ウィルメリア
エステイトが女だと言うスティーブ、その真相は?
キングバック57話「ウィルメリア」
「お前、女だろ?」
「……そうだ」
すると、エステイトは自分の仮面を取って見せる。
そこには美しい綺麗な女性の顔がそこにはあった。
「何故、男の振りをする? 男になりたいと本心で思っているわけはあるまい?」
スティーブは問う。
「……」
エステイトは黙る。
「もういいんじゃありませんか? エステイト様」
すると、俺たちを挟むように背後からノレドが現れる。
「う、後ろから! ゼドはどうした!」
「少し眠ってもらいました」
岩谷の問いにノレドはあっさりと答える。
「それより、エステイト様、今回は彼らの実力を見る話でしょう? 答えは出たでしょう、彼らしかないのでは?」
ノレドの言葉にエステイトは諦めたようにため息をつく。
「はぁ、分かったわノレド、そうよ、私は女、別に好き好んで男の恰好をしているわけではない、全ては我が母、我が父、そして我が弟の仇のため、今の今まで命の危険を晒してまで男として生きて来た」
エステイトは大きく深呼吸するともう一段階大きな声で言う。
「我が名は、ウィルメリア・グリットシャーン、エステイトは我が弟の名、そして母の旧姓はロイヤーだ!」
衝撃の事実、ウィルメリアの母の旧姓はロイヤーだと言う。
これはスティーブの養父セイリスと同じ姓だ。
「せ、セイリスさんと同じ姓じゃないか⁉」
岩谷は驚きを隠せず、当のスティーブは目をまん丸にし、声が出ていない。
女であることは見抜けていても、そこまでの人物だとは思わなかったらしい。
「さっきは意地を張って悪かった、スティーブ、君の話はこの国まで届いていた。是非会いたかったよ、いちおうわたしの従兄のなるのかな?」
そう言うとウィルメリアは笑って握手の手を差し出す。
「以前、水の国へ嫁いだ妹がいると、セイリスから聞いたことがあったが、そうか、君が……知っていると思うがスティーブ・ロイヤーだ、その血は繋がってはいないけどよろしく頼む」
スティーブはウィルメリアの手を取る。
「……つまり、どういうことだってばよ?」
岩谷はノレドを見る。
「ウィルメリア様は今まで、アルファラスを討つためにここまでアルファラスの後継者として振る舞い、仲間を集めて来られました。そう、来るべきカードが揃うまで自分の殺意を押し殺して、そしてあなたたちが来た」
「ちょっ、それ、私が言いたかったのに、ノレドったら酷い!」
ウィルメリアは可愛らしくほっぺを膨らます。
「なんか、急に女の子らしくなってるんだが……」
岩谷はあまりの変化に驚く。
「ウィルメリア様は普段からそのほとんどを男として振る舞っているが故に、自分を出せる時には一気にそれまで溜まった物が放出されるのです」
「まあ、とりあえず、こんな衛生のよくない地下水路でだべるのはやめないか? ゼドの家に戻ろう」
俺はそう提案し、全員でゼドの家に押し掛ける。
「う、うーん、ここは?」
俺はベットで目を覚ます。
ーーそうか、俺はノレドに負けたのか……だが、一体誰が俺をベットに?
まだ、頭がハッキリとしない。しかし、何やら少し騒々しい音が俺の目を覚ます。
起き上がりベットから出た俺は寝室からリビングに向かう。
騒々しい音の正体はリビングから聞こえる。
俺はリビングの扉を開ける。
そこには、岩谷たちと、何故かノレドと共にウォーターナイトたちが仲良く談笑している。
「な、なな、何してんだ⁉ お前ら!」
俺は異様な光景にまだ、夢から覚めていないのではないかと自分を疑うが、しかし現実は俺の思考を置き去りにする。
「よぉゼド、かくかくしかじかでこいつらと仲良くなったんだ、よろしくな!」
岩谷はテキトーな様子で座ったままこちらに手を振ってくる。
「いや、かくかくしかじかとか言われても全く何が起きたのか分かんねよ!」
「分かれ! それがフィクションのいい所だ」
岩谷は訳の分からないことを口走る。
「ファ⁉ 何言ってんだ!」
「治、これ以上は言うな、世界感がブレる」
混乱するゼドに拍車をかけることを言う岩谷をスティーブが止める。
「そ、そうか、なんかすまんな、ゼド」
岩谷はゼドに軽く謝る。
「う、うーん、混乱して来た、ちょっと水を飲ませてくれ」
そう言うと、ゼドは台所の方へ向かって行く。
「な、なんじゃこりゃ⁉」
焦った様子のゼドはすぐにリビングに戻って来る。
「ん? どうしたんだ?」
「どうしたじゃない! 俺の台所がカッチカチに凍ってるじゃないか! しかも丁寧に水回りだけ!」
「あーそれな」
「ごめんなさい、それ私の仕業です」
ウィルメリアは丁寧に謝る。
「お前の仕業か! てか、さっきから誰だ! お前ら!」
「お久しぶりです、ゼドさん」
「いや、お前なんか知らんぞ」
ウィルメリアがゼドに話しかけるが、ゼドは見覚えがない。
すると、ウィルメリアは普段身に着けていた仮面を持ち上げ、顔の近くに持って行く。
「私、いや、僕です、エステイトです」
「な⁉ あのエステイトか?」
ゼドは驚きを隠しきれない。
「はい、あの時、しごいてもらったエステイトです。」
「……そうか、やっぱりお前はこっち側だったか」
ゼドが少ししんみりしながらウィルメリアと話をしていると、エルフェがゼドとウィルメリアとの間に割って入る。
「ウィルメリア様、それ以上男と喋ると、男菌が移りますわ!」
そう言い放つとエルフェはウィルメリアに抱き着く。
「お、男菌……」
そして、すっと現れたシャルデがウィルメリアの腕に抱き着く。
「あはは、そして彼女たちは私の部下であり、同士です」
ウィルメリアは笑いながら自分の部下を軽く紹介する。
「わ、私もウィルメリア様の部下です」
ノレドは少し照れた様子でウィルメリアをチラチラ見る。
「いいわ、ノレドもおいで」
ウィルメリアは母親のような母性全開でノレドを誘う。
すると、少し照れた様子でノレドはウィルメリアの後ろから抱き着く。
ノレドの方が、遙かに背が高いことから、ウィルメリアはノレドのぬいぐるみのようなサイズ感である。
「これが、今の私です」
ウィルメリアは笑顔で笑う。
「……何なんだこれ?」
ゼドの混乱は加速する。
このたびはキングバックを読んでいただきありがとうございます。
エステイトの正体が分かり、これで岩谷たちにも癖はありますが現地の能力者の仲間が出来ました。
これからは本格的にストーリーが進行しますのでお楽しみに。
いつも読んでくださる皆様にお願いがあります。
ブックマーク、評価、感想など是非ともよろしくお願いいたします。
作者のやる気が上がり、クオリティがアップすること間違いなしです。
Twitterもやっているので今後に関わる様々な内容を発信するかもしれないのでそちらもよろしくお願いします。作者名で検索すればでると思います。
どちらにせよ、次回もお会いできるのを楽しみにしております。




