最速と最強
スティーブとホルンの因縁の対決が今ここに始まる。
キングバック35話 「最速と最強」
手の内を全て晒したスティーブとホルンの勝負はまさに互角と言えるものであった。
サーセイバーは普段隠している、短刀を左手に持ち、右手には真実の剣を持った二刀流で戦う。
サーセイバーの剣撃をホルンのグロウシード・スティッキィホルンは左腕に纏っているレンガ部分で防ぐが、スピード面でサーセイバーより優れたキングバックはいない、必然的にグロウシード・Sは押し負けることになる。
しかし、ここで、単に負けることは小型タイプ最強の名が廃る。
サーセイバーの攻撃をグロウシードはバク転して躱し、グロウシード・Sの手が地面に着いたとき、手でおもいっきり地面を押しそのまま強力なドロップキックをサーセイバーにお見舞いするが、サーセイバーは剣で蹴りを受け止める。
サーセイバーはグロウシード・Sの蹴りで後ずさる。
その時サーセイバーが後ずさった真後ろには木が生えており、グロウシード・Sはその瞬間にその木に転移し、サーセイバーの背後をとると回し蹴りを繰り出す。
木に転移することを予想していなかったスティーブは対応が少し遅れサーセイバーは不完全な守りになってしまう。
不完全な状態ではグロウシード・Sの攻撃は防げない。グロウシード・Sの蹴りはガードをしようとした剣を弾き飛ばす。
「剣が!」
蹴り飛ばされた剣が地面に転がり、片剣を失ったサーセイバーにグロウシード・Sは襲いくる。
グロウシードの左パンチをサーセイバーは横に避け、左手に持つ短刀を右手に持ち換えると、グロウシードの左腕に短刀で刺し貫いた。
グロウシード・Sの左腕はレンガに覆われた強固なものである。しかし突き刺した剣は見事、レンガの隙間をぬって刺さっていた。
しかし、ホルンは全く動じる気配はなくグロウシード・Sは種を植え付けようと、右手を開くと押し付けてくる。
これをサーセイバーは左手で咄嗟にグロウシード・Sの右手首を掴み、阻止する。
片腕に短刀が刺さっていようが、構わずグロウシード・Sはサーセイバーにぐいぐいと詰め寄る。
スティーブはその威圧感に圧倒され、刺した短刀を引き抜き、距離を取ろうと考えるが、グロウシード・Sは腕に力を入れ、短刀は抜けない。
「ぐ、抜けん」
「ふんっ」
スティーブは短刀が抜けないことに気を取られていると、グロウシード・Sはサーセイバーの足を払い、サーセイバーはバランスを崩しグロウシード・Sに押し倒される。
しかし、そのタイミングで、サーセイバーはグロウシードの腹に右膝の蹴りを入れ、サーセイバーはグロウシードの左腕に刺さった短刀を手放すと、放した右手で、グロウシード・Sの右二の腕を掴み、両手でしっかり固定すると、腰を低くするとそのまま巴投げをする。
「ぐぅお⁉」
グロウシード・Sは投げられ、素直に地面に落ちる。
その隙にサーセイバーは蹴り飛ばされた剣を拾いに行く。
立ち上がったグロウシード・Sは刺さった短刀を自分で引き抜き、サーセイバーの反対方向へ投げ捨てる。
「ずいぶんな、挨拶じゃないか、スティーブ」
「そっちこそ、腕は訛ってないみたいだな」
「片腕に刀刺しといてそれ言うか? お前」
「そうか? なら、そのまま負けてもらうと、助かる」
「いんや、そう簡単にゃあやらせんぜ」
ホルンは首を振る。
「だが、お前、木にもワープ出来たのか?」
「はは、そいつは少し違う、けど、そんじょそこらには俺の種が埋め込まれた木がわんさかある。お前にこの包囲網が突破出来るかな?」
--不用意に木に近づくのは避けたほうが良さそうだな。
「これがお前の秘策か? 跳ぶ場所が分かっているのなら、そういい作戦とは言い難いが」
「かもな、だが、跳ぶ場所が分かっていたとしても、お前が対応出来ないレベルまでに極めれば、そう簡単に躱せまい」
するとグロウシード・Sはサーセイバーに向け、種を投げつける。すぐに投げた種の元に転移する。
しかし、スティーブはこの程度の動き、完全に見切っており、すぐに斬れるようにサーセイバーは剣を構えていた。
サーセイバーは剣を振るうが、その瞬間、剣が通過した先にグロウシード・Sはいない。
スティーブは咄嗟に他の木に目を向けるが、そこにグロウシード・Sはいない。
そして、サーセイバーに少し影がかかり。
そこで、どこにいるのか理解したが、気付くには少し遅かった。
「上か!」
「少し、遅い!」
グロウシード・Sはサーセイバーに切られる直前、右手を背中に隠し、その状態で真上に種を投げていたのだ。
グロウシード・Sの右足による踵落としがサーセイバーに襲い掛かり、サーセイバーは躱そうとするが、あと1歩間に合わず、踵落としはサーセイバーの左肩に直撃し、バキッと嫌な音が鳴る。
サーセイバーは離れと言わんばかりに剣でなぎ払い、グロウシード・Sは近くの木へ転移しその場を離れる。
「くそ、やられた」
「早くも終わりが見えて来たか?」
ホルンは勝ち誇った様子でニヤッと笑う。
サーセイバーは左肩をやられてしまったが、それでも右手で剣を構える。
「まだ、やる気みたいだな、ならば、とどめのフィナーレの開幕だ!」
すると、グロウシード・Sはサーセイバーに向けて、種を複数投げてくる。
サーセイバーは投げつけられた、種を剣で次々と切って行く。
転移に使われたくないからだ。
しかし、グロウシード・Sはその種に転移することはなかった。
だが、グロウシード・Sは別の木に転移し、また種を複数投げつける。
そして、次、また次と、種を投げては転移を繰り返し始める。
サーセイバーが処理しきれなかった種が辺りに散らばっている。
今度はグロウシード・Sはその落ちた種に転移し、適当に種をばらまく。
さらに空中にばら撒く種に転移し、攻撃することはなく、ひたすらに種をばらまいては転移を繰り返す。
サーセイバーの周りには無数の種が舞い上がる。
「くそ、数が多すぎる!」
グロウシード・Sは次々と転移し、スティーブを翻弄するが、いっこうに攻撃はしてこない。
すると、次々転移していたのが、ピタッと止む。
「何?! どこだ! 上か?」
スティーブはキョロキョロし、上も確認するが、グロウシード・Sはそこにはいない。
「ここだ」
そうホルンが呟くと、サーセイバーの真下の地面から、グロウシード・Sの右手が出現し、その左脚を掴む。
「な、何ぃ! こ、今度は下か!」
「これで、終わりだ」
そうホルン言うと、グロウシードは種をサーセイバーの左脚に植え付けた。
「ぐ、力が、吸い取られる」
サーセイバーはとてつもない疲労感でぐったりとし、スティーブもその場に膝を着く。
グロウシード・Sは地面の中から出て来ると、手を大きく広げてサーセイバーを見下ろす。
「ははは、力が溢れてくるぜ、今度こそ、お前の負けだ、スティーブ」
そう言うとホルンは跪くスティーブに近づき、グロウシード・Sと共に見下す。
このたびはキングバックを読んでいただきありがとうございます。
今回はスティーブとホルンの対決ですね、どう見てもスティーブはホルンにボコボコにされていますが、ここからどうなるのでしょうか?
この対決の結果は少し先になり、明日はキャラ視点になります。
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