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見慣れぬ光景に瞳を輝かせ

「うわぁ……すごい町」

 門を抜けてすぐ、見慣れぬ町並みに目を輝かせるコレット。スタスタと歩くイロハの後ろで右に左にと落ち着きなく周りを見渡している

「あまりウロウロ見ていると、変な人だって思われるよ」

 コレットの様子に、イロハがはぁ。とため息つきながら言うと、だいぶ離れているのに気づいたコレットが慌ててイロハの傍へと走る

「すみません。こんなにも栄えた町を見たことなかったので……」

「まあ、ここは特別な世界だからね。驚くのは仕方ないよ」

 そう言いながらコレットを見ると、イロハの話も上の空で、キョロキョロと辺りを見渡している。目を輝かせているコレットを見て、フフッと微笑みながら、どんどんと街の中を歩いていく。いつの間にか二人が来た門も見えなくなったのも気づかないまま歩いていると、コレットがイロハの隣に来てエヘヘと微笑みながら呟いた

「本当に凄い街だなぁ。今度自慢しちゃおう」

「自慢?誰に?」

「私の村にいる友達です。色々お世話になっているから」

「へー。そう」

 イロハの返事を聞いてすぐ、また近くにある商店を見るため、イロハから少し離れお店をジーッと見はじめたコレット。商品を楽しそうに見るにコレットに気づいたお店の店員や買い物客もニコニコと微笑みコレットに話しかけはじめた。すると、少し離れた場所で様子を見ているイロハに気づいた店主が、イロハに手招きをして、大声で話しかけた

「おい、イロハ。この子知り合いか?」

 コレットを指差しイロハに問いかけると、大声のせいで周りにいた人達が一斉にイロハの方を見た。コレットもつられて振り向きイロハを見ると、はぁ。と一つため息をつきながらお店の方に歩き出した

「ああ、コレットだよ。クローネの気紛れで連れてきた子。一応、私の弟子になる予定」

「はぁー、そうか。君、大変な人に目をつけられたな」

 イロハの話を聞いて、哀れみの目でコレットを見る店主。買い物客達も悲しそうにコレットを見る。その視線にコレットが首をかしげると、店主がイロハを見てため息混じりに話しかけた

「まあ、次は逃げられないように手加減しないとな」

「逃げる……ですか?」

「ちょっと、会って間もないのに、そんな脅したら余計に逃げるだろ」

「そうか、すまないな。まあ何かあれば愚痴でも聞いてやるからな」

 コレットを見ながら言うとフフッと笑う店主。すると、お店の片隅でガタンと物が置かれた音が聞こえてきて振り向くと、髪の長い女の子が野菜がたくさん入った箱をガタンと音をたててテーブルに置いていた

「ちょうどいい!おいっ、ククリス!」

「……はい」

 名前を呼ばれてククリスが面倒そうに小声で返事をする。すると、店主の隣にいるコレットを見つけて、ジーッと見つめるククリスにコレットが一瞬身構えた

「コレットだってさ。年が近いだろ。仲良くしてやれ」

「……はい」

 また小声で返事をすると、コレットから顔を背けるように動くとそのままお店の奥へと歩き出したククリス。コレットがその様子を見ていると、村中に響き渡る鐘の音が鳴り、周りにいたお客や店主が少し慌ただしく動き出し、イロハもコレットに近づいて声をかけた

「お昼だ。そろそろ行こうか。クローネが待つモノグロフ城に」

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