ヒット&アウェイと一撃必殺
スポットはようやく岩谷へ。
キングバック39話「ヒット&アウェイと一撃必殺」
女王が待つ城の付近までやって来た岩谷とカレンだが、女王は既に彼らを待ち伏せしていた。
女王のキングバックは森の中を高速で走り回り、翻弄しながら戦う戦法を取る。
「くそ、なんで俺と戦う相手はスピードタイプが多いんだ!」
「もう、ほら、文句言わない!」
女王のキングバックはクリサリスストーンズに背後から接近すると、先端が紫色のレイピアを突き立てる。
背中にレイピアが軽く刺さるが、防御力が高いクリサリスストーンズにとっては蚊に刺される程度のダメージだ。
「くそ、邪魔だ!」
クリサリスストーンズが振り払うが、すぐにその場を離れる。
まさにヒット&アウェイである。
「ふふふ、速いでしょ、私のクイーンレイピアは」
「ああ、だが、火力はイマイチこの上ないぜ!」
「ホントにそうでしょうか?」
「何?」
「治、さっき攻撃された背中を見て!」
カレンに言われ、岩谷がクリサリスストーンズの背中を見るとその背中はさっきのレイピアの先端と同じような毒々しい色に変色していた。
「な、なんじゃこりゃ?」
「私のクイーンレイピアの能力は腐食毒、あらゆるものを壊す毒の力よ」
すると、森からクイーンレイピアがカレンのホワイトブレイドの背後に現れ、レイピアをホワイトブレイドの右膝裏に突き刺す。
すると、膝裏は変色し、ホワイトブレイドはその場に膝を着く。
「く、やられた! 治、再生に集中するから、何とか耐えて!」
クイーンレイピアは再び森の中に隠れる。
「あなたを倒すのは後よ、まず一番何をするか分からない、岩谷を先に倒す!」
「そうかい、なら掛かって来なよ」
「ええ、溶かし殺してあげる(いくらパワーがあっても当たらなければ怖くないわ)」
クイーンレイピアは再び高速で動き、地の利を存分に発揮し一気に距離を詰める。
姿を確認しても、常に一歩先手を取られる岩谷のクリサリスストーンズはクイーンレイピアの攻撃を避けられない。
背中を守り、腕でガードすると、今度は腕も腐食させられる。
「くそ、こちらの防御力を下げてくるのはキツイ」
それからも一貫してクイーンレイピアはヒット&アウェイを続け、何度もレイピアくらい、クリサリスストーンズの身体中には腐食箇所が多数広がっていった。
「もう、全身弱点だらけになったんじゃない?」
「当てれば一撃だってのによ、小賢しい」
「ふふふ、このまま腐り果てなさい!」
クイーンレイピアは再び森の中に消える。
「俺といったらこれだろ!」
すると、クリサリスストーンズは地面を強く殴り、砂煙が辺り一面を舞い、視界が悪くなる。
「だからって何? こんな砂煙ごときで私が見失うわけないわ! そこよ!」
クイーンレイピアは砂煙の中に大きいキングバックの影を見つけ、その影の頭部と胸部にグサッと深くレイピアを突き刺した。
「勝った! 私の勝ちよ、私だって強いんだから!」
砂煙が止むころ、女王はある衝撃的な事実に気が付く。
そう、自分が倒したと思ったキングバックのすぐ後ろにさらにもう一体キングバックがいるからだ。
「な、ま、まさか、これって」
「確かに、あんたは速くて強い。けど、俺に限っては当てれば一撃だから問題はないんだよなあ!」
「や、やめ」
「やれ、ダイヤモンドビートル!」
そしてダイヤモンドビートルの強烈な右ストレートはクリサリスストーンズの抜け殻ごと、女王のクイーンレイピアをぶん殴る。
抜け殻は砕け散り、クイーンレイピアはレイピアを捨て腕を交差させ、拳を受け止めるが、そのまま吹っ飛び、近くの木をなぎ倒して倒れる。
クイーンレイピアはまだ、完全にやられてはいなかったが、その両腕はへし折れて、使い物にならなくなっていた。
「う、うぅ」
「女王、もう再起不能だ」
「やるじゃない、治! 抜け殻を囮に使ったのね」
「ああ! 脱皮の応用さ」
「(ほんとうにこの子はどんどん強くなっていくわね)
「クリサリスストーンズに戻れ」
岩谷がそう指示すると、地面から、新たなレンガが出現し、ダイヤモンドビートルの元にくっ付いて行き、クリサリスストーンズの姿に戻った。
そのとき、各自女王の元を目指していた者たちが、次々に集合し始める。
「なんだ? もう終わったのか? 岩谷」
「そんな、まだよ、女王、まだよね?」
ドラゴンとドラゴンに抱えられたチイラがやって来た。
チイラは目の前の光景で涙目になる。
「あれ? もう終わっちゃったの岩谷? せっかく色々仕込みしてきたのに」
「まあ、君が前線に出なくて個人的にはほっとしてるけどね」
少し残念そうなノールとほっとした様子のティッカロがやって来て、ティッカロはノールの頭を撫でるが、その手を払われている。
そして少し遅れてスティーブたちもやって来た。
「ホルン、残念だったな、この勝負我々の勝ちのようだ」
「くそ、俺がもっとしっかりしていれば……」
スティーブは既にユラジオと合流しており、ホルンはスティーブとユラジオに肩を支えられてやって来た。
「もう、こんなに敵が迫ってるなんて、ごめんね、みんな、ごめんね」
女王は突然涙を浮かべ始める。その姿を見て、岩谷はなんだか気まずくなり、同情の籠った様子で話し掛ける。
「……なあ、あんた、たとえここで俺たちに完全に負けたとしても、別にあんたら木の国を滅ぼそうなんて考えちゃいねえよ、だからその、素直に負けを認めねか?」
「ごめんね、ごめんね、ごめんねごめんね」
「ちょっ、俺の話聞いてる?」
少し心配した岩谷は女王に近づく。
「ごめんね、ごめんね、ごめんねごめんねごめんね」
「……こりゃ何を言ってもダメかね、少しそっとしておこう」
岩谷が女王から離れ背を向けたその時。
「ごめんね、私、この仮面を使うね」
女王は懐から、不敵に笑う、片目の仮面を取り出す。
それは以前ユニコーンから渡されたイカロスの仮面だった。
このたびはキングバックを読んでいただきありがとうございます。
今回わりとあっさり女王のキングバック、クイーンレイピアが撃破されましたね、このまま木の国との戦いが終わるのか?
いいえ、ここから後半戦です。岩谷はここから今までで最も強い強敵と戦うことになります。
今後のキングバックの展開に乞うご期待。
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