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キングバック   作者: 君子な在る虎
遊撃隊編 ~遊撃とは言うが単に戦力が少ないだけ~
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太陽のような男Part3

これは分割編集版です。


多少表現が変化していますが内容に差はありません。

「太陽のような男」Part3



 そのあと俺たちは車に似てはいるが原理は全く違いそうな乗り物、石車と呼ばれる乗り物に乗って北の市街地に向かう。

 そして俺たちは住民が避難して、人気のなくなった市街地に到着した。


「この市街地から逃げるにはさらに北にある検問所を通ることになる。その検問所はさっき連絡して封鎖しておいた。本体の方は逃げれまい」

「じゃあここら辺に潜んでいる可能性が高いんだな」

「油断するなよ。右腕を失ったと言ってもキングバックだ。生身の人間がまとも食らえば致命傷だ」

「あ、ああ、わかったぜ」


 突然サーセイバーが何かを察知し剣を振った。それと同時に鈍い音が鳴った。間違いない奴の音だ。

 すると路地裏から灰色で短髪の三白眼の男が出てきた。


「あーあやっぱり、無理か」

「お前が本体か?」

 スティーブは鋭い目つきで男を睨む。


「いかにも、俺を逃がしてはくれないよなぁ、だが相変わらず国のトップ様が追撃か。どれだけ人手が足りてないんだって話だな」

 男はスティーブを挑発するように言う。


「……そうだな、だがそんな奴に追い込まれているんだ。お前は大したことない奴ということになる」

「……その言葉後悔するなよ」

 男は少し怒った様子で二丁の拳銃を取り出した。


「拳銃だと? なめているのか、そんなものはじけないほど俺のサーセイバーは鈍間ではない」

「やってみないと分からないだろ、戦いならよぉ」

 そして男は二丁の拳銃をスティーブに向けて撃つのではなくスティーブの左右に通り過ぎて行く方向へ向けて撃つ。


「(一体なにが目的だ。奴は)」

 スティーブは警戒した様子で左右の弾丸を見る。

 するとスティーブからして左を通り過ぎて行くはずの弾丸が突然音を立てたと思ったらスティーブの方角へ急に曲がった。

 突然出来事でスティーブは防御が間に合わず弾丸を横腹にモロに食らってしまった。


「ぐぁっ」

「大丈夫かスティーブ!」

 俺はスティーブを心配し駆け寄る。


「安心しろなんとか致命傷避けた」

「めっちゃ血が出てるじゃねえか」

「大丈夫だ。だから下がっていてくれ」

「十分重症だろ」

「はあはあ、岩谷、君はキングバックを使えないんだろう? だったら出てくるべきじゃない」

「くっ」

 俺は自分がこの場で足手まといになっていることを自覚し、スティーブから離れた。


「アハハ! 暗殺はなにも影からとは限らないんだぜぇ」

 三白眼の男は拳銃を見せて笑った。


「お前、透明化したキングバックで弾丸を跳弾させたな」

 スティーブは横っ腹を抑えながらも冷静に分析する。


「よく気づいたな。だがどちらが跳弾するかなど起こるまで分かるまい、故にいくら速いキングバックでもワンテンポ遅れる。防げるものか」

「はあはあ、同じ攻撃は二度通じるものか、やってみろ!」

 スティーブは大きい声で虚勢を張る。


「いいぜ、だったら決着をつけてやる」

 今度は三白眼の男は右手の拳銃をスティーブの正面に向けて撃った。

 そのすぐ後さっきと同じようにスティーブの左右横を過ぎ去るように撃つ。


 この状況スティーブはまず初めにスティーブに向けて撃った弾丸を防ぐ必要がある。

 さらに今度は左右のどちらかの弾丸が曲がるのを見て防がなくてはない。今度はワンテンポ遅れるどころでは済まない。


 すると突然スティーブはサーセイバーの剣に出血した自分の血を塗った。そしてそのままスティーブに向かって真っすぐに飛んで来る弾丸を真横に水平切断した。


 二つに割れた弾丸の破片はスティーブの頭上を通り抜け、もう一方はスティーブの元に辿り着くことなく、地面に突き落ちる。


 水平に切ったとき、剣に付着した血が辺りに飛び散る。

 飛び散った血はスティーブから見て右側の空中に付着し、あたかも血が空中に浮いたように見える。

 つまり敵のキングバックに付着したのだ。


 そのままサーセイバーは右側から跳弾した弾丸を剣で容易く防ぎ、血で着色された敵のキングバックを一瞬で切り刻んでしまった。


 こうして三白眼の男との戦いは瞬く間に幕を閉じた。


 スティーブは息を切らしながら三白眼の男を見る。


「さっき言ったこと訂正しよう」

「何?」

「お前は大したことがある男だった」

「ふっ、そ、そうかよ」

 男は悔しそうな、それでいて嬉しそうな表情をしていた。


「お前名前は?」

「ガルトだ」

「覚えておく、悪いがガルト、お前を拘束させてもらう。別に拷問なぞしない。確かにお前から聞けることは聞かせてもらうが」

 スティーブの言葉をガルトが聞き少し微笑むと。


「ダメだ。仲間は売れない」

 そう言うとガルトは持っていた拳銃を自分のこめかみに向ける。


「な、やめろ! よせ!」

 スティーブが止めるより速く、パンっと高い音がなり、ガルトは頭から血を流して倒れた。


「……本物だな」

 スティーブは少し悲しそうな顔をして言った。


「どういうことだ?」

「奴のような誇りある者を本物の戦士と呼ぶのだ」


「けど、最後が自殺なんて……」

「敵ながら死なすには惜しい男だ。この戦争が終わったら奴の遺体は故郷に返してやろう」

「ああ、そうだな」


 その時のスティーブの顔は今まで見た誰よりも優しい顔をしていた。まるで()()()()()()()だ。



 すると兵士の恰好をした男がやってきた。


「スティーブさん大変です。東から砂の国の奴らが攻めてきました。数は5、全て10メートルを超える大型タイプです」

「何、いつもより数が多いぞ!」


「はい、そのためか東門にいた警備がなんとか食い止めていますが時間の問題です。このままでは一般市民にも被害がでます」

「すぐに向かう。どうせ奴らの目的は俺だ」


「おい、10メートルだと! そんなキングバックがいるのか、スティーブのサーセイバーは2メートルほどだぞ!」


「仕方がない。この国には10メートルを超えるキングバックを扱える者など数えるほどもいない。その数少ない大型キングバック所持者も全員警備にまわす必要がある。故に俺が出るしかない!」


「無茶だスティーブ! お前のその腹の怪我はどうするんだ。とても動いていい傷じゃない」

 スティーブは突然目つきが鋭くなり岩谷を睨んで言う。


「無茶は承知だ。でもやるしかない、俺は倒れるわけにはいかない。この国を導く者として!」



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