喫茶店にて
ウィルメリアと協力関係になった岩谷たち、国の情報網を握るセイガを打倒することを第一目標とする。
キングバック59話「喫茶店にて」
水の国全体を盗聴し、情報戦において大きなアドバンテージを持つセイガを打倒することを第一目標とする。
「私が君たちに協力していることはまだ誰にもバレていない。ならばこの状況を利用しない手はない。私がセイガにアポを取っておびき出す」
「なるほど、そこで隠れていた俺たちが一気に叩くって寸法か」
「ええ、セイガにはちょっと悪いけど、アルファラスを倒すのに彼女は邪魔だわ」
ウィルメリアの目は真剣だ。
仲間を見る目は優しく母性すら感じるが、反面アルファラスのことになると容赦はない。
家族の仇と言っていたが、彼女の過去に何があったというのだろう?
「……家族の仇と言ったが、一体何があったんだ?」
俺は思ったことを率直に聞く。
「……それは、おいおい話すよ……」
ウィルメリアは目を逸らす。
いくら協力関係にあってもそう簡単に過去を聞くことはできない。
それが、家族の死であればなおさらだ。
まだ俺たちとウィルメリアたちとの信頼関係が強くない証拠だ。
早計だった。
だが、これは時間が解決してくれるだろう。
あるいは、その役目は俺ではないのかもしれない。
「協力関係がバレないため、これから頻繁に会うことは出来ないでしょう、一応作戦が決まり次第連絡します。それまで、ここに隠れていてくださいね」
ウィルメリアは帰り際にそう言い残すと、部下を連れて家を出て行った。
「ふぅ、これからゼドの家で待機かぁ、暇だなぁ」
岩谷はソファに寝転がる。
「お前たちまだいるのか……」
ゼドは疲れた顔で言う。
「すみません、ゼドさん、もう少し滞在させて下さい」
スティーブは申し訳なさそうに頭を下げる。
「はぁ、ここまで来たら仕方ねぇ付き合ってやる。ただし、ギースもいるんだ、戦いはお前たちだけでやってくれ」
「ああ、分かった」
「まあ、どうせ、キングバック戦では俺は役に立たないからな」
「僕も役に立たないので待機でいいですか?」
クラスチェがヘラヘラした様子でしれっと便乗してくる。
「お前は戦うんだよ!」
岩谷はクラスチェの頭をぐりぐりとする。
「痛い痛い、分かったよ、やればいいんでしょ! やれば!」
そして三日後の夜ゼドの家の台所の水道から突然、スライム状の液体が出てきて俺たちの前に現れる。
「うわっ、何だ⁉」
すると、液体は中からドロドロの手紙を吐き出すと再び水道に戻って行った。
「うげ、ドロドロだ」
「まあ、そう言うな」
すると、スティーブ躊躇せず、ドロドロの手紙を手にして開く。
「明日の午前10時レイクストリートにある、カフェ・ドレイクでセイガと会うことになった。そこで彼女を捕らえる。彼女の飲み物には睡眠薬を混ぜる。彼女が眠り始めたら、スティーブたちは一斉に襲撃し、彼女の部下たちを制圧してくれ」
手紙にはそう書いてあった。
「レイクストリートってどこだ?」
「その名とおり、湖の近くの街道だ、ドレイク湖の傍にある喫茶店か、少し遠いな」
クラスチェは手を挙げる
「僕以前行ったことあるから明日連れていけるよ」
「そうか、じゃあ明日は案内を頼む」
「オッケー」
「でも俺たち今現在お尋ね者だろ? 出歩いてバレねえか?」
岩谷は顔をしかめる。
「それについては大丈夫さ」
「なんで?」
「岩谷が派手にやらかしたとき、濃く化粧してたから、すっぴんで行けばバレないよ」
「そういうもんか?」
「そうそう、堂々としてたら案外バレないもんだよ」
「ふーん」
「それに、鎖国している国さ、よそ者の僕たちの顔を深く知っている奴なんていないよ」
「なるほど」
そして次の日カフェ・ドレイクにて岩谷たちは湖の見えるテラス席で堂々とコーヒーを嗜んでいた。
岩谷たちはウィルメリアから少し離れた席から様子を伺う。
まだ、セイガは到着していない。
「まだかよ」
岩谷は小声で呟く。
「そう焦るな」
スティーブも小声で呟く。
すると、紫色の髪の長い女性が複数のウォーターナイトを連れてウィルメリアに近づく。
「待たせたわね、エステイト様」
「様はいりませんよ、セイガさん、まだ継承していないひよっこですから」
「そう? なら、私のこともさん付けしないくていいわ」
「分かりました、セイガ」
ウィルメリアは俺たちと会っていたときと違い完璧に男として振る舞いセイガと会話している。
「それで? エステイト、私を呼び出して一体何の用?」
「そうですね、あなたはこの国を支える重要な一人だ、今の内に挨拶でもと思いまして」
「うふふ、今の内に唾を付けておこうってわけ? まだまだ坊やだと思っていたけどそういった根回しは上手いのかしら?」
「ははは、僕はそこまで賢くはありませんよ」
ーー彼女はウォーターナイトでも最高位だ、それなのに能力の都合上盗聴にかかりっきりで休む暇もない。
他のウォーターナイトとは扱いが大違いだ。
だがそこがアルファラスへの不満へと繋がっているはず。
そこを上手く突けば彼女をこちら側に付かせることができるはずだ!
すると、セイガは軽く立ち、身を乗り出すとウィルメリアの耳元で甘く囁く。
「私はあんな中身は老人の年齢詐称ジジイなんかよりも、あなたみたいな可愛い男がいいわ、なんなら今日一晩どう?」
ーー⁉ はわわ、そ、それはマズイ、脱いだら流石にバレる! 私が女なのがバレる!
「ま、また後日にでも」
ウィルメリアの声は少し震えている。
「そう、残念(さっさと篭絡してしまえば、楽になると思ったのにねぇ)」
セイガは再び椅子に座る。
このたびはキングバックを読んでいただきありがとうございます。
ここからしばらくはセイガ戦の話が続きます。
今後の展開をお楽しみに!
いつも読んでくださる皆様にお願いがあります。
ブックマーク、評価、感想など是非よろしくお願いいたします。
作者のやる気が上がり、クオリティがアップすること間違いなしです。
またTwitterもやっているのでそちらでは作品の追加情報などを展開するかもしれません。
作者名で検索すると出ると思います。
どちらにせよ、次回もお会いできるのを楽しみにしております。




