逃走
潜入中なのについ騒ぎを起こしてしまった岩谷たち(主に岩谷)
これからどうするのか?
キングバック52話「逃走」
「おい! 何処に行った?」
「探せ! まだ近くにいるはずだ!」
兵士が近くを走り去って行く。
「……行ったか」
「そうみたいだな」
夫婦を助けるため、事を荒立てた俺たちはその場から夫婦を連れて、逃げ出した。
しかし、思ったよりも巡回する兵が多く、路地裏から動けず立ち往生していた。
「申し訳ない、我々を助けるために……」
夫婦の男の方、ギースは俺たちに謝罪する。
「いや、気にすんな、俺はやりたいからやっただけだ」
「そうそう、全部こいつのせいだから」
クラスチェは呆れた様子で首を振る。
「なんだと、クラスチェ!」
「あんたが好き放題暴れたからよりめんどうなことになったんだろ!」
少し前に遡る。
岩谷は女性を兵士から守った後に殴り飛ばし、抱いていた赤子を取り戻した。
その後ギースが一人の兵士にタックルし、逃げるための時間を稼ごうとした。
「うおぉぉぉぉ! お願いします、妻と息子を連れて逃げてください!」
そのときギースは決死の覚悟でタックルし、自分が犠牲になってでも時間を稼ごうとしたのだろう。
しかし、岩谷は
「いいや、あんたも連れて行く! そのまま押さえてろ! おらぁ!」
その覚悟など全く無視して、全ての兵士を制圧してしまった。
これが大きな時間のロスとなり逃げ遅れ、現在、立ち往生している原因である。
「すみません、俺を助けようとしたばっかりに……」
ギースはよりしょんぼりとしてしまっている。
「い、いや別に、あんたを見捨ていれば良かったなんて言っているわけじゃなくてだな、うーん」
クラスチェは言葉を濁す。
「まあまあ、今のところは全員無事ですし、それより逃げるための方法を考えましょう」
スティーブが暗い雰囲気のみんなをまとめる。
「いっそ、全員制圧するか」
岩谷は手を握り、ボキボキと指を鳴らす。
「バカっ、一体何人いると思ってるんだ! それにこっちには非戦闘員が3人もいるんだ、危険な橋は渡れない」
クラスチェは岩谷の意見を否定する。
「分かってるよそんなこと、じょ、冗談だよ」
岩谷は焦って目を逸らす。
「(こいつガチだったな)」
クラスチェはジト目で岩谷を見る。
「あの、俺からいいですか?」
ギースは手を挙げる。
「確かに土地勘がある者に聞くのも手だな、それで?」
スティーブはギースに意見を聞く姿勢だ。
「俺の友人にレジスタンスに少し関わりのある友人がいまして、ちょっと変わった奴なんですが、彼なら匿ってくれるかもしれません」
「早速有力情報だな、それでその友人は何処だ?」
「ここ4番街の隣5番街です」
「隣か、結構距離があるな」
スティーブは考え込む。
「それでも行くしかねえ」
岩谷は行くことに賛成だ。
「はあ、勢いだけはいいんだから」
クラスチェは再び呆れた様子だ。
「じゃあお前はどうなんだよ!」
「……まあ、僕も行くのに賛成だけどさ」
「二人ともこれ以上言い合っている時間はない、行くぞ、あと奥さんの方もそれでよろしいですか?」
スティーブはあまり積極的に話に参加しない、ギースの奥さんにも了承を得る。
「はい、少しでも助かる可能性があるのなら行きます」
「よし、決まったな、鼻の利く俺が先頭だ、岩谷とクラスチェは後ろで夫婦たち三人を真ん中で挟むようにして進むぞ」
スティーブは瞬時に陣形の提案をする。
「スティーブさん、さっき俺のスナッチズを飛ばして、使えそうな物集めておきました」
クラスチェは得意げに、頭を覆えるローブを人数分見せる。
「ナイスだ、クラスチェ!」
「へへ、問題を起こす、脳筋とは違うんですよ」
クラスチェは岩谷を見て鼻で笑う。
「ぐ、ぐぬぬ」
岩谷は怒りをこらえる。
「それじゃあ皆行くぞ」
そして俺たちは5番街へ向け慎重に行動していく。
基本は人目につかないルートを夫婦に案内してもらいながら進む。
どうしても人目についてしまうルートしかないときはあえて人が多い場所を選び、人ごみを利用する。
そうして見つかることなく5番街に到着し、後はその友人宅まで向かうだけという時だった。
路地裏を抜けようと進んでいると、路地裏の出口に一人ドンと仁王立ちをしている水色ショートヘアーの少女がいる。
白を基調とし、青色のラインが入った制服っぽい服を着ている。
そしてそれを若干着崩し、スカートの丈は少し短い。
「はっはっは、そこいらのだらしねぇ男兵士は欺けてもこのタオン様を出し抜くことは出来ねえぜ!」
少女は偉そうな態度でこちらを睨み見つけてくる。
しかし、その少女からは何とも言えない未熟さが溢れ出ている。
「(何故だろう? この子からはアホの子の電波を感じる)」
岩谷はこの少女にそう感じ、スティーブ、クラスチェも同様に感じていたが、夫婦たちはそうはいかなかった。
「ス、スティーブさん、この子ウォーターナイトですよ!」
ギースの声は怯えたものだった。
「なんだ? そのウォーター何たらってのは?」
俺は夫婦に聞くとクラスチェが補足をする。
「彼女たちはアルファラスに特別に認められたキングバックを使う兵だ、この国ではアルファラスに次いで権力があり、ウォーターナイトであることが一種のステータスになっている」
「よく知ってんな、線の細い兄ちゃん、そうだ、せっかくウォーターナイトになったからには手柄を立てて出世したいんだよ!」
「そうか、特別視されているだけはあるな、俺たちを見つけるとは」
スティーブは警戒した様子で少女を見る。
「ん? ああ、見つけたのは偶然だけどな、そこの屋台に寄ってたらたまたまお前らがいただけだ」
「……偶然かぁ」
スティーブは呆れた顔で頭を抱える。
何ともしまらない雰囲気が流れる。
「なんだ、その顔は! お前らが誰かは興味ないが、捕まえて出世だぜ!」
少女はキングバックを出して襲い掛かってくる。
このたびはキングバックを読んでいただきありがとうございます。
昨日は投稿出来ず申し訳ありません。個人的なトラブルで昨日は忙しく、投稿出来ませんでした。
なので本日は20時頃にもう一本投稿しますので、次も見て下さい。
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クオリティがアップすること間違いなしです。
次回もお待ちしております。




