容易く曲がる弾丸
謎の黒いスーツを着た男と遭遇したユラジオ。
彼の真の力が試される。
キングバック38話「容易く曲がる弾丸」
一方突然、謎の黒いスーツを着た男と遭遇したユラジオはティッカロとノールを先に行かせ、一人で戦うことを選ぶ。
「カッコつけたか知らねえけどよ、自信のなさが溢れ出てんだよ、ザコ」
「ぼ、僕はお前なんかにザコと言われる筋合いはない」
ユラジオは男を睨むが、膝が笑っている。
「へえ、いきがるねえ、まあいいや、さっさと退場しろよ」
マッシュサイドは刀を構え、ユラジオに襲い掛かってくる。
ユラジオはムーヴ・ド・Re・マーブルで応戦する。
ムーヴ・ド・Re・マーブルは黒い手袋をしており、全身黄色と黒色のマーブル模様のキングバックである。
そしてマッシュサイドの連続攻撃をムーヴ・ド・Re・マーブルは何とか避ける。
しかし、マッシュサイドは一切手を止めず、突っ込んでくる。
「オラオラ、防戦一方か、なあ?」
「く、僕だってやってやる」
突っ込んでくるマッシュサイドにカウンターを合わせムーヴ・ド・Re・マーブルが拳を構える。
マッシュサイドの攻撃を避け、パンチを打ち込もうとする。
しかし、マッシュサイドは直前に攻撃を中止すると、ムーヴ・ド・Re・マーブルの大振りの拳をしゃがんで回避し、刀による切り上げを行い、ムーヴ・ド・Re・マーブルの右腹部から左肩にかけて浅く切る。
「ぐああぁ」
ユラジオは自分の胸を押さえ、黒いスーツの男を睨む。
「なんだよ、俺がただの諸突妄信のバカに見えたか? どうなんだよあぁ?」
「(く、こいつ、強い)」
「ははは、まあそう痛がんなよ、俺のマッシュサイドはパワーは大したことねえんだ」
「はあはあ、ぐ、これは⁉」
突然ムーヴ・ド・Re・マーブルの切られた跡から見慣れないキノコが生え始めた。
「な、なんだこれは?」
ユラジオは驚き、キノコを眺める。
すると突然に身体から力が抜ける感覚がする。
「な、こ、このキノコが、僕の力を奪うのか、なら!」
ユラジオはムーヴ・ド・Re・マーブルの胸に生えるキノコを何個か握りしめて引きちぎる。
それと同時に、ユラジオ本人の胸に激痛が走り、ユラジオが自分の胸を見ると、血が自分の服を溺れさせる。
「な、なんだこれは⁉」
「言い忘れてたな、俺のマッシュサイドは切った箇所に胞子を付ける能力、だが、俺は胞子を飛ばすだけだ。成長させるのも、それを取って苦しむのもお前自身だ」
「く、ち、力が、でもこれを取るのも……」
ーーどうする?
「さあ、選べよ、このままキノコに絞り取られるか、俺に斬り殺されるか」
「はあはあ」
ーーやるしかない、やるしかない、これは僕の流儀に反するけど。
僕は少し過去のスティーブさんとのやり取りを思い出す。
「ユラジオ、お前は一体何を迷っているのだ?」
「……僕、正直接近戦が得意じゃないんです」
ユラジオは下を向く。
「それが、どうかしたのか?」
「でも、僕はあなたのようになりたいんです」
「……確かにお前のキングバックは使いこなせれば接近戦最強にもなれるだろう、だがそればかりに固執するのは良くない」
「……で、ですが」
「お前は俺のようになりたいと言ったが、それは俺のように強くなりたいのか? それとも俺のような人間になりたいのか?」
「そ、それは」
ただ憧れていただけの僕にはスティーブさんの言葉になんと返せばいいか分からなかった。
「俺のキングバックは今出来ることの最善を尽くした結果だ。それとも俺のサーセイバーが正面から戦うタイプじゃなかったら、お前は俺を尊敬してくれないのか?」
「そんなことないです!」
そうだ、そんなはずはない、僕はあなたのように、仲間のために戦える、そんなあなたに憧れたのだ。
「そうか、俺も仲間のため全力で頑張るお前を尊敬したいな」
「スティーブさん」
「お前にはお前の力がある、それにもうお前にはビジョンがあるのだろう? なら、それを使え、変な固定観念に縛られるな」
「はい! 僕、スティーブさんを守れるくらい強くなります」
スティーブの言葉を思い出したユラジオはさっきとは違い、覚悟を決めたいい顔になった。
「なんだ? こいつ急に顔つきが変わったな」
ユラジオは警戒し、マッシュサイドは刀を構える。
「(僕のムーヴ・ド・Re・マーブルの能力は手袋に触れたエネルギーを集中、分散をしたり、そして方向を変えること、だけど、接近戦を行いながらだと上手く、コントロールすることが出来ない……だから遠距離なら、練習した型に当てれば、コントロールする余裕はある!)」
すると、ユラジオは懐から拳銃を取り出す。
「はあ! 拳銃かよ、鉛玉なんぞキングバックに効くわけねえだろ、ナイフと一緒でよ」
「うん、知ってる。だからお前に当てる」
そしてユラジオは拳銃を黒いスーツの男に向ける。
しかし、男の前にはマッシュサイドが立ちはだかり、このままでは弾は男に届く前に弾かれるだろう。
ムーヴ・ド・Re・マーブルはクラウチングスタートの構えに入る。
「なんじゃこりゃ? 隙さらし過ぎだろ! 俺を舐めてんのか?」
「いいえ、これは僕の全力です!」
「何をする気か知らねえが、その前に殺ってやるよ、マッシュサイド、銃の軌道上に入りながら突っ込め」
マッシュサイドはユラジオの方に突っ込んでくる。
ーー……落ち着け、落ち着け、敵がどう来ようと、練習どうりにしろ僕、スティーブさんが戦ったガルトさんを参考にしたこの技。
「容易く曲がる弾丸!」
ユラジオが引き金を引く、飛び出した弾丸はマッシュサイドに向けて一直線に飛んで行く。
「は! このまま弾き落とせ!」
そのとき、ムーヴ・ド・Re・マーブルは既に弾丸の速度に追い付いていた。
「(こいつ⁉ いつの間に!)」
すると、ムーヴ・ド・Re・マーブルは弾丸に軽く触れると、弾丸は突然90度右に曲がって飛んで行く。
再びムーヴ・ド・Re・マーブルはクラウチングスタートの構えをする。
そして、地面に対して、強く指で押す、するとムーヴ・ド・Re・マーブル身体は再び高速で弾丸を追い越した。
そしてまた弾丸に触れる。今度は黒いスーツの男に向けて弾丸はあり得ない角度に曲がる。
その二回も曲がった弾丸は男の右太ももに着弾する。
「ぐああぁぁぁ、くそ、一体今何をしやがった、速くて見えなかったじゃねえか!」
男は痛みで膝を着く、これに連動し、マッシュサイドも、膝を着く。
「今だ! 今なら接近戦で勝てる。いっけえー」
ムーヴ・ド・Re・マーブルはマッシュサイドに接近する。
「くそ、これ以上好き勝手させるか、キノコまみれにしてやれ!」
マッシュサイド明らかにさっきより速度の遅い攻撃を行う、ムーヴ・ド・Re・マーブルは刀を真剣白刃取りすると、片手で刀の側面にチョップを入れる。
すると、まるで切断されたように刀はぽっきり折れる。
「な⁉ よ、よせ!」
刀を折られた男は急に焦りを表に出す。
「いまさらそれはないでしょう!」
隙だらけのマッシュサイドにムーヴ・ド・Re・マーブルは何度もパンチをする。
パンチの跡はいづれもパンチによる凹みではなくマシンガンで撃ち抜かれたような跡であった。
ハチの巣にされたマッシュサイドはその場に倒れる。
それと同時にユラジオの身体に生えていたキノコは枯れて剥がれ落ちた。
「ふう、なんとか勝った」
ユラジオは泡を吹いて倒れている男を見る。
「結局この人何者だったんだろう? ユニコーンってなんなんだろ? でもとりあえず、縄で縛っておこう」
ユラジオは黒いスーツの男を木と一緒に縛る。
「ティッカロさんや、ノール君無事にたどり着いたかな? 僕も追いかけよう」
このたびはキングバックを読んでいただきありがとうございます。
今回はユラジオというスポットの当たっていないキャラの回でした。
彼の能力は完璧にマスターしてしまうとかなりチート級なんですよねぇ。
次回の投稿は来週の月曜日になります。今後ともよろしくお願いします。
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