黒幕とご対面
岩谷の前に姿を現したユニコーン。
それは気まぐれか、それとも計画か?
キングバック48話「黒幕とご対面」
俺たちの前に突然、置時計の模様仮面を付けた男、ユニコーンが出現する。
「だ、誰だ!」
「ユニコーンよ!」
女王が咄嗟に答える。
「ご紹介いただきありがとうございます。私、ユニコーンと皆から呼ばれる者です」
ユニコーンは相変わらず、丁寧だが胡散臭い。
「貴様ぁ!」
激昂したホルンはユニコーンに襲い掛かる。
しかし、ホルンが襲い掛かった時には既にそこにユニコーンは存在せず、ついでにマシューの姿もそこにはなかった。
「まあ、少し落ち着いて話を聞けホルン、貴様の悪い所だ」
次の瞬間ユニコーンは誰も座っていなかった椅子に足を組んで座っており、傍の長テーブルにはマシューが寝かせられている。
「う、うぅ、ユニコーン様?」
ついさっき大量に血を噴いたマシューが息を吹き返す。
「な⁉ 息を吹き返しただと!」
ホルンはマシューの様を見て驚愕する。
「あの状態なら助からなくともおかしくはない、ユニコーンとやら一体今何をした?」
ドラゴンがユニコーンを睨む。
「そう怖い顔をするな、ドラゴ、リーダーならば、敵の能力くらい自分で考察してみせろ、理解には富むが、考察力がないのが貴様の悪い所だ」
少し低いトーンで喋るユニコーン、まるでドラゴンのことを知っているかのような口ぶりだ。
「……」
――ローキット、聞こえるか? 目の前のユニコーン、お前はどう思う?
岩谷は即座にローキットに話し掛ける。しかし、ローキットからの返事はない。
「クソ、なんで通じないんだ!」
「おいおい、お前たちの前に姿を現すんだ、最低限のセキュリティ対策くらいは講じるさ」
「ユニコーン、貴様は何のために俺たちの前に現れた?」
スティーブはユニコーンに問う。
「いくら俺でも部下を助けることくらいはするさ」
「……」
ーーこいつ、匂いが感じられない、何者だ?
スティーブは疑いの目でユニコーンを見る。
「分かった分かった、そう睨むな。まあ実を言うとだな、本当は今出て来るつもりはこれっぽちもなかったんだけどさぁ、何となく気分が良かったから顔見せに来た」
「気分だと⁉ いや顔見せ、何故そんなことをする?」
「最終的な目標ってのがないと、人間やる気が出ないもんだろ? 頑張って俺に辿り着けっていう発破をかけに来た」
「ふざけた真似を!」
「そんなに怒るなよスティーブ、お前はリーダーだ、あまり感情的になるのはそこの岩谷にでもやらせておけ」
「なんだと!」
岩谷はユニコーンを睨む。
「あとその仮面、俺が作った物だが、そのままお前たちにやるよ。そっちの方が面白そうだしな」
「敵に塩を送るのか⁉」
スティーブは疑い深い様子でユニコーンを見る。
「俺に辿り着けと言ったが、これから先はレベルが違う。水の国と炎の国、この二つを攻略するのにその仮面があってちょうどいいハンデだ。いや、あってもキツイか、まあ、せいぜい使いどころを間違えるなよ」
そう言うとユニコーンは立ち上がり、俺たちに背を向ける。
「ユニコーン様! 俺も連れて行って下さい」
マシューは起き上がり、ユニコーンの元に行く。
「待て、ユニコーン!」
岩谷はユニコーンを呼び止める。
「……なんだ? 岩谷」
ユニコーンは軽く振り返る。
「何故、こんなことをするんだ! お前にとって世界とはなんだ!」
岩谷は強くユニコーンを睨む。
「……多くの困難を乗り越え、貴様のその目でこの俺を見つけられたのなら、その答え教えてやる」
仮面の目の隙間から、青く美しく、円形に連なった鱗のような目が岩谷を見た。
そして、再び背を向けると、後ろ向きに手を振る。
「それでは皆さん、ごーきげーんよーう!」
そう言い終えると、ユニコーンとマシューはその場から一瞬で消えた。
「はあ、一体何だったんだあいつは」
岩谷は疲れた様子で、近くの椅子に座る。
「そうだな、まるで俺たちのことを知っているかのような口振りだった。バルター以上の情報収集力、それとも……」
「裏切り者ですか……」
アレンは何か考え込むような仕草をして、顔をしかめる。
「アレン、あくまで可能性の話だろう? 証拠なしに疑うのは止めた方がいい」
ドラゴンは考え込むアレンの肩を叩く。
「す、すみません、つい」
アレンははっとして皆に謝る。
「とにかくだ、今は目の前の水の国と炎の国の攻略を考えるべきだ」
スティーブはすぐに心を切り替える。
「そうですね、ユニコーンのことはとりあえず後にしましょう」
「ああ、でもユニコーン、あいつは絶対俺が見つけてやる!」
岩谷はそう固い決意を固めたのだった。
その後、木の国とはユニコーンによって木の国から裏切り者が出たことと、世界の真実を伝えたことが相まって協力関係を築くことに成功した。
そして今後、どちらを先に落とすかそのための情報と意見を貰うため、現在砂の国にてルインの仕事を手伝っているバルターを呼び出すことになる。
二日後、バルターはセンドウにやって来る。
また、木の国の女王とホルンにも作戦会議に参加してもらうことになる。
近況報告の手紙など、バルターとはそれなりに連絡を取っていたスティーブだが、直接会うのは砂の国での戦い以来である。
「そのスティーブ、あの時はすまなかった」
バルターが出合い頭にスティーブに謝罪する。
「あ、ああ……今日は、頼む……」
とても気まずい空気が流れる。
それもそうである。
スティーブの養父、セイリスが死ぬ原因を作ったのはバルターだ。
バルターが追い詰められて流した情報とはいえ、そう簡単に割り切れるものではない。
そんなことバルターは百も承知だ。
故に現在そんな己を変えるため、ルインと共に砂の国の復興に大きく注力している。
その状況を誰よりも報告で聞いているスティーブはバルターになんと声を掛けたらよいか分からない。
それはバルターも同様である。
「なあ、バルター、今日はお前の意見を聞くために来てもらったんだ、どっちを先に攻めるべきだと思う?」
俺はその沈黙に耐えかねて、バルターに話を振る。
バルターはちらっとスティーブを見る。
スティーブは軽く頷き、それを見てバルターは口を開く。
「率直に言おう、水の国を先に攻めるべきだ」
このたびはキングバックを読んでいただきありがとうございます。
ついに岩谷の前に姿を現したユニコーン、彼は色々と謎の多い人物です。
声をボイスチェンジし、匂いも完全に消し去り用意周到さが表れています。
因みに裏切り者の話が出ていましたが、ぽっと出の人物がユニコーンというオチはありません。
既に出ているか、今後出て来るかは伏せますがそれなりに話に関わる人物です。
皆さんも考察してみてください。
いつも読んでくださる皆様にお願いがあります。
是非ブックマーク、評価、感想などよろしくお願いいたします。
作者のやる気に繋がり、クオリティがアップすること間違いなしです。
どちらにせよ、次回で会えることを楽しみにしております。




