料水などは適していないなどの記事などもあります。


 しかし赤ちゃんにはもちろんのこと、自分達も美味しい水を飲みたいという欲求は付き纏うもの。そこで妻は純水や軟水、今では調整水と言われるものを使っていた。更には水道代節約のため、スーパーの無料水まで利用するといった感じで。


 ただ、こういった販売されている水や無料水などは買い物の荷物をもの凄く圧迫するし、非常に重たい。


 育児休暇中の妻とはいえ、娘達を抱えながら睡眠不足になった彼女に、さらなる重労働は本当に気の毒に思うものがあった。


 でも実際に男親である私には妊娠時や育児中の妻が、何に特に困っていて、本当は何をやって欲しいってことは、教えてもらわないと分からないものがありました。変に気を遣い、余計なお世話になってしまうと、お互いストレスにしかなりませんし……。


 それに“自分では当たり前”って思っていても、夫婦とはいえ全然価値観が違うこともありますし。


 そこで私達夫婦が長女の妊娠を期に始めたことが、()()()()()()()()


 これは、ちょっとしたご褒美タイムも兼ねてのものなのですが、毎度外食するという訳ではなく、私達夫婦がちょっとした贅沢な時間を過ごしたり、子供達が目の届く場所で落ち着いて話をするなど、二人で楽しくおしゃべりするのに毎度家の中だと息が詰まるので、出掛けることで気分転換をするって感じのもの。


 そんな私達夫婦のルーチン中の会話から出たものの中で「妻が昼寝をしたい」というものがあった。


 そこからは私は娘を連れ、朝の9時に開店する近所のスーパーに、仕事が休みであれば必ず無料水をもらいに行き、その週に3献立分は絶対に食べたいと各自が思う食材と妻に渡されたメモの食材を買うようになった(日曜日が仕事の場合、24時間スーパーを利用してました)


 それだけだと当時の妻に負担が多すぎるじゃないかと思われる人もいるかもしれませんが、最低限6回分の献立が決まるのと、重たい荷物がなくなる。それに私が好きな食材を買うのだから、当然妻の分も3回分の食材を買うのです。それだけで多少の時間的余裕がでます。少なくとも、お互いにメリットは当然あるんです。


 それに私自身が子供達を独占出来る時間が増えたことや、ちょっと割高な食材でも“決して文句を言ってはいけない”などという()()()()()()が出来たこと。


 しかも妻が娘に絶対に買わない駄菓子や食玩を「パパちゃんこれ」って娘が欲しがるものをこっそり買い与えるのが、地味に癒やされたのです。


 更には時間的余裕があれば、自分が食べたい料理を自分の好きな味付けで作り、妻と娘に振る舞うことも出来ました(まぁ、これは妻でなく娘にダメ出しをされるリスクが何度もありましたが)


 料理を振る舞ったあとや、食べた後も注意が必要で、後片付けまでしっかりと自分でやる事が最も重要な訳です。()()()()()()()()()()()()などの言い訳をして、最後にやりっぱなしにして押し付けてはダメなのです。「娘ちゃん、パパちゃんと一緒に片付けよ」って妻から長女を引き剥がすのにも役に立ち、私に振り向かせるのです。


 それに「当たり前のことじゃん!」ってことほど疲れていると本当に頭が回らないし、面倒臭いから後回しになるので妻も私も喜ぶ。


 これも日曜日のルーチンで話し合ったり実践して気がついたものです。


 スーパーでの買い出しの後、日曜日のルーチンを行うのだが、行きたい場所を選んだ方が我が家では車を運転する。徒歩での場所ならデザートを行きたい場所を選んだ方のお小遣いから、(おご)ってもらうって感じにしてる(それこそ100円のシュークリームとか何でも良いのです)


 その後、互いに好きなように過ごす訳だが、娘達が小さかった頃は、昼寝をしたい妻を家に残して私の趣味のアウトドアスポーツなどに娘達を強制参加させたものです。(今では鬱陶しがられますが、当時はめちゃくちゃ喜んでた。今では少し寂しいものがある)妻にナイショで娘達とドライブデートをしたりするのも楽しかった。


 最近では、親離れしつつある娘達は、私達夫婦の日曜日のルーチンに参加することは少なくなったが、今後もルーチンを続けて夫婦仲良く出来たら幸せだなぁ、と思う。



 女性の社会進出が当たり前になった昨今、離婚問題などが多く取り沙汰されますが、明治維新前ももともと日本は離婚大国だったようですし、地域によっては離婚の回数制限を設ける場所もあったとか……


 私自身は専門家でありませんので、ニュース記事などで拝見した程度の知識しかありませんが、夫婦お互いに歩み寄りというか、パートナーやチームとして尊重出来たなら、きっと円満な関係はつづくのではないかと思う。



 そして我が娘よ。



 彼氏なのか男友達のことなのか「男心がわからん、パパ何でだよ!?」と、ちょっと低くした声で私に文句を言う前に、ちょっとは相手の話を聞いてやってくれ。相手だって言いたいことくらいは、きっとあるのだから。

最後までお付き合いありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 奥さんとお子さんを愛されているのがよく伝わりました(^^) お互いに分からない事があるから、ちゃんと話しあって決めているのもとても素敵です⭐︎
[良い点] 夫婦、親子の情景がありありと書かれていて分かりやすいですね。 [一言] こちとら、農家なんで、曜日よりも天候に振り回されるスケジュール。 曜日によるルーチンなんぞないんで、新鮮で面白かっ…
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