オリジン
女王を無事倒した岩谷。
しかし、女王は懐から謎の仮面を取り出す。
キングバック40話「オリジン」
女王は懐から、不敵に笑う、片目の仮面を取り出す。
「な、なんだ、それは⁉」
岩谷はその仮面が何か一体何なのか見当もつかなかったが、その仮面から迸るオーラに一歩二歩と、後退る。
「その力、神に近づけ! たとえその翼が燃え尽きようとも!」
女王がそう叫びながら、右手で仮面を自分の顔に被せると、女王の周りから、凄まじいほどの赤黒いエネルギーが溢れ出て来る。
辺りを駆けるエネルギーの波動で近くにいた、岩谷だけでなく、その場に居合わせた者全員が立つことがままならなくなり膝を着き、女王を見る。
「あの仮面を被った途端これだ、何なんだあれは?」
女王が外れないように抑えている仮面を岩谷が見ていると、仮面の片目に埋め込まれている宝石の一つが砕け散る。
それと同時に女王の周りに溢れる力が再起不能だったクイーンレイピアへ流れて行く。
クイーンレイピアは突然立ち上がると、瞬時にクリサリスストーンズによってバキバキにへし折られた腕が再生する。
すると、クイーンレイピアは急に苦しむような様子で仮面のような自分の顔を両手で抑え始める。
呼応するように女王も両手で顔を仮面ごと抑える。
「う、ぐぅ、あああぁあぁぁぁあ! 軋み潰せ、クイーンレイピア・オリジン!」
女王は顔を大きく上げるとイカロスの仮面を外し、投げ捨てる。
それに呼応するかの如くに、クイーンレイピアは自分の顔の仮面を無理やり剥がそうとする。
ぶちぶちと音を立てて仮面を引き剥がすと、血を連想させるような紅い液体が流れ、中からは凛した表情の女性らしい顔が現れる。
手を器にし、顔から流れ落ちる液体をその手の器に貯める。
貯めることに限界を越えた紅い液体は手からドロドロと零れ落ちる。
大きく零れないように手を頭の方に持って行くとその液体を頭に向け、ぶちまけた。
ぶちまけた液体があらかた、流れ落ちたときにはその頭にはつばの大きい帽子が被せられていた。
その帽子はキャップタイプではなく、ハットのタイプでそのつばには一つ大きな翼のようなオブジェが付いていた。
そして、その翼のオブジェに先に小さく火が灯る。
ゆっくりでそれでいてふらふらと岩谷の方へ歩いて行く、それと同時に身体がどんどん巨大化し始め、背中にはメキメキとこれまた巨大な昆虫の羽が生え始める。
「な、なんか、これヤバくねえか⁉」
変貌するクイーンレイピアから、岩谷は少しでも離れようとするが、岩谷もふらふらと真っ直ぐに歩けていない。
「治! 早くそいつから離れろ!」
スティーブは遠くから叫ぶ。
「ああ、わかってるけどよ、くそ、何だか、頭が痛い」
クイーンレイピアは生えた羽を高速で羽ばたかせており、超音波のようなものを発生させ、岩谷を苦しめる。
「ちぃっ、うぜえなあ」
今度はクイーンレイピアの両腕に鋭利なかぎ爪が生えて、のそのそと岩谷へ近づく。
岩谷はクリサリスストーンズを向かわせようとするが、高周波で頭が揺れ、上手く指示出せない。
「う、ぐぅああ、く、そぉ」
「まだ、私がここに、いるわ!」
ゆっくりと接近するクイーンレイピアにカレンのホワイトブレイドがタックルをかます。
もろにタックルを食らったクイーンレイピアは派手に倒れる。
その隙にホワイトブレイドが岩谷を抱え、カレンの元まで連れて行く。
「大丈夫!」
「ああ、何とか、助かったぜ、カレン」
岩谷はしんどそうな表情を浮かべ、ぐったりとしている。
「でも一体何なのあれ?」
「さあ、サッパリだ、おい、パチ神! 応答しろ! …………クソっ繋がらねえ」
ローキットからの応答はない。
「⁉ 治、あれを見て!」
カレンが指さす方向に岩谷は顔を向ける。
そこには、上体を起こすクイーンレイピアの姿があったが、そのとき、クイーンレイピアの腰から下がポロっと取れる。
クイーンレイピアは下半身を置き去りにし、空を飛び始める。
「何よあれ?」
「もう、いらねえんだろうよ、あんなでけえ、羽貰ったんだ、下半身なんてよ」
岩谷とカレンが怖い顔でクイーンレイピアを見ていると、遠くで女王が口を開く。
「さあ、存分に暴れなさい! クイーンレイピア・オリジン!」
上半身だけで10m近くはある、クイーンレイピア・オリジンが空を飛びこちらに向かって来る。
「何がなんだか、わかんねえが、とにかくやるしかねえ!」
「ええ、そうね」
岩谷はクリサリスストーンズを出し、カレンのホワイトブレイドは攻撃のため、構える。
「俺もここにいる」
ドラゴンが岩谷たちから少し離れたところで親指を立てる。
「僕も陰ながら援護するよ! あと、このおっさんも」
ノールがこっちに手を振り、ティッカロを指さす。
「俺ってばスティーブさんよりも歳下なんすけどね!」
「僕だっています! お役に立てるかはわかりませんが」
ユラジオが声を上げる。
「全く、お前はいつまでも弱気のままなんだからなぁ」
スティーブは少し呆れた様子だ。
少し離れたところに一人、この状況を楽しむ者がいた。
ユニコーンは誰にも気づかれないように、離れて状況を把握している。
「うんうん、思った通りにことが運んだね、まあ、途中マシューがやられたのは想定外だったけど、まあいいや、気にしない気にしない♪」
そしてユニコーンは大きく手を広げ、ノイズの入った声で叫ぶ。
「さあ! ステージは整えてやった! これをどう演じるかは君次第だ! そう、歪み者、いや濁り者の岩谷君」
そして男の仮面の覗き口から、美しく、碧く、魚の鱗が円形を作ったような模様の目が光る。
「せいぜい僕を楽しませてくれよ! アハハハハハハっといけない、いけない、これ以上叫ぶとバレる。黒幕としては是非とも最後に会いたいからね、こんなとこで見つかったたら、駄作もいい所だ」
「よし、ここは大人しく大好きなポップコーンを食べながら、彼らの奮闘をゆっくりと鑑賞しようじゃないか、まあこの世界にはないけどね、ポップコーン、実はポップコーンもそんなに好きじゃないしね、あれ歯に詰まって鬱陶しいんだよねぇ」
それから、少しの間、男、フェンリルの独り言は続く。しかし、彼の声を森は静かに飲み込んだ。
このたびはキングバックを読んでいただきありがとうございます。
イカロスの仮面で女王のキングバックがパワーアップし、クイーンレイピアオリジンとなりました。
ここからが少し長くなってきます。
ですが、最後は岩谷らしい、突破の仕方になりますので、今後のキングバックをお楽しみに!
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