砂の刺客と太陽圧力Part2
これは分割編集版です表現など多少変化していますが内容に差はありません。
砂の刺客と太陽圧力Part2
ルインのキングバックは槍を使いゴーレムの胸部に先制攻撃をする。
ゴーレムは全くひるまずルインのキングバックの顔面めがけて拳を振るう。
しかし敵はこれを紙一重で避ける。
大振りの攻撃で隙を晒したゴーレムの胸部に二回連続で槍で攻撃する。
「こいつ同じ箇所に攻撃を」
「硬いなら同じ所を何度も攻撃すればいいだけのことだ」
すると傷一つ付かないと思われたゴーレムの胸部に小さなヒビが入った。
「ダメージはゼロじゃない。まだ勝てる」
ルインのキングバックはゴーレムの左ストレートを右へかわし同じ胸部へ槍を突き立てようとする。
しかしゴーレムの右手は胸部のところに待ち構えていた。
「攻撃される箇所がわかっているなら、いくら遅くても、鈍くても、問題は決してない」
ゴーレムはその胸に向けた槍を右手で掴むと力いっぱい上にぶん投げた。
ルインのキングバックはとっさに槍を離そうとしたが勢いが強く、離した時には既に空中にいた。
「空中なら避けれないだろ!」
ゴーレムは空中でまともな動きが出来ないルインのキングバックが落ちて来たところに強烈な右手のパンチが撃ち込む。
パンチが撃ち込まれたキングバックはルインの真横を吹っ飛んでいった。
「終わったな。ルイン、お前は勇敢な戦士だった。お前を捕虜として拘束するぞ、なあに俺がスティーブに言って待遇は悪くないようにするからよ」
俺はそう言い、ルインに近づくが急にルインは頭を痛そうに抱え、そして鋭い目つきでこっちを睨む。
「まだだ、まだ終われない。俺にはまだ」
すると汗を流しながら、ニヤッと笑った。
「ルイン、一体何をする気だ!」
「お前と一緒だよ、あのキングバックは元々俺の物ではない」
「そうか、つまりあれだな」
「ああ、第二ラウンドだ。いくぞ俺のキングバック、行け、バッシュ」
ルインは岩谷と同じく自分の新たなキングバックを出現させる。
その新しく出現したキングバックは硬い石を感じさせる灰色の体色で10メートル弱だがとても引き締まった筋肉を持っているような外見をしていた。
バッシュがボクサーのように拳を構えると同時に拳がさらに黒く変色した。
「拳の色が変色した? 一体何が、いや見るからに他の部位と比べても強度が高そうだ。そんな気がする。お前のバッシュの能力はもしかすると、硬化か?」
岩谷はバッシュの能力を推察する。
「ああ、素早く効率的にダメージを与えるため、今習得した!」
ルインは笑みを浮かべる。
「あーあ、さっきより手ごわそうになってんじゃんか。だがいいぜ、今度もぶっ倒してやるさ!」
そして始めに動いたのはバッシュだ。
バッシュは素早い動きで連続パンチを繰り出す。
ゴーレムは先ほどと同じくヒビが入った胸部でバッシュの拳を掴んでやろうと待ち構えていたが先ほどとは違い、その速さの差は圧倒的でとてもじゃないが拳を掴める速さではなかった。
そのスピード翻弄され、瞬く間に何発も胸部にパンチを入れられてしまう。
「ぐぅ、クソめちゃくちゃ速くなっていやがる」
ーー掴むのは無理だ。だが一発でも拳を当てることができれば、俺の勝ちだ
ゴーレムは胸部を守りながら攻撃に回る。
しかしゴーレムの繰り出した右手のパンチはあっさりとしゃがんでかわされ、胴体に強烈なパンチを入れらる。
次の左手のパンチは仰向けにのけぞることで回避され、ついでに左横腹に鋭いキックを叩きこまれてしまった。
ーークソ、致命傷にはならないものの徐々に胸部以外の場所にもダメージを蓄積され始めた。
持久戦はマズイ、一気に勝負を決めなければ!
「食らっちゃマズイというのはなかなか神経を使うが、別に避けれない速度ではないな」
岩谷が苦しそうな顔をしている中、ルインはさっきと違い余裕な表情で言う。
「この勝負一体どう決着がつく?」
心配そうにスティーブは言った。
「安心しろよ。スティーブ、すぐに終わらせるつもりだ。腹痛ぇだろ横になってていいぜ。けどちょっと危険だから離れていてくれ」
「ああ、わかった。俺はお前を信じているぞ」
スティーブからはさながら長年コンビを組んだ相棒のような信頼を感じた。
「言ってくれるな岩谷、どうやってこのバッシュを倒すつもりだ!」
「それはな、これさ!」
ゴーレムは地面に向かってありったけの力で地面がえぐれるほどのパンチを繰り出す。
地震のように周囲は揺れると同時に辺りには砂煙が舞い、一瞬で砂嵐のど真ん中にいるような状況になる。
「クソ、目くらましか、だがお前のゴーレムほどの重さなら向かってくる音でばれるぞ、無駄だ」
バッシュは一旦ゴーレムから距離を取る。しかし、一向にゴーレムが動く気配はなく、ついには舞った砂は地に落ちようとしていた。
ルインはその様子をただ、警戒して見ている。
「一体なんの真似だ、ただの時間稼ぎか? もういいお前の終わりだ。岩谷ぃ!」
そしてバッシュは先ほどから全く動かなかった、ゴーレムに突っ込む。そしてバッシュが高速パンチを繰り出し、ゴーレムは防御もせずまともに攻撃を喰らった。
「本当に一体、何が目的なのだ。まともに喰らいやがって……⁉」
砂が完全に地に落ちた。そのときゴーレムはただ(疑似)太陽に向けて手をかざしていた。
「ただの時間稼ぎ、されど時間稼ぎ、俺にとって時間というのはもっとも重要な項目だ」
「まずい!? 避けろ、バッシュ!」
「無駄だ、ルイン、今バッシュは何を背にしている?」
ルインは空を見上げる。
「た、太陽を背に、背にしている」
「既に発射の工程は完了している」
「こ、こいつ初めからゴーレム自身に狙いを定めて」
その時、位置関係的にルインのバッシュは疑似太陽とゴーレムとの間に位置しており、どの方向に逃げようとも、既に太陽圧力を回避不可能な状態にあった。
「動くお前のバッシュに狙いをつけるのは困難だからな、短期決戦をしたいならこれしかない。自慢になるが俺のゴーレムはあの攻撃に耐える自身がある。お前のバッシュはどうだ?」
その言葉と同時には太陽圧力は発射されゴーレム諸共辺りを巻き込んだ。
高い火力を誇る太陽圧力バッシュは耐えきれずその場に崩れ、そして撃破された。
しかし岩谷の言ったようにゴーレムはその攻撃を見事耐えきった。
これにより、今度こそルインはキングバックを失い、岩谷の勝利が確定する。
負けたルインは地面に大の字に寝転がる。
「あー負けた、完全に負けた。もう好きにしろ」
その時のルインは悔しそうにしていたが、なんだか少し満足したような表情でもあった。
「あ、ああ俺の勝ちだ。だが、うぅ、急に疲労感がこみ上げて来て」
岩谷は急に膝を着く。
「なんだお前、完全キングバック初心者だな。慣れねえと体に相当な負担が掛かるからな。はぁ、勝ったお前らの方が俺よりボロボロじゃないか。負けは認めて逃げはしないけどな」
そう言ってルインは起き上がり、岩谷に肩を貸した。
「すまん、ありがとう。にしても本当に律儀な奴だな。関心するぜ」
「褒めても、何も情報は言えないがな」
「ちぇ、頑固な奴でもあるな」
その後遅れてやってきた太陽の国の兵士たちに俺とスティーブは助けられ、ルインは捕虜として丁重に捕まった。
こうして、岩谷の初陣は終わりを告げる。
しかし、岩谷とスティーブの過酷な冒険は始まったばかり。
このたびはキングバックを読んでいただきありがとうございます。
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