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キングバック   作者: 君子な在る虎
月下砂漠編 ~砂城の独裁王と月の迷走者~
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単純な子供と建前の大人

場は整った、あとは岩谷がバルターを倒し、スティーブの元まで行くのみ。

 キングバック「単純な子供と建前の大人」



 岩谷のペリドットスタッグとバルターのインフィニティムーンの戦いはお互いに決めてが欠けており、ただラフプレーのような攻防が続くのみだった。


「おい! このまま戦っても埒が明かないぞ! 俺はお前のそのクワガタみたいな剣に挟まれるのはごめんだ、かと言ってこのままだと、お前、スティーブの元にいけないんじゃないのか?」

「ごちゃごちゃ、うるせえ! とにかく今は時間を稼ぎたいが、時間を短縮もしたいんだよ!」

「お前、言ってること、むちゃくちゃだ!」


 ペリドットスタッグがインフィニティムーンに斬り掛かる、インフィニティムーンは腕をダイヤモンドのように硬化させ、攻撃を受け止め、二体ともぶつかり合い、動かなくなる。


 そのとき、ルインがザックを倒したことで砂嵐が消え、疑似太陽の光が砂漠一帯を包む。


「な、なに! 砂嵐が消えただと!」

「おおー、意外と早かったじゃねえか、ルイン! 」

 岩谷はニヤッとする。


「な、何? 一体どういうことだ?」

 バルターは少し焦りを顔に出す。


「ああ、ルインなら、やってくれると思っていたぜ」

「ルイン?」

「なんだ、そこまでは知らねえか? 今回強力してくれた奴の名前さ」

「ふん、裏切り者か、自分の部下に足元をすくわれるとは、自業自得だな」

 バルターは嫌悪の混じった表情でそう吐き捨てる。


「……ルインは裏切り者じゃねえよ」

 岩谷は静かに言う。


「は? 国をここまで追い込んだ原因だぞ、裏切り者でないのなら、何になるって言うんだ?」

「……俺はこっそり奴に頼まれたんだ、テューラーを殺さないことを」


「はあ? ますます意味が分からんな」

「ルインはテューラーに生きて罪を償って欲しいんだ、同じ夢を見た仲間として、俺はそのルインの願いを叶えてやりてえ、スティーブも止めてえだから、そこをどけよ、バルター」


 岩谷は騒がず、静かに真顔でバルターを見る。

 普段騒ぐタイプの岩谷が逆にこの態度だと、逆に怖い。


 バルターは思わず、ビクッとしてしまうが負けじと睨み返す。


「あーあーもう! きれいごとなんてもうまっぴらだ、生きて罪を償う? 罪もない人間が踏みにじられるこの世界で、何夢見たこと言ってんだ! 今までイージーゲームだったのかよ? てめえもルインって奴もよぉ、あんな奴、生かしておく意味なんか、ねえだろぉ! じゃあなきゃ、なんで、なんであいつらは死ななきゃならないんだ……」

 バルターは過去自分が救えなかった者たちを思い出す。


「……お前も大概だな、心では分かってんのに、なんでそっち側なんだ?」

 すると、バルターは自分の言ったことにハッとする。


「だが強い奴につかなきゃ、俺らの国の民みたいな戦えない奴は、どうなるか……たとえ、それで俺たちを踏みにじったような連中と同類の下についてでも生き残らせる義務が俺にはある」

 バルターは苦しい表情をする。


「そうやって、自分を正当化させて、楽か?」

 それでも岩谷は冷たく突き放す。


 岩谷の言葉にバルターは目を閉じて、その後大きく開き怒鳴る。


「黙れ! だまれ! 俺の気持ちの何が分かる? 分かったような口を聞くな、このガキが!」


「分かんねよ、俺はお前の行動、理解できてねえよ、だから、お前が正しいかなんて、今の俺には分からん、だけど、今のお前、苦しそうじゃねえか、多くのしがらみに巻き込まれて、もがいて、もう十分苦しんだだろ? お前はこちら側のはずだ」

 そして岩谷はバルターに手を差し出す。


 しかし、バルターはその手を見た瞬間、泣きそうな顔になると、その手を振り払う。


「もう、遅い、何もかも遅いんだよぉ、てめえが良くてもそう簡単に行く問題じゃない、こんな状況でお前たちの元に行っても、裏切り者の俺たちの居場所なんてねえ、考えが単純なんだよ、これだから、ガキは」

「はぁ、返すようだが、これだから大人は、建前が欲しいんだろ? だったら、俺がここでお前を倒す」



 そして岩谷は手を掲げる。


「!? 岩谷何をするつもりだ!」

「情報収集が得意なお前のことだ、もう俺が何をするか、知ってるんじゃないか?」

「……光の一線か」

「分かってるなら話は早ぇ、今からは俺はてめえの執行者だ!」


 すると疑似太陽から、光の柱がペリドットスタッグに落ちる。

 疑似太陽のエネルギーを吸収したペリドットスタッグは光始め、白い身体は銀色のように輝き、緑色の宝石はより美しさを増す。

 ペリドットスタッグは2本の剣をインフィニティムーンに向けて構える。


「さあ、バルター、覚悟を決めろよ、てめえの終幕だ」


「……インフィニティムーン、遠距離メインだ」


 インフィニティムーンの腕は複数に枝分かれし、多数の刃の付いた触手を造り出す。

 ペリドットスタッグは触手に物怖じせずに突っ込んで行く。

 一斉に触手がペリドットスタッグに襲い掛かる。数本触手を切り落とすが、次々と襲い掛かり、全てを防ぐことは叶わなかった。


 ペリドットスタッグの至るところに触手の刃が突き立てられる。

 しかし、ペリドットスタッグは先ほどとは違い、怯みもせず歩みを止めることはない。

 インフィニティムーンは残った触手を集め巨大な刃に変え、頭へ切り掛かる。

 ペリドットスタッグは双剣を交差させ、これを受け止め、そのままさらに前進し、体当たりをかます。


 吹っ飛ばされたインフィニティムーンは近くにあったピラミッドに背中から衝突する。

「なんて奴だ、ダメージ覚悟の突進か」


 インフィニティムーンは怯んで一瞬動けなくなる。その隙を見逃す岩谷ではない。


 ペリドットスタッグはインフィニティムーンの目の前に立つ。

 そして両方の剣をピラミッドに突き刺し、二つの双剣でインフィニティムーンを挟む形になった。

 後ろにはピラミッド、左右は剣、正面にはペリドットスタッグと、完全に囲まれてしまったインフィニティムーン。

 この状態でさらにインフィニティムーンを剣で挟みこもうとし、剣はピラミッドを削り進む。

 そして、双剣のギザギザ刃はインフィニティムーンの腹を捉えた。


「マズイ、その剣はマズイ、インフィニティムーン、身体を液化させ、そこから離れろ!」

 バルターはインフィニティムーンに命令を下すが、命令通りに身体を液化出来ない。


「の、能力が使えない! そうか、その剣の力か、概念兵装の条件に掛かってしまったというのか……」


「ああ、てめえのキングバックはもうギロチンにかけられた死刑者だ」

 岩谷は冷徹な死刑執行者の如き表情で静かに言った。


「……やれよ、岩谷、お前の勝ちだ」

 バルターは諦めた様子だった。


「ああ」

 ペリドットスタッグはぐっと双剣に力を込め、インフィニティムーンを胴体を真っ二つにする。


 両断されたインフィニティムーンの身体は塵のように消え、最後には二つに割れた直径1mは程の赤い宝石が残る。


 バルターは悔しそうにその場に崩れる。

 岩谷はバルターを静かに見下ろす。


「バルター、お前にはまだ色々と言いたいことがあるが、それは後だ」

 そう言い残すと岩谷はペリドットスタッグをクリサリスストーンズに戻し、スティーブの元に向かうため、すぐさまピラミッドの破壊を始めた。



「(……テューラーがやられるのも時間の問題だ、テューラーの次は俺たちか……まだだ、まだこんなところでは私は死ねない!)」

 そしてバルターは静かにどこかへと逃げて行った。


このたびはキングバックを読んでいただきありがとうございます。

今回長かったバルター戦に終止符が付きましたね、逃げましたけど。

最後はいよいよスティーブの元に向かうだけです。

そろそろ、砂と月の国編も終わりに近づいて参りました。今後もキングバックをよろしくお願いいたします。

また、今後のモチベーションにつながるので、ブックマーク、評価、感想など良ければよろしくお願いいたします。


今日のキングバック

ステータスA+~E-

ラッシュ&チップス

パワーA、スピードC-、特殊エネルギー性C、行動距離B、耐久性A+、精密性D

フィッシュマンが使うキングバック、左腕が甲羅のような盾になっており、防御力は抜群、しかしそれ以外の部分は平均的、右腕はパイルバンカーになっており、連続攻撃には適さないが、威力はクリサリスストーンズに一撃で穴を開けるほど、両腕が重く、動きは鈍い。

ローマンとは実験台時代からの付き合い、彼は逆に、実験の音が耳に染みついたせいで、騒々しい場所が苦手。

フィッシュマンとローマンのキングバックが頑丈なのは過去の経験から、自己防衛の意識が他人より強いことが原因の可能性がある。

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